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これからの介護保険 (187) 福祉用具貸与「価格の見える化」 

これからの介護保険 (187) 福祉用具貸与「価格の見える化」 

 いよいよ18年改正で福祉用具貸与の「価格の見える化」が進展する。まず4月1日から、福祉用具専門相談員は、福祉用具を貸与する際に、機能や価格帯の異なる複数の商品を提示するとともに、福祉用具サービス計画書をケアマネジャーにも交付しなければならない。

全国平均価格開示・上限設定・複数提示

 10月1日からは、貸与する福祉用具の全国平均価格を開示が義務づけられるとともに、国が貸与価格に上限設定を行う。「徹底的な見える化を通じて貸与価格のばらつきを抑制し、適正価格での貸与を確保するねらい」と国は説明している。

 4月実施の、機能や価格帯の異なる複数商品の提示について、全国福祉用具専門相談員協会は昨年9月に「ふくせん福祉用具サービス計画書・選定提案」という書式を発表した。従来の「ふくせん福祉用具サービス計画書」に、新たに機能と価格帯の異なる複数商品の提示を行うための書式「選定提案」を追加したもので、利用者ニーズに対応した福祉用具の品目(機種、型式、TAISコード)と、事業所の貸与価格、全国平均貸与価格(10月実施)、提案理由、説明方法(実物、カタログ等)、採否の結果を一覧表にした。

 これらを受けて、ふくせんの福祉用具サービス計画書には、従来の書式「利用計画」に「私は、貸与の候補となる機能や価格の異なる複数の福祉用具の提示を受けました」など、利用者のチェック欄を新設した。9月28日付けで厚労省はこのふくせん様式を各都道府県に事務連絡している。ただ、書類が増えることについて、業界には、事務負担増加や迅速な対応を遅延させるおそれがあるとの意見が強い。

 また、福祉用具専門相談員は、サービス計画書を利用者への説明・交付だけではなく、同じく4月からケアマネジャーにも交付しなければならない。この点はすでに実施している福祉用具事業者が多いが、ケアマネジャー研修での福祉用具必修化に伴い、今回の義務化により一段と福祉用具利用に関する共通認識が高まると期待されている。

上限制と平均価格開示で市場5%縮小か

 10月からは、全国平均価格の開示と上限制の導入が始まる。すでにこれまでもTAISコードのある福祉用具は、テクノエイド協会のホームページ上で機種別の全国の平均価格と最頻価格が公表されて、毎月更新されてきた。貸与機種の約2割がTAISコードの取得がなく、国も価格情報を把握できなかったことから、昨年11月から「福祉用具届出コード」を付番して、全貸与製品の価格情報がデジタルデータとして把握できるようになった。この価格データを用いて、機種ごとの全国平均貸与価格の公表と上限制の導入が行われる。

 10月から実施される上限制は、機種ごとに「全国平均貸与価格+1標準偏差」で実施される。標準偏差はデータの散らばりの大きさを表す指標で、価格のばらつきが富士山型の正規分布である場合には、「全国平均貸与価格+1標準偏差」は上位約16%が相当する。この上位16%は、保険給付が認められない。上限値を超える部分だけを自費にすることもできず、一から契約を見直す必要がある。契約を見直すに当たっては、全国平均貸与価格の開示が義務づけられるため、上位16%の貸与価格は一気に全国平均価格まで下がる可能性が高い。この場合、本紙のシミュレーションでは1度の上限設定で、貸与市場は5%程度縮小する。

 19年度以降、おおむね1年に1度の頻度で上限設定の見直しを行う予定。新製品についても3カ月1度に上限設定を行う。ただし、貸与件数が月平均100件未満の機種については、全国平均貸与価格の公表や上限設定の対象にはしない。ただ、国は「施行後の実態も踏まえつつ、実施していく」と、運営に流動的な姿勢を示している。

 福祉用具貸与価格には、ハード(仕入れ、洗浄消毒、修理保管)とソフト(搬出入、アセスメント、モニタリング、研修)の両面のコストを含み、18年改正による売上げの低下は人件費削減や新規購入控えなどを招き、サービス低下を余儀なくさせるおそれがある。介護人材の枯渇のなかで、適切な用具活用はますます重要になっている。

(シルバー産業新聞2018年2月10日号)

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