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デイの栄養改善加算 管理栄養士との外部連携も

デイの栄養改善加算 管理栄養士との外部連携も

 厚生労働省は2017年11月29日、社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・慶應義塾大学名誉教授)を開き、口腔・栄養に係る報酬改定の論点を示した。通所系サービスでは、栄養ケアの充実をはかるため「栄養改善加算」の要件を緩和。外部の管理栄養士との連携も認めるとした。また、通所・居住系等では介護職員等による栄養スクリーニングの実施を評価するしくみも提案された。

 通所介護や通所リハビリテーションでは、管理栄養士を1人以上配置し、利用者ごとに摂食・嚥下機能や食形態に配慮した栄養ケア計画を作成、それをもとに管理栄養士等が栄養改善・記録・定期的な進捗の評価を行った場合に栄養改善加算(1回150単位)が算定できる。

 しかし、算定率は通所介護0.01%、通所リハ0.04%(ともに17年4月審査分より)と進んでおらず、「専門職が配置できない」「栄養改善が必要と思われる利用者がいない」などが主な理由。同省は、事業所外の管理栄養士と連携し同様の取組みを行った場合も算定を認める案を提示した。委員から反対意見は出なかったが、質の担保へ、連携する管理栄養士の要件の明確化や、事業所内で管理栄養士を配置している場合との報酬差を適正に行うべきとの意見があがった。

簡易評価で低栄養への早期介入

 また、同加算の算定状況に対し同省は「通所介護等では低栄養のリスクアセスメント等が適切に行われていない可能性がある」と指摘。対応として、栄養スクリーニングを定期的に実施し、利用者の栄養状態に係る情報をケアマネジャーへ文書で共有した場合に評価を行う案を示した。

 スクリーニング項目は介護職員等でも可能なものを想定。▽BMI18.5未満▽6カ月に3%以上の体重減少▽食事摂取量75%以下――などに該当するかを確認するとした。対象サービス案は通所系のほか、グループホームや特定施設等の居住系、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護としている。

栄養マネ加算にミールラウンド導入

 栄養マネジメント加算(1日14単位)は、低栄養リスクの高い入所者の支援を評価する観点から、多職種協働による栄養ケア計画作成や、定期的な食事の観察(ミールラウンド)を通じて重点的な栄養管理を行った場合、新たに評価するとした。多職種連携やミールラウンドのしくみは、施設サービスの「経口維持加算」で実践されており、低栄養予防でも同様の取組みを進めていく考えだ。

 また、同加算に係る管理栄養士の配置要件を緩和。現行では1施設1人の配置を原則とし、例外規定として①特養と同一敷地内の地域密着型特養②本体施設とサテライト型施設――の場合のみ、双方施設での兼務が認められている。今回の案では、①について同一敷地内であれば、施設の種類を問わず1施設に限り兼務を認めるとした。栄養マネジメント加算は特養で87%、老健94%、介護療養91%といずれも高い算定率が維持されている。

施設の口腔ケア要件緩和

 口腔関連では、歯科衛生士が施設入所者へ口腔ケアを実施した場合に算定できる「口腔衛生管理加算」(月110単位)について、対象者拡大の観点から、口腔ケアの実施回数を「月4回以上」から「月2回以上」へ緩和。一方で、歯科衛生士が施設の介護職員へ具体的な技術指導や助言を行うことを要件に位置づけ、質を維持していく。

 施設での同加算の算定率は6.5%と1割に満たず、未算定の理由の約半数が「歯科衛生士がいない」(44.6%)、続いて「算定の割に単位数が少ない」(15.0%)などとなっている。

(シルバー産業新聞2017年12月10日号)

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