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ケアプランデータ連携システム 現場とともに普及図る 大阪・河内長野市

ケアプランデータ連携システム 現場とともに普及図る 大阪・河内長野市

 ワムネットによるとワムネットによると8月15日現在、ケアプランデータ連携システムの利用登録をする事業所は1万3613事業所、うち居宅介護支援は3494事業所で利用率は10%ほどに留まっている。

 国は介護テクノロジー導入のKPIで、26年度中に同システムの利用割合が3割以上の自治体が、全国で50%に達することを目指している。

 これに向け各都道府県が主体となり、テクノロジー導入支援やモデル地域づくりなどの事業を通じて、利用促進を図っている。

 大阪府河内長野市では、市が先行して同システムを活用する法人の協力を得て、事業所の啓発を図る研修会を開催するなど、現場と協働しながら普及に努めている。

 市内で幅広く介護サービスを展開する医療法人生登会は、特養や老健、居宅介護支援や通所などの各種居宅サービスで、のべ15事業所がシステムに登録し、同市のシステム利用事業所の半数を占める。

 同法人は昨年5月に居宅介護支援からシステムを利用開始。「事務作業やパソコン作業でのヒューマンエラーが一定数発生してしまうこと、また若い人材を募る際にデジタル業務環境の整備も重要と考えた」と、同法人「てらもとケアプランセンター」管理者の土肥とも子さんは導入のきっかけを語る。


 ケアマネジャーは12人在籍し、のべ500件以上のケアプランを担当。計画書や提供票を共有するサービス事業所は150件以上あり、月末~月初には大量の帳票をFAXなどでやりとりしてきた。「長年の間、時間と労力をかけてきた作業がデジタル化されれば、負担が大きく減らせると導入を決めた」と土肥さんは振り返る。

 同事業所では数人ずつ操作の習得を進め、現在半数のケアマネがシステムを使える。「初期設定や操作でわからないことは、国保中央会の問合せ窓口が丁寧に教えてくれる。3~4回ほど経験を積めば、だいたい慣れる」と土肥さん。

 各サービス事業所との間で、帳票を確認するタイミングや月途中でのプラン変更時の対応など、ルールを決めた上で活用。取材時点では15事業所ほどとの連携に留まり、帳票数の多い訪問系サービスとの連携はなかったが、やりとりする紙の枚数は導入前よりも1割以上減ったという。

 「以前のように、原票を参照しながらチェックする必要がなく、身体が楽でほとんどミスも起こらない。毎月10時間はかかっていた事務作業が、感覚的には2時間ほど削減された」と土肥さん。帳票だけでなくメッセージのやりとりもできるので、事務連絡も円滑になっている。


 「連携システムは、地域の事業所が一斉に導入しないとメリットが小さい。当市はケアマネジャーの横のつながりが強いので、市内ケアマネによる会議体など各所で、日頃から情報共有を図っている」と市介護保険課給付係の田中さやか係長。

 同市では、府の協力のもと、昨年11月に市内の事業所を対象とした研修会を開催、ケアマネを中心に約50人が参加した。

 大阪介護支援専門員協会の推挙もあり、講師には土肥さんを招き、現場目線で実際の操作感や活用メリットなどを伝えてもらった。

 その後利用登録は増えてはいるが、市内37カ所ある居宅介護支援事業所のうち、現状4事業所の利用に留まる。

 メリットは理解できても、PC操作への苦手感なども障壁だ。「導入に二の足を踏む事業所では、『クラウド』や『csv』といった用語だけで敬遠される場合もある」と土肥さん。

 またシステムの操作を試す機会がほとんどないのも課題の一つ。「操作自体は慣れれば意外と簡単。ケアマネ同士の距離感の近さを活かし、事業所へ出向いて、ダミーデータでシステムを一緒に体感してもらうことなどもできれば」と土肥さんは話す。

 市では今後、導入事業所の協力も得ながら、市内各事業所へのシステムの啓発を図り、地域全体での業務改善へ向け支援を続けていく。
(シルバー産業新聞2025年3月10日号・一部編集)
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