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次期改正へ住宅型有老やサ高住の「囲い込み」対策など検討

厚生労働省は今春、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(仮称)」を新たに立ち上げる。住宅型有老ホームやサービス付き高齢者向け住宅で入居者に対して過剰なサービス提供を行う囲い込みへの対策や、効果的な指導監督のあり方、さらに入居者紹介業者の運営の透明性を高める方策なども検討する。夏ごろに取りまとめを行い、報告を受けた社会保障審議会介護保険部会で次期改正での対応を検討する。
自治体の整備計画 「住宅型やサ高住の供給量考慮」3割
新検討会の仮称では「有料老人ホームにおける」としているが、国は「サ高住も96%が有料老人ホームに該当する」と説明しており、有老ホームに限定することなくサ高住も議論の対象となる。
2022年の有老ホーム(サ高住除く)の数は1万5928棟。入居者数も61万人を超え、特養の64万人に迫る。サ高住も8130棟、27万8320人でペースは鈍化しつつも伸長を続けている。これらの高齢者向け住まいは、特に大都市圏での増加率が高く、19~24年度の5年間の増加率は全国平均17%に対し、一都三県、大阪、愛知、福岡では22%と上回る。
入居者の高齢化、重度化も進む。14年は介護付き有老、住宅型有老、サ高住の入居者は85歳~89歳の年齢層が最も多かったが、24年ではいずれも90歳以上が最多で3~4割を占めている。どの類型でも要介護3以上の中重度者の割合も増えており、住宅型有老ホームでは10年で48%から55%へ増加した。退去理由も死亡が最も多い(介護付き:59%、住宅型:55%、サ高住:43%)。
同省の峰村浩司高齢者支援課長は、「大都市部において自立・軽度者はサ高住、要介護者は住宅型有老が主な受け皿となっている。一方、町村部では、要介護度が高い人は地域の特養に入所していると考えられ、特養に入れない軽度者は介護付きや住宅型が受け皿となっていると考えられる」と説明する。
市町村が策定する介護保険事業計画の第9期指針では「有老ホームやサ高住が多様な介護ニーズの受け皿となっている状況を踏まえ、地域における設置状況や、要介護者等の人数、利用状況等を必要に応じて勘案すること」と定めているが、計画で介護保険施設や居住系サービスの整備量を定めるにあたり、住宅型有老ホームやサ高住の供給量を考慮している自治体はおよそ30%に止まる。峰村課長は、「実効性の確保が課題だ」と指摘し、新たな検討会では「自治体はどのように高齢者の住まい・介護ニーズを把握し、地域に必要なサービス提供体制を確保するべきか」も論点となる。
2022年の有老ホーム(サ高住除く)の数は1万5928棟。入居者数も61万人を超え、特養の64万人に迫る。サ高住も8130棟、27万8320人でペースは鈍化しつつも伸長を続けている。これらの高齢者向け住まいは、特に大都市圏での増加率が高く、19~24年度の5年間の増加率は全国平均17%に対し、一都三県、大阪、愛知、福岡では22%と上回る。
入居者の高齢化、重度化も進む。14年は介護付き有老、住宅型有老、サ高住の入居者は85歳~89歳の年齢層が最も多かったが、24年ではいずれも90歳以上が最多で3~4割を占めている。どの類型でも要介護3以上の中重度者の割合も増えており、住宅型有老ホームでは10年で48%から55%へ増加した。退去理由も死亡が最も多い(介護付き:59%、住宅型:55%、サ高住:43%)。
同省の峰村浩司高齢者支援課長は、「大都市部において自立・軽度者はサ高住、要介護者は住宅型有老が主な受け皿となっている。一方、町村部では、要介護度が高い人は地域の特養に入所していると考えられ、特養に入れない軽度者は介護付きや住宅型が受け皿となっていると考えられる」と説明する。
市町村が策定する介護保険事業計画の第9期指針では「有老ホームやサ高住が多様な介護ニーズの受け皿となっている状況を踏まえ、地域における設置状況や、要介護者等の人数、利用状況等を必要に応じて勘案すること」と定めているが、計画で介護保険施設や居住系サービスの整備量を定めるにあたり、住宅型有老ホームやサ高住の供給量を考慮している自治体はおよそ30%に止まる。峰村課長は、「実効性の確保が課題だ」と指摘し、新たな検討会では「自治体はどのように高齢者の住まい・介護ニーズを把握し、地域に必要なサービス提供体制を確保するべきか」も論点となる。
囲い込み対策、報酬体系の見直しも含めて議論
いわゆる囲い込みや不適切な人材紹介事業者へのさらなる対応も検討される。昨年6月に閣議決定された政府の骨太方針では、「高齢者向け住宅の入居者に対する過剰な介護サービス提供の問題や、医療・介護の人材確保に関し、就職・離職を繰り返す等の不適切な人材紹介に対する紹介手数料の負担の問題などについて、報酬体系の見直しや規制強化、公的な職業紹介の機能の強化の更なる検討を含め、実効性ある対策を講ずる」と位置付けられている。
囲い込みについては、同一建物減算の拡充で介護報酬上の対応が図られている。しかし、財務省は「減算といった個別の対応策に止まらず、外付けで介護サービスを利用する場合も、区分支給限度基準額ではなく、特定施設入居者生活介護の報酬を利用上限とするべき」と抜本的な報酬体系の見直しを主張する。
新検討会の設置が報告された3月17日の介護保険部会では、委員から「一部の事業者で不適切な事例はあっても、多くの事業者は適切にサービス提供をしている。サービスの量や質の点検を強化する観点で議論を深めてほしい」「ケアプランの点検事業の体制強化を行っていくことが最も効果的。在宅の独居高齢者とのケアプランや包括報酬の介護付き有老ホームを利用している場合のケアプランとも比較し検討した上で、客観的に過剰であるのか適切なのかの判断ができる仕組みを構築しなければならない」などの意見が挙がった。22年度に高齢者向け住まいに、家賃や利用者のケアプランの確認を行った自治体は246に止まっている。
囲い込みについては、同一建物減算の拡充で介護報酬上の対応が図られている。しかし、財務省は「減算といった個別の対応策に止まらず、外付けで介護サービスを利用する場合も、区分支給限度基準額ではなく、特定施設入居者生活介護の報酬を利用上限とするべき」と抜本的な報酬体系の見直しを主張する。
新検討会の設置が報告された3月17日の介護保険部会では、委員から「一部の事業者で不適切な事例はあっても、多くの事業者は適切にサービス提供をしている。サービスの量や質の点検を強化する観点で議論を深めてほしい」「ケアプランの点検事業の体制強化を行っていくことが最も効果的。在宅の独居高齢者とのケアプランや包括報酬の介護付き有老ホームを利用している場合のケアプランとも比較し検討した上で、客観的に過剰であるのか適切なのかの判断ができる仕組みを構築しなければならない」などの意見が挙がった。22年度に高齢者向け住まいに、家賃や利用者のケアプランの確認を行った自治体は246に止まっている。
(シルバー産業新聞2025年4月10日号)