介護保険と在宅介護のゆくえ

介護の仕事、ケアマネジメントの価値を報酬に反映させよう/服部万里子(連載82)

介護の仕事、ケアマネジメントの価値を報酬に反映させよう/服部万里子(連載82)

 2019年を迎えた。昨年4月の介護報酬改定では、各サービスで加算取得により単価をアップさせる方向が顕著であった。昨年9月サービス分では、65歳以上の要介護認定者数が654万4738人だったのに対し、介護サービス受給者は483万460人(受給率73.8%)で、利用者数は減少傾向が続いている。

1 認定者は増加 受給者は減少。

 8月からは3割負担が導入された。9月時点の65歳以上で、2割負担が34万538人、3割負担が25万4426人で合わせて約60万人、利用者の12.3%が7~8割給付に変わった。

 昨年9月サービス分の65歳以上では、特養、老健、療養型.介護医療院の4施設が21%、特定施設と認知症グループホームのケア付き住宅が9%で、残り70%が居宅でサービスを利用している。ケアマネジャーがケアプランを作成する要介護1~5が263万人(利用者の55%)で17年11月からプラン数が伸びていない。また、要支援1~2の予防プランは63.6万人で、総合事業への移行に伴い17年5月から35万人減少している。

2 在宅三大サービスの事業が厳しい

 居宅サービスでは、福祉用具貸与の利用者が215.5万人、通所介護が小規模デイサービス含め154万人、訪問介護が98.6万人で、利用者が多い三大サービスとなっている。

 福祉用具は昨年10月から全国平均価格を基準に上限価格制が始まり、通所介護は要支援が総合事業へ移行し、1時間ごとの単価に変わった。18年改正では、「小規模デイサービスの指定拒否権」が明文化された。

 訪問介護は利用者が総合事業へ移行し、昨年10月からは介護度別の生活援助の提供回数が全国平均利用回数+2標準偏差(2SD)のケアプランは、保険者への事前届け出が義務付けられた。18年4月審査分で、要介護1の65.4%、要介護2の56.7%が生活援助サービスを利用していた。厚労省からデータが出れば、その半年後に生活援助の提供状況がどのように変わったのか確認し、利用者の生活状況に目を向ける必要がある。

 昨年10月から「保険者機能強化推進交付金」として、保険者の取り組みや成果に合わせて交付金が市町村に出される制度が動き始めた。

 これにより、保険者による厳しい指導の矢面に立たされるのがケアマネジャーである。1月には全国1741市町村が交付金の申請を出し、市町村の競争が表面化してきたところだ。

3 利用者支援を貫こう

 消費税率引上げに伴う介護福祉士への処遇改善だけでは、介護の現場は救われない。訪問介護の7割、施設介護職の4割が非正規雇用(17年介護労働安定センター調査)であり、給与では全産業平均(賞与込み)36.6万円に対し、施設の介護職27.5万円、訪問介護員26.1万円となっており、10万円ほど低い(18年12月12日介護給付費分科会資料)。

 人員不足は加速し、訪問介護の82.4%が人員不足を訴えており、その原因は「採用困難」だ。その理由はグラフのように、「他産業に比べ労働条件がよくない」が挙げられている。合理化やスピードアップができない「人に向きあう仕事」の価値を報酬に反映させることが先決である。

 人に向きあう仕事はケアマネジメントでも同様で、ケアプランは全国平均では作成できない。利用者の自己決定権が失われれば、保険料を払っている分、措置よりも状況は悪いと言えよう。介護離職10万人を減らし、出産育児の離職10万人を減らすのは、介護・医療の安心が前提である。介護の仕事、ケアマネジメントの価値を現場から貫こう。

服部万里子(日本ケアマネジメント学会 理事研修委員長)

(シルバー産業新聞2019年1月10日号)

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