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上限制で前月比3.9%減 単価・利用者ダブル減

上限制で前月比3.9%減 単価・利用者ダブル減

 福祉用具貸与の18年10月分費用額が前月比で▲3.9%と、大幅な減額になった。10月からの全国平均貸与価格の公表と上限価格制の導入により、受給者数と1人単価がともに減少したのが、予想を上回る大幅な減額になった要因だ。介護給付費分科会の改定検証でも、上限制の導入の影響で福祉用具貸与の費用額が4億5,000万円の削減になったと報告された。

 厚労省「介護給付費実態統計」18年11月審査分(主に18年10月サービス分)によると、受給者数は221万人(前月比▲2.6万人、▲1.2%)、費用額は276億円(同▲11億円、▲3.9%)、1人当り費用額は12.5千円(前月0.3千円、▲2.7%)と、業界の予想を上回る影響になった。

 昨年7月13日、厚労省は3カ月後の10月からの施行をめざして、月平均100件以上の貸与実績のある2,807商品について、その全国平均価格と上限価格を公表した。10月から福祉用具専門相談員は全国平均価格の説明を行うとともに、上限価格を超えるレンタル製品は上限以下まで貸与価格の引下げが必要になった。その影響が介護給付費実態統計で単価と受給者数の減少となって表れた。
 18年介護報酬改定に関する厚労省の検証・研究事業の報告でも、給付減の状況が出された。上限価格を超える貸与品の費用総額は、総貸与費の1.5%に相当する3.42億円になった。これに、上限超で貸与終了となった分(1.18億円)、上限を超えない貸与の減少分(0.68億円)を加える一方、上限を超えない貸与での増加分(0.79億円)などを引くと、上限制導入によって削減した費用額は4.5億円になる(11面に詳細記事)。

 日本福祉用具供給協会(小野木孝二理事長)が独自に実施した貸与事業者への上限制導入影響調査では、▲2.6%の収入減という結果になっていた。実際には、受給者数の減少が加わり、予測を上回る▲3.9%まで事業収入が落ち込む結果になった。

 全体としての費用額の落込みは▲3.9%だったが、要介護度別に見ると、重度者ほど減少幅が大きくなった。要介護度別の落込み幅は、要支援1の▲2.1%から要介護5の▲4.6%まで重度化に伴って費用額が落ちた。重度者は重度化に伴って日常の利用頻度が落ちる場合があり、そうしたことも貸与をやめる要因と考えられる。
 また、都道府県別にみた18年9月から10月にかけての費用額の推移についても、富山県の▲9.4%、秋田県の▲9.3%と1割近い落込みがあった。その一方で、高知県+0.5%、佐賀県+2.4%と前月を上回るなど、都道府県によって影響に大きな差が出た(表)。比較的貸与価格の安い地域では、地域相場を上回る全国平均価格の開示によって貸与価格が引き上げられたケースも見られる。

 今年度以降、新製品が3カ月ごとに上限制の対象に見直されるほか、検証結果を踏まえておおむね1年ごとに上限制の見直しが実施される見込みだ。

(シルバー産業新聞2019年4月10日号)

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