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増益・減益企業に明暗 物価高・人件費高騰の影響も

増益・減益企業に明暗 物価高・人件費高騰の影響も

 介護系の上場企業の25年3月期決算が出揃った。物価高や賃上げの圧力が強まる中で、介護サービス系9社は4社のみが増益、用具系関連11社は増益5社と明暗が分かれた。

福祉用具・用品上場企業の業績

王子HD(通期)
 紙おむつを含む生活産業資材の売上は8327億円(前年比4.3%増、以下同じ)、利益85億円(60.1%減)。大人用おむつは新規顧客獲得により増収、子供用おむつが昨年9月で国内事業から撤退したため減収となった。

ユニ・チャーム(25/1~3、3カ月間)
 25年12月期のパーソナルケアの売上は1868億円(5.9%減)、利益218億円(28.1%減)。ADLに合わせた豊富な商品ラインアップとサービスを展開。超音波接合を活用した紙パンツは、はき心地の快適性と商品を梱包する際の圧縮率の改良で社会課題の解決に貢献。

花王(25/1~3、3カ月間)
 ハイジーン&リビングケア事業部の売上は1245億円(3.7%増)、利益167億円(27.5%増)。ベビー用紙おむつ「メリーズ」の売り上げは前年同期を下回ったが、日本市場におけるシェアは伸長。同商品の営業利益は、稼ぐ力の改革等の取り組みが寄与し、黒字転換。

大王製紙(通期)
 ホーム&パーソナルケア事業の売上は2951億円(0.7%増)、13.6億円の損失。原燃料価格や物流費高騰に対する価格改定により売上高は前年同期を上回り、前年同期のセグメント損失40.8億円を下回った。

パラマウントベッドHD(通期)
 売上は1085億円(2.4%増)。介護652億円(6.4%増)、医療402億円(1.1%減)、健康16億円(23.7%減)など。介護事業は、見守り支援システム「眠りCONNECT」・体動センサー「眠りSCAN」等の拡販に注力し売上増。

トーカイ(通期)
 病院・介護769億円(7.8%増)、調剤580億円(11.0%増)、リースキン149億円(0.1%減)。戦略商品「入院・入居セット」の営業強化などに加え、長野県の介護センター花岡を連結子会社化するなどM&Aを実施。

日本ケアサプライ(通期)
 売上は320億円(11.9%増)、利益24.5億円(13.2%増)。福祉用具サービスでは、IT工程管理システムでサービス品質向上や効率化。各種ネットワークを活用して介護施設への商品・サービスの拡販を推進。

ピジョン(25/1~3、3カ月間)
 売上252億円(6.2%増)、ベビーケア、子育て支援、ヘルスケア・介護で構成される日本事業の利益4.4億円(15.8%減)。ヘルスケア・介護については、前年4月1日付の子会社株式譲渡の影響もあり、売上高は前年同期を下回った。

プラッツ(24/7~25/3、9カ月)
 売上63.3億円(30.7%増)、利益1.7億円(183.2%増)。2024年4月にウレタンマットレス加工販売のやまと産業株式会社を連結子会社化。海外市場の販売は中国への出荷が好調。前年同期比33.3%増。

幸和製作所(24/3~25/2、通期)
 売上63.6億円(0.6%減)、利益7.9億円(15.9%減)。主力の歩行関連商品の出荷が堅調に推移したものの円安による仕入価格高騰や物流費高騰等の影響で利益減となった。

介護サービス上場企業の業績

SOMPOHD(通期)
 介護事業の売上は1826億円(3.0%増)、利益61億円(24.7%減)。入居率は94.7%(1.8%増)。利用者が増加し、売上も増加したが、処遇改善や物価高騰によるコストの増加が大きかった。

学研HD(24/10~25/3、6カ月)
 教育と居住サービス。高齢者住宅売上223億円(11.6%増)、営業利益5.9億円(45.2%減)。認知症GH199億円(6.9%増)、営業利益9.1億円(23.9%減)。引き続き高水準の入居率を維持するも、営業利益は水道光熱費.食材費などの高騰の影響を受け減益。

セントケアHD(通期)
 介護サービス事業552億円(4.2%増)、利益15.5億円(25.6%減)。訪問系は増収減益、施設系は看多機を新規で7カ所開設し増収増益も、デイやGHは費用増で減益となった。

綜合警備保障(通期)
 介護事業533億円(4.7%増)、利益14.9億円(14.3%増)。施設等の入居率の堅調な推移が業績向上に寄与。東京科学大学、株式会社エヌジェイアイ共同出資による株式会社科学的看護・介護研究機構が事業を開始。

ソラスト(通期)
 介護事業553億円(2.7%増)、利益22.1億円(49.6%増)。前年度に子会社化したポシブル医科学株式会社、株式会社ソラストケア等の計4社および新規開設事業所の業績が貢献。介護事業所の統廃合をはじめとする効率化を進め大幅増益。

シップヘルスケアHD(通期)
 医療機器、医療品、調剤、介護。ライフケア事業部売上334億円(2.3%増)、営業利益21.8億円(16.0%減)。新規施設開設の先行費用を計上したことや光熱費の高騰等により減益。

シダー(通期)
 売上178億円(3.0%増)、営業利益8.9億円(16.2%増)。デイサービスは施設稼働率向上により売上.利益増、在宅サービスは効率化努力も赤字拡大。

ヒューマンHD(通期)
 人材派遣、教育、介護。介護事業は売上123億円(5.2%増)、営業利益2.0億円(14.5%減)。採用.定着強化で稼働率改善し売上増加も、人件費増で営業利益は前期比減少となった。

ケアサービス(通期)
 介護からエンゼルケアまで。売上96.3億円(2.3%増)、営業利益5.2億円(0.5%増)。デイは日曜営業終了で売上減、訪問入浴は増収も、人件費.物価高で減益。

チャーム・ケア(24/7~25/3、9カ月)
 介護事業の売上287億円(17.0%増)、利益33.8億円(9.0%増)。アッパーミドル~富裕層をターゲットとした高価格帯ブランドをはじめ、バランスの取れた積極的な新規開設を促進。当期は、M&Aにより首都圏5ホーム、近畿圏2ホームを取得。
(シルバー産業新聞2025年6月10日号)

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