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厚労省 福祉用具の対象品目拡大を検討
厚生労働省は10月28日、「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」(座長=山内繁・支援技術開発機構理事長)を開いた。2015年4月から新たに給付対象とする福祉用具の案として、貸与品目に「介助式電動車いす」、購入に「水洗式ポータブルトイレ」、また住宅改修に「便器の位置変更、向きの変更」をそれぞれ提示した。
同検討会は7月に保険者、福祉用具メーカー、供給事業者、介護事業所、利用者等を対象に実施した福祉用具・住宅改修に関する要望442件を集約し、作業部会にて妥当と判断した項目について検討した内容を報告した。
このうち、介助式電動車いすは、山間部や交通の便が悪い地域等でニーズが高い点、JIS規格を既にクリアし、簡易型電動車いすが既に給付対象に認められている点を考慮。「車いす」の範囲に追加することとされた。「SP40」(フランスベッド)などの商品が対象となる見込みだ。
また、水洗ポータブルトイレは、汚物処理作業と清掃の負担軽減、衛生性向上の観点から「腰掛便座」の範囲に追加。ただし、給排水ユニットの取付工事費用は自己負担とする。対象商品は「ベッドサイド水洗トイレ」(TOTO)など。
さらに、住宅改修の「便器の位置変更、向きの変更」については、片麻痺やパーキンソン病をもつ利用者が、トイレ内で方向転換を行わずに便器への着座をスムーズに行えるよう、「洋式便器等への便器の取替え」の範囲へ新たに追加することとした。
このうち、介助式電動車いすは、山間部や交通の便が悪い地域等でニーズが高い点、JIS規格を既にクリアし、簡易型電動車いすが既に給付対象に認められている点を考慮。「車いす」の範囲に追加することとされた。「SP40」(フランスベッド)などの商品が対象となる見込みだ。
また、水洗ポータブルトイレは、汚物処理作業と清掃の負担軽減、衛生性向上の観点から「腰掛便座」の範囲に追加。ただし、給排水ユニットの取付工事費用は自己負担とする。対象商品は「ベッドサイド水洗トイレ」(TOTO)など。
さらに、住宅改修の「便器の位置変更、向きの変更」については、片麻痺やパーキンソン病をもつ利用者が、トイレ内で方向転換を行わずに便器への着座をスムーズに行えるよう、「洋式便器等への便器の取替え」の範囲へ新たに追加することとした。
「複合機能」は徘徊感知器の屋外受信に限定
現行では、福祉用具貸与・購入に該当しない機能(複合機能)が含まれる場合は、保険給付対象外となる。
同省はこの日、認知症老人徘徊感知機器に限り、利用者宅外の家族や介助者へメール等で知らせる通信機能を「複合機能」とし、本体と分離できる場合は本体部分のみを給付対象とする考えを示した。複合機能の部分は自己負担とし、福祉用具本体の貸与価格に複合機能の価格を転嫁することは認めない。
ただし、現時点で該当する製品例が上げられなかったことから、テクノエイド協会常務理事・本村光節氏は「メーカーがパンフレット等で分かりやすく説明できるよう、『本体との分離』の考え方や価格の分け方などを具体的に示す必要がある」と意見を述べた。
なお、居宅での利用が前提であることから、屋外で利用者が装着し位置情報を知らせるような携帯型機器は対象外。また、脈拍や心拍など生体情報の検知機能は、徘徊感知という本来の目的に沿わないことから、複合機能に含まない方向とした。
同省はこの日、認知症老人徘徊感知機器に限り、利用者宅外の家族や介助者へメール等で知らせる通信機能を「複合機能」とし、本体と分離できる場合は本体部分のみを給付対象とする考えを示した。複合機能の部分は自己負担とし、福祉用具本体の貸与価格に複合機能の価格を転嫁することは認めない。
ただし、現時点で該当する製品例が上げられなかったことから、テクノエイド協会常務理事・本村光節氏は「メーカーがパンフレット等で分かりやすく説明できるよう、『本体との分離』の考え方や価格の分け方などを具体的に示す必要がある」と意見を述べた。
