インタビュー

施行直前!福祉用具上限価格「適切に選択してもらうための仕組み」

施行直前!福祉用具上限価格「適切に選択してもらうための仕組み」

 福祉用具貸与は、10月から上限価格制の導入や全国平均価格の説明義務化などの見直しが控えている。福祉用具事業者は、各商品の価格をはじめ現場職員のオペレーションの見直し、利用者・ケアマネジャーへの案内など、さまざまな対応に追われている。厚生労働省老健局高齢者支援課・畑憲一郎課長補佐に聞いた。

 ――なぜ貸与価格に上限が設けられるのか。

 今回の改正の議論の中で、同一商品でありながら、非常に高額な保険請求が行われているケースが存在することが問題として指摘された。そのため、福祉用具の貸与価格は自由価格を基本としつつも、適正な貸与価格を確保するために、価格の上限を設けることになった。

 ――上限制は、高額な請求が存在する「外れ値」が問題なのか、貸与価格のバラツキが問題なのか。

 適正な価格での貸与を確保する観点から見直しを行っている。価格の上限を設ける以外にも、今回の改正では全国平均価格の公表や複数商品の提示など、利用者が適切に福祉用具を選択してもらうための仕組みを設けている。徹底的な見える化などを通じて、介護保険の基本理念である自己選択、自己決定を支援していくのが目的だ。

 ――上限を超える価格をつけた福祉用具は、保険給付の対象外となる。法的な根拠は。

 算定告示で、貸与価格の上限を超えて貸与を行った場合、「福祉用具貸与費は算定しない」との基準改正を行っている。上限を超える価格をつけた福祉用具を引き続き、保険を使って利用者に提供するのであれば、上限を超えない価格に再設定する必要がある。

 ――TAISコードや届出コードの付番により、請求実績が把握できる商品がおよそ1万7000件ある中で、今回、全国平均価格や上限価格が公表された福祉用具は2807商品だった。

 ある程度の貸与実績がないと、標準偏差が安定しないため、公表する福祉用具については、貸与実績が月平均で100件以上あるものに絞っている。その結果、2807商品となった。商品数別に見ると少ない印象を受けるかもしれないが、貸与件数別で見れば、100件以上に絞った場合でも、全体の貸与件数の9割以上をカバーしているというデータをこれまでの介護給付費分科会でも示している。

 ――今回、公表された2807商品以外に、追加の公表はあるのか。

 10月からの施行分については、今回公表した2807商品が対象となる。追加の公表はない。ただし、来年度以降は新商品についても3カ月に1度の頻度で、全国平均価格の公表や貸与価格の上限設定を行うことになっている。一度リストに公表されたものについては、貸与実績が100件を下回っても、リストからは外れないようにする。また、公表された全国平均価格や貸与価格の上限については、「おおむね1年に1度」の頻度で見直しを行うことになっている。

 ――そうしたことは、「施行後の実態を踏まえつつ、実施していく」と審議報告に記されている。具体的にどのような方法で実態を把握していくのか。

 介護報酬改定の効果検証や調査研究を行う「介護報酬改定検証・研究委員会」で、▽制度施行前後の貸与価格の実態▽福祉用具貸与事業者の経営の実態▽利用者への影響――などについて検証していく。10月以降に調査を行い、来年3月までに、介護給付費分科会に報告するスケジュールになっている。実態をよく見極めた上で、適切に対応していきたい。

(シルバー産業新聞2018年9月10日号)

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