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在宅の褥瘡ケアを施設水準へ
第26回日本褥瘡学会学術集会(兵庫県姫路市・アクリエひめじ)が「次代に向かう褥瘡ケア」をテーマに9月6日、7日に開催される。会場/オンデマンド配信による開催により、同時間帯の演題にも後日視聴参加できる。大会長の日髙正巳氏(兵庫医科大学リハビリテーション学部教授)に聞いた。
――大会にかける思いは。
日本褥瘡学会設立から25年が経過した。学術的にも大きく発展し「治療」「予防」の時代を経て、これからは褥瘡についてリハビリや栄養などに配慮しながら、在宅でも生活を続けられるようにしていく必要がある。
これまで大会長は、医師(皮膚科、形成外科など)、看護師(皮膚・排泄ケア認定看護師)、薬剤師、栄養士などの専門領域を広げながら開催されてきたが今回、大会長としては初めて理学療法士(PT)が大任を仰せつかった。
褥瘡でも、生活に寄り添うリハビリテーションへの役割が期待される世の中になったと考えている。多くの専門職と連携しながら、取り組んでいきたいと思う。
これまで大会長は、医師(皮膚科、形成外科など)、看護師(皮膚・排泄ケア認定看護師)、薬剤師、栄養士などの専門領域を広げながら開催されてきたが今回、大会長としては初めて理学療法士(PT)が大任を仰せつかった。
褥瘡でも、生活に寄り添うリハビリテーションへの役割が期待される世の中になったと考えている。多くの専門職と連携しながら、取り組んでいきたいと思う。
――介護施設に期待されることはありますか。
たとえば特別養護老人ホームについて、介護保険でも褥瘡に関する加算が認められるなど、少なからぬ施設で予防・治療(管理)ができるようになってきた。介護保険制度創設当初の特養での褥瘡ケアの状況からみれば、大きな進歩だ。
その背景には、リハビリテーションと栄養改善の取組がセットになって提供でき始めたことと、高機能なエアマットや車いすクッションが開発され、圧分散や正しい姿勢保持ができるように福祉用具が進歩したことが大きいと考えている。力ずくの介護によるズレからのスキントラブル防止でもノーリフティングケア(持ち上げない介護)の普及による効果も大きいだろう。
介護施設については、入居者の生活がそこにあり、リハビリ・栄養・福祉用具などが適切に提供されることが求められる。
今大会では、栄養に関するテーマを6本予定している。また、おむつなどの湿潤環境での排便管理や、全人的なリハビリテーションの提供により、寝たきりにさせないフレイル予防に向けてどのような多職種連携が求められるかなどの発表もある。
一例として、栄養は褥瘡リスクとも関連が深いとされている。一般的には低栄養が原因でその改善に向けたものが有名だが、その一方の施設内で栄養管理がされた結果、摂取量が消費量を超過し、肥満になることによるリスクについて、見落とされがちであるが摂取量と消費量(使用量)で見ていく必要がある。
その背景には、リハビリテーションと栄養改善の取組がセットになって提供でき始めたことと、高機能なエアマットや車いすクッションが開発され、圧分散や正しい姿勢保持ができるように福祉用具が進歩したことが大きいと考えている。力ずくの介護によるズレからのスキントラブル防止でもノーリフティングケア(持ち上げない介護)の普及による効果も大きいだろう。
介護施設については、入居者の生活がそこにあり、リハビリ・栄養・福祉用具などが適切に提供されることが求められる。
今大会では、栄養に関するテーマを6本予定している。また、おむつなどの湿潤環境での排便管理や、全人的なリハビリテーションの提供により、寝たきりにさせないフレイル予防に向けてどのような多職種連携が求められるかなどの発表もある。
一例として、栄養は褥瘡リスクとも関連が深いとされている。一般的には低栄養が原因でその改善に向けたものが有名だが、その一方の施設内で栄養管理がされた結果、摂取量が消費量を超過し、肥満になることによるリスクについて、見落とされがちであるが摂取量と消費量(使用量)で見ていく必要がある。
――在宅介護での多職種連携による褥瘡予防の取組はどうでしょうか。
24時間体制で夜勤職員のケアが受けられる施設に比べ、在宅の夜間は家族がケアをすることが多い。特に褥瘡リスクのある人には2~3時間おきに体位変換をすることが推奨されたことから、家族介助者の負担が大きく「在宅では褥瘡を予防(治療・管理)できない」とされてきたと考えている。
しかし、現在では、介護保険福祉用具レンタルを利用することで、自動で体位変換をしてくれる高機能エアマットを比較的安価に利用できるようになった。最新のものでは温度・湿潤管理まで自動化している。さらに、人手による体位変換では本人・介助者ともに安眠が妨げられ、睡眠不足に陥る課題があったが、全自動のエアマットではこの課題も解決した。こうしたテクノロジー活用により施設とのケア環境の格差は少しずつ埋まりつつある。
ほかにも、訪問看護を利用することで創傷の管理・処置を受けることもできる。一部地域では、皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)と連携ができる場合もある。
リハ職の役割も大きい。リハ職の養成が進む中で、一昔前の「病院内のリハ職」から「地域(介護現場)に出ていくリハ職」が当たり前になり、格段に褥瘡予防や治療に取組みやすくなったと考えている。
しかし、現在では、介護保険福祉用具レンタルを利用することで、自動で体位変換をしてくれる高機能エアマットを比較的安価に利用できるようになった。最新のものでは温度・湿潤管理まで自動化している。さらに、人手による体位変換では本人・介助者ともに安眠が妨げられ、睡眠不足に陥る課題があったが、全自動のエアマットではこの課題も解決した。こうしたテクノロジー活用により施設とのケア環境の格差は少しずつ埋まりつつある。
ほかにも、訪問看護を利用することで創傷の管理・処置を受けることもできる。一部地域では、皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)と連携ができる場合もある。
リハ職の役割も大きい。リハ職の養成が進む中で、一昔前の「病院内のリハ職」から「地域(介護現場)に出ていくリハ職」が当たり前になり、格段に褥瘡予防や治療に取組みやすくなったと考えている。
――学術集会のPRと読者へのメッセージをお願いします。
今回の学術集会は対面での開催を基本とし、教育講演や一般演題発表、ハンズオンセミナー、企業展示等のプログラムを予定している。一部を除きオンデマンド配信(10月末まで)も予定している。介護施設・在宅サービスに携わる皆さんにとっても、気づきの多い学術集会となると考えている。奮ってご参加いただければと思っている。
(シルバー産業新聞2024年8月10日号)