なお、居宅での利用が前提であることから、屋外で利用者が装着し位置情報を知らせるような携帯型機器は対象外。また、脈拍や心拍など生体情報の検知機能は、徘徊感知という本来の目的に沿わないことから、複合機能に含まない方向とした。
実証効果が待たれる介護ロボット
経済産業省が開発・導入実証事業を行っている介護ロボットについて、介護保険サービスで取り扱う際の課題等も議論。居宅で安全かつ効果的に利用するためのノウハウ、データ蓄積の必要性について意見が上がった。
介助者の動きを省力化するロボットスーツについて、日本介護支援専門員協会常任理事・助川未枝保氏は「在宅では、とっさに斜めに手を出す場面など、色んな動きが想定される」と説明。単純な前屈以外の動きについてもデータの蓄積を要望した。
また、コミュニケーション支援機器については、シルバーサービス振興会企画部長・久留善武氏が「コミュニケーションとは双方向の情報伝達。現在は機器側からの一方的なアプローチしか行えないものが多い」と指摘。日本作業療法士協会・渡邉慎一氏も「『癒し』だけでは給付対象に馴染まない。何らかの行動支援機能が必要」と述べ、「福祉用具専門相談員が効果を説明できるものでなければならない」と付け加えた。
介助者の動きを省力化するロボットスーツについて、日本介護支援専門員協会常任理事・助川未枝保氏は「在宅では、とっさに斜めに手を出す場面など、色んな動きが想定される」と説明。単純な前屈以外の動きについてもデータの蓄積を要望した。
また、コミュニケーション支援機器については、シルバーサービス振興会企画部長・久留善武氏が「コミュニケーションとは双方向の情報伝達。現在は機器側からの一方的なアプローチしか行えないものが多い」と指摘。日本作業療法士協会・渡邉慎一氏も「『癒し』だけでは給付対象に馴染まない。何らかの行動支援機能が必要」と述べ、「福祉用具専門相談員が効果を説明できるものでなければならない」と付け加えた。
福祉用具の範囲の考え方を厳密化
また、この日同省は、福祉用具の給付対象の判断となる基本的な考え方の7項目について、一般には分かりにくいとの意見を踏まえ、各項目の具体案を示した。
「1、要介護者等の自立の促進又は介護者の負担の軽減を図るもの」については、「要介護者が容易に日常生活において使用できるもの」を付け加えた。
また、「2、要介護者等でない者も使用する一般の生活用品でなく、介護のために新たな価値付けを有するもの」については▽玄関用踏み台やベンチのような一般生活用品▽シルバーカーのように必ずしも介護に着目した機能でないもの▽衝撃緩和マットのように一般的にもケガの予防等に用いられるもの――は対象外とすると記載。
「6、ある程度の経済的負担があり、給付対象となることにより利用促進が図られるもの」については、一般的に価格が低廉である一本杖、リハビリシューズ、尿瓶を対象外とすると例示した。
同検討会で示された案や意見は、11月に開催予定の社会保障審議会介護給付費分科会へ報告し、引き続き検討が行われる。
(シルバー産業新聞2014年11月10日号)
「1、要介護者等の自立の促進又は介護者の負担の軽減を図るもの」については、「要介護者が容易に日常生活において使用できるもの」を付け加えた。
また、「2、要介護者等でない者も使用する一般の生活用品でなく、介護のために新たな価値付けを有するもの」については▽玄関用踏み台やベンチのような一般生活用品▽シルバーカーのように必ずしも介護に着目した機能でないもの▽衝撃緩和マットのように一般的にもケガの予防等に用いられるもの――は対象外とすると記載。
「6、ある程度の経済的負担があり、給付対象となることにより利用促進が図られるもの」については、一般的に価格が低廉である一本杖、リハビリシューズ、尿瓶を対象外とすると例示した。
同検討会で示された案や意見は、11月に開催予定の社会保障審議会介護給付費分科会へ報告し、引き続き検討が行われる。
(シルバー産業新聞2014年11月10日号)