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福祉用具 TAISか「届出コード」必須 10月利用分から

福祉用具 TAISか「届出コード」必須 10月利用分から

 2018年10月からの福祉用具の全国平均貸与価格の提示と上限価格の設定に向け、厚生労働省は8月25日、関係通知を全国の介護保険担当課宛に発出した。福祉用具の価格情報を把握するために、17年10月のサービス利用分(11月請求分)から、請求の際に必ず11桁からなるTAISコードか福祉用具届出コード(以下、届出コード)のいずれかの記載を求める。コードの記載がない請求については返戻扱いとなる。これを受け、テクノエイド協会では福祉用具メーカーに対し、9月30日までにTAISコード未登録の製品について、TAISコードか届出コードのいずれかを取得するよう求めている。

 次期介護報酬改定で福祉用具貸与については、2018年10月以降、▽事業者が全国平均貸与価格を開示した上で、自社の価格を説明▽機能や価格帯の異なる複数商品を提示▽貸与価格に一定の上限(全国平均貸与価格+1標準偏差)を設ける――などの見直しが予定されている。

 これを受け、厚生労働省は国保連、テクノエイド協会らと協議を重ね、具体的な仕組みを検討。8月25日に「福祉用具貸与価格の全国的な状況の把握について」と題する通知を発出し、福祉用具の価格情報を把握するための具体策や制度施行までのスケジュールなどを通達した。それによると、今後、福祉用具貸与の請求に当たっては、介護給付費明細書にTAISコードか福祉用具届出コードのいずれかを記載することを求めている。必要となるコード表は10月までに公表される予定だ。
 国が福祉用具の全てのアイテムの価格情報を把握したり、上限価格を設定するためには、国保連に請求があった際に、商品情報と価格情報を一元的に把握する仕組みが必要になる。TAISコードのある製品については、コード番号を判別することで、そうした情報の把握が可能だが、TAISコードのない製品についてはそれができない。そのため今回、TAISコードのない製品に対して、国が新たに「5桁(企業)-6桁(商品)」の「福祉用具届出コード」を付与し、請求時に記載を徹底させることで、価格情報を把握し、全国平均価格の公表や上限価格の設定を行う仕組みを構築する。

 示されたスケジュールでは、17年の9月30日までに福祉用具メーカーや輸入事業者がTAISコードのない商品について、TAISコードか届出コードのいずれかを取得。その後、国がコード表を公表→10月のサービス提供分(11月請求分)から、貸与事業者が介護給付明細書にTAISコードか届出コードを記載。TAISコードか届出コードの記載がないものについては、国保連の審査において返戻扱いになるので注意が必要だ。その後、来年春から夏ごろにかけ、全国平均貸与価格と上限価格が公表され、10月に価格に関する新制度が施行される。

テクノエイド協会HPから申請

 2017年10月から、TAISコードか届出コードの記載のない請求については、返戻扱いになるのを受け、テクノエイド協会では、福祉用具メーカーや輸入事業者に対して、9月30日までにTAISコードか届出コードの取得を求めている。

 届出コードを取得するには、メーカーや輸入事業者が同協会のホームページに設置された「福祉用具届出システム」から申請を行う。 同協会によると、現在、TAISコードの登録がある商品は1万700アイテムで、請求件数に占める割合は85%程度。このため、残りのおよそ15%については、9月30日までにTAISコードか届出コードを取得しなければ、11月請求分にコードを記載できなくなる。

 ただし、過去にTAISコードに登録し、現在はコードを削除している用具については、今年度に限り届出コードの取得は不要。同協会の五島清国部長は「メーカーの負担が課題にならないようにするための措置」と説明する。該当するアイテムは2468件(17年6月利用分で請求実績)。これらの製品については、現在、同協会のホームページにリストが掲載されている。貸与事業者は17年度に限り、過去のTAISコードを記載して請求することができる。

 メーカーや輸入業者が届出コードの申請を行う際には、一つの用具につき必ずサービス提供実績か請求実績が必要となる。サービス提供実績のみ場合は、2カ月以内に請求実績を提出しないと、コードが削除される。請求実績を証明する書類(介護給付請求・明細書など)は、メーカーや輸入事業者が福祉用具貸与事業者に提供を依頼する。実績のないものについては届出コードを取得することはできない。

 このため、新製品についてもサービス提供実績や請求実績が必要になるので、9月30日までに届出コードを取得することは事実上できない。「TAISコードの登録は今まで通りなので、新製品の登録はTAISでお願いしたい」と五島部長は話す。リストが公表されて以降の新製品の届出については、リストの更新頻度や時期も含め、現時点では未定だ。ちなみにTAISコードは毎月申請ができるため、基本的にはメーカーが新製品を流通させる場合、届出コードではなく、TAISコードに登録する方がメリットは大きい。

 一方で、メーカーが倒産したり、廃番となった製品のコードを申請しない可能性については「実際に出てきた場合に検討する話」として、現時点では明確な方針は示されていない。また、申請にかかる費用についても、今年度は国の補助金事業で行われているため、負担は発生しないが、来年度以降は、事業の実施主体なども含め未定となっている。

(シルバー産業新聞2017年9月10日号)

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