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徳吉薬局 薬剤師として、その人の一生に寄り添う

徳吉薬局 薬剤師として、その人の一生に寄り添う

 今年45周年を迎える徳吉薬局は、鳥取市内に10店舗を展開し、かかりつけ薬局として地域住民の生活や在宅医療を支える。
 社長で薬剤師の徳吉淳一さんは、「2000年に介護保険制度が始まった頃は、薬を渡すことが主な業務だった」と振り返る。当時、県内の在宅医療を行う多くの病院が院内処方を採用しており、薬局が自宅での療養に関わることは少なかった。

無菌調剤で在宅復帰の希望を叶える

 その後、地域包括ケアが推進される中、同薬局は在宅医療の強化に舵を切った。

 10年頃まで鳥取市では、点滴をしている人は家に帰れないと見られていた。「家で最期を迎える希望が叶わないのは地域として問題だと考えた」と徳吉さん。当時どの薬局も採用していなかったクリーンベンチを導入し、麻薬や経管栄養の調整を習得するため、薬剤師を基幹病院に派遣した。徳吉さん自身も率先して研鑽を積み、在宅医療に対応できることを病院の地域連携室に伝えると、多くの依頼が来るようになった。

かかりつけ薬剤師として最期まで関わる

 同薬局では、かかりつけ薬剤師制度の導入前から、「毎回、同じ人に薬を渡して管理する」担当制をとっていた。医療では、かかりつけ医に通っていた患者が入院すると担当医が変わり、手術などが必要であれば各専門科に移るなど、主治医が変わる。

 その点について、徳吉さんは「薬剤師は、患者の一生に継続して関わることのできる唯一の職種」と話す。

 現在、60人の薬剤師のうち、30人がかかりつけ薬剤師の資格を持つ。患者にかかりつけ薬剤師・薬局として認知してもらい、人生の最期まで関わることを目指している。

 全店舗で24時間の電話対応を行い、かかりつけ薬剤師が担当する患者については処方薬をすべて把握し、医療機関が変わっても情報の橋渡し役を担う。

薬剤師主導の在宅介入を

 鳥取市の薬局の居宅療養管理指導の算定数は増加している。医師やケアマネジャー、訪問看護などからの依頼が多いが、同薬局は薬剤師が自ら行う薬剤師主導型の提案にも取り組んでいる。

 例えば、窓口で大量の残薬があった際に薬剤師が患者宅を訪問し、介入が必要と判断した場合には、服薬体制を整えるために医師の指示を仰ぐことを患者に勧めるといった取り組みを行っている。特にかかりつけ薬剤師として関わっている患者では、対応を強化している。

 「薬局が地域で受け入れられるには、ホスピタリティが重要。画一的なマニュアルではなく、この人にはこの対応が良いということを全員が考え、行動できる組織を目指したい」と徳吉さんは展望を語る。
(シルバー産業新聞2024年8月10日号)

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