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ヘルパーステーションひより(愛媛県松山市) 利用者・職員双方に安心・安全確保

ヘルパーステーションひより(愛媛県松山市) 利用者・職員双方に安心・安全確保

 愛媛県松山市の訪問介護事業所「ヘルパーステーションひより」では、ジェイテクトのパワーアシストスーツ「ジェイパスフレアリー」を導入し、ヘルパーの腰痛防止と安全なサービス提供に役立てている。

 同事業所は50〜70代のベテラン職員を中心に、約20人の利用者を担当。ターミナル期を含む中重度者にも、訪問看護などと連携し積極的に対応している。

 介護福祉士でサービス提供責任者を務める坂本篤さんは、要介護5の男性で半身まひがある透析患者のAさんを担当。本人の「自宅でお風呂に入りたい」という強い希望を叶えるため、週2回の入浴介助を継続中だ。

 Aさんは脳梗塞の後遺症で半身にまひが残る。以前は健側の残存機能で踏ん張りもできていたが、透析治療の継続と入退院の繰り返しで身体機能が徐々に低下。最近では立位保持が難しく、移乗などもほぼ全介助の状態に。皮膚も脆弱で、入浴や移乗時の皮膚損傷リスクも高い。

 1回1時間の訪問中に、ベッドからシャワーチェアに移り、そこからトイレを経て浴室へと8回前後の移乗が必要で、その都度ヘルパーには約40㎏の全体重がのしかかる。代表の松本ナツエさんは「Aさんは、我々が支えないと在宅で暮らせない。ただ今後も支え続けるには、スタッフの身体を守る方策を急ぎ確保する必要があった」と話す。移乗補助具の活用や介助姿勢の工夫などにも限界があり、アシストスーツの導入に至った。
代表の松本さん(左)と ヘルパーの坂本さん

代表の松本さん(左)と ヘルパーの坂本さん

 導入のきっかけは、市内で開かれた福祉用具展示会。特養での勤務経験がありノーリフティングケアにも関心の高い坂本さんが情報収集のため参加し、そこで目にしたのがジェイパスフレアリーだった。

 「以前施設で使ったことのある空気圧式スーツは、金属フレームがかさばり、在宅には不向き。フレアリーは軽くてフレームがなく、素材も布地で柔らかくご利用者への肌当たりも優しい。Aさんへの介助に使える可能性を感じた」と振り返る。その後、福祉用具業者に依頼して試用を開始。複数の同系スーツとも比較し、防水性能が高くトイレや浴室など狭い場所でも取り回しやすい同品の導入を決めた。

 フレアリーは、介助時の身体の動きを検知し、自動で自然な動作をサポート。おむつ交換などで中腰になるとスーツ内のベルトがモーターで巻き上げられ、腰への負担を減らす。また移乗やトイレ介助など、瞬間的に大きな力が必要な際も、タイミングを合わせてアシスト。作業に合わせてアシストの仕方や強さを変えられる。在宅でも移乗やトイレ・入浴介助、掃除など幅広い場面で使える。
 坂本さんによるAさんの入浴支援では、ベッドからシャワーチェアに移り、いったんトイレを経由し排泄介助してから、浴室へ移り洗体などのケアを行う。移乗の都度、ジェイパスフレアリーが中腰姿勢などの負担をしっかり軽減する。

 「ご利用者の身体に触れる『第三の手』のように、さりげなくサポートしてくれる感覚がある」と坂本さん。介助動作のアシストだけでなく、利用者への安心感にも繋がっているという。装着には20秒もかからず、素早く着脱できる。コンパクトにたためるので、市販のリュックサックに収納し利用者宅へ持参している。

 「最初は慣れない部分があったが、腰をやや深く落として立ち上がればさらに負担が減ることに気づくなど、使ううちに効果が引き出されてきた。操作ボタンもシンプルで必要に応じてアシスト力を切り替えやすく、業務は格段に楽になった」と坂本さん。

 「高齢のヘルパーにとって働き続けることは生きがいにもなり、介護予防にもつながる。腰痛で離職せず元気に働けることで、利用者も在宅生活を継続できる。今後さらに活用を拡げて、中高年ヘルパーの就業継続もアシストしてくれれば」と松本さんは話した。

 同スーツの問合せは、ジェイテクトBRアクティブ・ライフ推進部(TEL0566・25・5193)まで。
(シルバー産業新聞2025年8月10日号)

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