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介護施設従事者等による高齢者虐待 4年連続増加・過去最多を更新

 3月9日の社会保障審議会介護保険部会で報告された2024年度の高齢者虐待防止法に基づく対応状況調査によると、養介護施設従事者等による虐待、養護者による虐待のいずれも相談・通報件数が増加し、施設従事者による虐待判断件数は過去最多を更新した。

 施設従事者等による虐待は、相談・通報が3633件、虐待判断が1220件で、いずれも前年度を上回り4年連続の増加となった。家族や同居人などの養護者による虐待は、相談・通報が4万1814件で12年連続の増加、虐待判断は1万7133件と高止まりしている。相談件数の増加に比べ判断件数の伸びは小さいが、家庭内、施設内の双方で虐待が依然として広がっている実態を示した。
26年3月9日 第134回社会保障審議会介護保険部会資料より引用

26年3月9日 第134回社会保障審議会介護保険部会資料より引用

 施設種別の虐待判断件数は、特別養護老人ホームが352件と最も多く、次いで有料老人ホーム346件、認知症対応型共同生活介護181件と続く。過去3年の推移では、特養や老健が高止まりする一方、認知症グループホームと有料老人ホームで増加傾向が目立つ。
 再発件数でも特養が高止まりし、有料老人ホームが増加傾向にある。虐待が一部の施設類型に集中し、再発防止の実効性が問われている。
 虐待の種別は、施設従事者によるものでは身体的虐待が51.1%と最多であり、心理的虐待27.7%、介護放棄25.7%と続く。身体的虐待では、身体拘束等がおよそ2割を占めた。
 発生場所は居室内が65.8%、発生時間帯は夜間が55.0%で、特定の介護行為に限らず起きている実態も示された。
 発生要因では、施設側で「虐待や権利擁護、身体拘束に関する知識・意識の不足」が75.9%、「倫理観・理念の欠如」が64.3%、「ストレス・感情コントロール」が62.5%と高い。組織面でも、指導管理体制の不十分さが61.9%に上った。
 一方、家庭内虐待では、身体的虐待が64.1%で最多。要因は「被虐待者の認知症の症状」58.1%、「介護疲れ・介護ストレス」57.2%が上位を占めた。さらに、相談・通報者では警察からの件数が初めて介護支援専門員や介護事業所・医療機関従事者の合計を上回った。
 これを受け、認知症の人と家族の会和田誠代表理事より、「虐待通報を常時受け付ける体制の確立が求められる。虐待対応では加害者と被害者の一時的な分離が初期対応として重要。介護疲れにあると再発リスクが高まる。虐待事案に限り、ショートステイなどの一時的な避難の受け皿を10割給付とするなど柔軟な制度設計が求められる」との要望が出された。

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