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18年改定 通所介護にADLのアウトカム評価
厚生労働省は11月29日、社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・慶應義塾大学名誉教授)を開き、介護の質の評価に関する報酬改定の論点を整理、通所介護についてはADLの維持・改善度に応じて報酬を引き上げる案を示した。自立支援・重度化予防のアウトカム評価が早くも来年度からはじまる。一方、要介護度改善に対する事業所インセンティブは見送りとなった。
この日は▽介護サービスの質の評価・インセンティブ▽口腔・栄養▽人材確保――などのテーマについて議論(表)。質の評価では、通所介護利用者のうちADLの維持・改善の度合いが一定の水準を超えた場合に、その事業所を高く評価する案が出された。
ADLの評価指標には「バーセルインデックス(BI)」を用いる。BIは▽食事▽車いすからベッドへの移動▽トイレ動作――など10項目を5点刻みで点数化し、合計100点満点で評価するツール。例えば車いすからベッドへの移動は、「自立、ブレーキ、フットレストの操作も含む(15点)」「軽度の部分介助または監視を要する(10点)」「座ることは可能であるがほぼ全介助(5点)」「全介助または不可能(0点)」から選ぶ。
同省の調査では、BIをアセスメントに活用している通所介護は1割強にとどまり、活用しているADL指標が「無し」の事業所が約半数。一方、通所リハビリでは6割近くがBIを活用している。
また、維持・改善以外の要件については、データの信頼性の確保から一定数以上利用者がいることに加え、維持・改善の見込みが高い利用者のみの受け入れを誘引しないよう、要介護3以上の利用者が一定以上いることなどを設定し、中重度者へのサービス提供も確保する。
かつ、機能訓練のみにサービスが偏重しないよう、利用者の求めに応じて、定期的に食事や入浴介助を提供することも位置付ける。ADLの評価期間や利用者数、中重度者割合などの具体案については今後検討する。
さらに、これらの要件を満たした上で、評価期間終了後もBIの測定を継続し、データを保険者へ報告した場合には、より高い評価を設ける案も示された。現在、別の検討会で進めている「科学的介護」の実践に向けたエビデンス収集へ活用していく考えだ。
委員からは「例えば通所リハの併用など、他サービスの利用状況によっても維持・改善度に差が出てくる」(東憲太郎・全国老人保健施設協会会長)など、通所介護でのサービスによる効果かどうかの判断が難しいといった意見も一部であがった。
なお、同分科会の一巡目の議論にあがっていた「要介護度改善に対するインセンティブ」については、収支差等の分析から「要介護度が改善すると経営が悪化するという関係があるとはいえない」とし、引き続き要介護度に応じた報酬体系をとりつつ、質の高いサービスを加算等で評価していく方針を維持するとした。
ADLの評価指標には「バーセルインデックス(BI)」を用いる。BIは▽食事▽車いすからベッドへの移動▽トイレ動作――など10項目を5点刻みで点数化し、合計100点満点で評価するツール。例えば車いすからベッドへの移動は、「自立、ブレーキ、フットレストの操作も含む(15点)」「軽度の部分介助または監視を要する(10点)」「座ることは可能であるがほぼ全介助(5点)」「全介助または不可能(0点)」から選ぶ。
同省の調査では、BIをアセスメントに活用している通所介護は1割強にとどまり、活用しているADL指標が「無し」の事業所が約半数。一方、通所リハビリでは6割近くがBIを活用している。
また、維持・改善以外の要件については、データの信頼性の確保から一定数以上利用者がいることに加え、維持・改善の見込みが高い利用者のみの受け入れを誘引しないよう、要介護3以上の利用者が一定以上いることなどを設定し、中重度者へのサービス提供も確保する。
かつ、機能訓練のみにサービスが偏重しないよう、利用者の求めに応じて、定期的に食事や入浴介助を提供することも位置付ける。ADLの評価期間や利用者数、中重度者割合などの具体案については今後検討する。
さらに、これらの要件を満たした上で、評価期間終了後もBIの測定を継続し、データを保険者へ報告した場合には、より高い評価を設ける案も示された。現在、別の検討会で進めている「科学的介護」の実践に向けたエビデンス収集へ活用していく考えだ。
委員からは「例えば通所リハの併用など、他サービスの利用状況によっても維持・改善度に差が出てくる」(東憲太郎・全国老人保健施設協会会長)など、通所介護でのサービスによる効果かどうかの判断が難しいといった意見も一部であがった。
なお、同分科会の一巡目の議論にあがっていた「要介護度改善に対するインセンティブ」については、収支差等の分析から「要介護度が改善すると経営が悪化するという関係があるとはいえない」とし、引き続き要介護度に応じた報酬体系をとりつつ、質の高いサービスを加算等で評価していく方針を維持するとした。
見守り機器で夜勤人員を緩和
またこの日、介護人材対策の論点に示されたのが、見守り機器の導入による「夜勤職員配置加算」の要件緩和。夜間・深夜帯の見守り機能を維持しつつ、職員の負担軽減と人件費等の効率化をはかる。対象サービスは特養、短期入所生活介護。
同加算は、特養の場合、夜勤時間において人員基準を1人以上上回る介護職員・看護職員の加配を評価するもの。「夜勤時間」は夜10時~翌朝5時を含む連続した16時間(例えば夜7時~翌11時)で、この時間帯に従事する職員の合計勤務時間をもとに、月平均の人員配置数を算出する。
今回の案では、見守り機器を導入した場合、加配人員を「1人以上」から「0.9人以上」へ引下げ。加配人員の勤務時間を1割程度短縮することが可能となる。
算定要件は①ベッド上の入所者の動向を検知できる見守り機器を、入所者の15%以上に設置②施設内に見守り機器を安全かつ有効に活用するための委員会を設置し、必要な検討等を行う――。見守り機器の仕様に関しては、経済産業省の「介護ロボット重点分野」等を参考に、今後規定する。
(シルバー産業新聞2017年12月10日号)
同加算は、特養の場合、夜勤時間において人員基準を1人以上上回る介護職員・看護職員の加配を評価するもの。「夜勤時間」は夜10時~翌朝5時を含む連続した16時間(例えば夜7時~翌11時)で、この時間帯に従事する職員の合計勤務時間をもとに、月平均の人員配置数を算出する。
今回の案では、見守り機器を導入した場合、加配人員を「1人以上」から「0.9人以上」へ引下げ。加配人員の勤務時間を1割程度短縮することが可能となる。
算定要件は①ベッド上の入所者の動向を検知できる見守り機器を、入所者の15%以上に設置②施設内に見守り機器を安全かつ有効に活用するための委員会を設置し、必要な検討等を行う――。見守り機器の仕様に関しては、経済産業省の「介護ロボット重点分野」等を参考に、今後規定する。
(シルバー産業新聞2017年12月10日号)