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福祉人材確保専門委員会 「山脈型」新たなキャリアモデル促進へ

福祉人材確保専門委員会 「山脈型」新たなキャリアモデル促進へ

 厚生労働省は、5月9日に「福祉人材確保専門委員会」(委員長=松原由美・早稲田大学人間科学学術院教授)を初開催した。2040年に向け、介護人材の総合的な確保方策などについて検討が行われる。

 初回は、「『2040年に向けたサービス提供体制等のあり方』検討会」の中間とりまとめを踏まえた論点として①各地域における人材確保の取組みの進め方②多様な人材の確保③介護福祉士をはじめとする中核的介護人材の確保④外国人介護人材の確保・定着――が示された。

 厚生労働省は、介護福祉士がめざす新たなキャリアアップの姿として、「山脈型」キャリアモデルを提示。これまでの「富士山型」は誰もがマネジメントを到達点としていたのに対し、▽認知症ケア・看取りケアなど特定のスキル向上▽地域全体の介護力向上▽経営のマネジメント――など、自らめざす地点を選択するイメージを表した。

 日本介護福祉士会会長の及川ゆりこ委員は「介護現場は、マネジメントや育成・指導などを担う人材がいてこそ適切に機能するが、そのスキルを習得する機会が全ての介護福祉士に与えられているとは言えない。新規参入促進とあわせて、中核的役割を担う人材の育成と確保が喫緊の課題と考える」と訴えた。

経過措置の期限迫る 介護福祉士試験義務化

 日本社会福祉士会会長の西島善久委員は、介護福祉士養成施設卒業者の国家試験義務付けについて言及。2017年に施行されたが、卒業後5年間介護等の業務に従事していれば資格取得となる経過措置が来年度末まで設けられている。

 5年前の法改正ですでに一度経過措置の期間が延長されていることから、西島委員は「パート合格などの仕組みを活用し、介護福祉士の質の担保のためにこれ以上は延長しないでいただきたい」と発言した。

 それに対し、日本介護福祉士養成施設協会理事の小笠原靖治委員は「当会会員への調査によると、昨年度の入学者のうち約47%が外国人留学生。養成施設を卒業すれば必ず資格を取得できることが大きな魅力なので、試験が必須になれば入学者は激減する。養成施設の廃校がさらに加速することは間違いない」と、経過措置の延長を求める意見を述べた。

 同委員会は、6月から夏頃にかけて複数回のヒアリングと議論を実施。秋頃に取りまとめを行い、福祉部会に報告するスケジュールを予定している。
(シルバー産業新聞2025年6月10日号)

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