インタビュー・座談会

ワキタ 脇田貞二社長 「互いに良いところを学び合っていきたい」

ワキタ 脇田貞二社長 「互いに良いところを学び合っていきたい」

 建設機器レンタル大手のワキタ(大阪市中央区、脇田貞二社長)はこのほど、福祉用具レンタル卸事業を展開するケアレックス(東京都新宿区)をH・U・グループホールディングスから買収した。同社ではこれまでもサンネットワークリブやニチイケアネットを傘下に収め、福祉用具レンタル卸事業への参入・拡大を進めてきた。今回の買収はその流れをさらに加速させるもので、業界内での同社の存在感が高まっている。脇田貞二社長に経緯や狙いを聞いた。

 ――ケアレックス買収の経緯は。

 今年の6月頃に仲介業者を通じて話があった。当社では中期経営計画の中で、介護関連事業を含む「商事事業」を〝チャレンジ事業〞と位置付け、事業拡大に注力する方針を掲げている。我々の思いや考えを丁寧に説明し、評価してもらえた結果、ご縁をいただけることになった。

 我々の会社の経営方針として、「親会社・子会社」という言葉は使わないようにしている。これはグループ会社の良いところを壊さず、同じ船に乗る仲間として、互いに良いところを伸ばしていくためだ。

 ケアレックスの良さについては、これからしっかりと見定めさせてもらうつもりだが、福祉用具の自社レンタルを行っている地域の盟主のようなお客様が多く、商品の提案力や質の高いサービス・サポートが高く評価されている会社だと認識している。

 また、人材の定着率が非常に高く、複数年にわたって「健康経営優良法人」に選ばれるなど、社員を大事にされている会社という印象もある。企業の一番の力は人材。互いに良いところを見つけ合い、学び合っていきたいと考えている。

 ――ワキタでは、19年にサンネットワークリブ、23年にニチイケアネットをグループ化している。どのようにシナジーを出していくのか。

 当社の介護事業の売上は76.6億円(25年2月期)となっている。ケアレックスは58.9億円(25年3月期)なので、今回のグループ化によって、福祉用具レンタルの事業規模が大きく拡大する。そのため、ボリュームの部分でのシナジーをまずは見込んでいる。

 また、福祉用具レンタルの拠点数もこれまでの52カ所から86カ所へと拡大する。3社の事業エリアや客層が異なっているため、商圏が重なるエリアも一部にはあるが、バッティングすることはあまりないと見ている。むしろ、ネットワークが拡充することによって、在庫や配送の効率化につながり、競争力を高められる。これは建機事業も同じことが言える。

 あとは、フロント業務やバックオフィス業務、営業ノウハウ、業務システムや洗浄・メンテナンス方法など、いわゆるソフト面で共通化や効率化ができる部分を見つけて融合させていく。そのために、最も大事なのは人材の交流だ。草の根レベルで、互いの良いところを見つけ合い、新しい物や価値を生み出す風土を作っていきたい。

 ――介護関連事業の成長戦略について。

 高齢化の問題や人口構造の変化が、これからますます大きな課題となっていく。私自身も我が社の社員も、身内の介護に直面する中で、この事業の重要性や必要性を十分に理解しているつもりだ。

 ご縁があって福祉用具レンタル事業を展開することになったが、建機と同様、まさにシェアリングエコノミーで、必要な時に必要な物が利用でき、人的にも、経済的にも、さらに環境面でも、非常に理に適ったサービスだと実感している。店舗ネットワークの拡充や事業領域を拡大させていくとともに、今後も新たなM&Aなどの話があれば、前向きに検討していきたい。

 一方で、当社が直接、福祉用具貸与事業をする考えはない。我々の仕事はあくまで介護現場を支えるお客様をサポートする役割であり、レンタル卸の立場から成長戦略を描いていく。

 介護保険制度も施行から25年が経過して、特に人材面で制度疲労を起こしているように見える。こうした状況を変えていくためには、技術革新を上手く取り入れていくことが大事だ。

 建機事業では、カメラやセンサーによる安全性の確保や、デジタルシステムによる生産性の向上がかなり浸透してきている。介護分野でもデジタル商材にアプローチするとともに、ワキタならではの介護DXを実現して、地域や社会に貢献していきたい。

(シルバー産業新聞2025年11月10日号)

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