コラム

介護利用のポイント/服部真里子 【ケアマネ・介護相談 2】

介護利用のポイント/服部真里子 【ケアマネ・介護相談 2】

 介護や福祉について分からないこと、知りたいことが出てきたら、どこに連絡すればいいのでしょうか。このページでは、介護保険の利用を助けてくれる「ケアマネジャー」について紹介します。

長寿社会、大介護時代を豊かに生きるために

誰もが向き合う介護。だから無理しない

 日本は世界でトップの高齢社会になり、介護を必要とする人も増えています。親の介護、配偶者の介護、自分自身の介護と、誰もが介護と向き合う時代になりました。
 国の調査では、「介護が必要になってからも自宅で生活したい」と希望する人は約8割います。では、どうすればその人が希望する介護が提供できるのでしょうか。特に最近は入院期間が短くなり、退院後の介護が不可欠になりました。以下に介護のポイントを2つあげます。
 ①全地域にある無料の相談窓口:地域包括支援センターを利用
 介護サービスには「がん末期の訪問看護や医師、歯科医師が自宅に来てくれる診療」など健康保険で利用できる医療サービス、介護保険が使えるサービス、地域を支えるボランティアや宅配サービス、生協や商店街などの買い物配達サービス、市町村が行う「緊急通報サービス」「おむつ代の負担軽減」など、多くのサービスがあります。
 わからないこと、困ったことがあった時、相談に対応してくれるのが「地域包括支援センター」です。ここはお住まいの地域により担当のセンターが決まりますので、市町村に電話して「私の〇〇地域の地域包括支援センターは?」と聞くとすぐに教えてくれます。センターへの相談は、電話でも、直接訪ねても、または自宅に来てくれることもあります。
 ②介護サービスを利用したい時には:ケアマネジャーの連携
 居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、自宅に来てくれて、「話を聞き」「不安に寄り添い」「相談にのり」、どのような生活をしたいかに沿って、サービスのメニューを紹介して選べるようにしてくれます。要介護状態の原因を踏まえて主治医と連携し「今後どうしたいか」を実現するためのサポーターです。
 ①②とも無料ですが、各サービスの利用にかかる利用者負担については、事前にきちんと確認しておきましょう。
 ①②とも無料ですが、各サービスの利用にかかる利用者負担については、事前にきちんと確認しておきましょう。

無理しないが、あきらめない

 介護が初めての人には「分からないことだらけ」ですが、地域にある介護者の集まりでは、「同じ思いを経験した人」の話を聴くことができるほか、介護者を支援するNPO法人や介護の勉強会なども地域で開催されています。自分ひとりで向き合うと「孤立」し、無理しがちです。介護で仕事を辞める人が年間10万人もいます。「自分の健康に不安を感じる」が介護離職の理由のトップです。
 自分の人生、仕事、やりたいことと介護を両立するため、家族が急に入院した場合などの「緊急ショートステイ」や、「介護者の休息のためのレスパイト入院」など、多様な支援がありますので、ケアマネジャーに相談しましょう。

認知症に向き合うコツ

 認知症は誰もがなる可能性があります。アメリカのレーガン元大統領が「親愛なる国民の皆さん、私はアルツハイマーです」と明らかにしたのは30年以上前のことです。
 認知症は加齢に伴い発症率が高まります。しかし、道を忘れたり、着替えの順番や調理の仕方を忘れても、理解してくれる周りの人たちと環境を活用し、最期までその人らしく生きることができます。その人のできること、できないことを見極めて、今できることを活かす事が大切です。
 ①認知症かな?と感じたら、「診断を受け確定すること」が支援の第一歩です。進行を遅らせる薬も開発されています。
 ②できることを活かし、できないことを支援するため、定期的な診察、デイサービスや訪問介護、時にはショートステイを活用して暮らしを支援しましょう。
 ③24時間見守りや介護が必要になれば、認知症専用のケア付き住宅や施設への入所も選択肢の一つです。

今できること、あなたらしくいること

 認知症や脳梗塞や老衰、その他色々な病気で寝たきりになっても、「今できること」があります。そのできることを活かし、最期までその人らしい人生を過ごせるように医師や看護師、リハビリなどの専門職の力を得て、栄養ケア、薬や介護の力を結集させて支援しましょう。 介護は人のためだけではなく、そこから学ぶこともたくさんあります。
 介護をきっかけに、介護を通じて、新たな人生を拓きましょう。
(はっとり・まりこ)NPO 渋谷介護サポートセンター 事務局長。
 一般企業で勤務後、看護師資格取得。89年に服部メディカル研究所を設立。2000年より渋谷介護サポートセンターで居宅介護支援事業を始め、18年間ケアマネジャーとして従事。自宅でがん末期の母を看取った。元立教大学教授、日本ケアマネジメント学会理事研修委員長、看護師、社会福祉士、主任介護支援専門委員。

(介護の日しんぶん2018年11月11日)

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