インタビュー・座談会
計画策定・選定・導入・運用・保守をワンストップで 介護経営が変わる伴走型ICT支援

キヤノン製品をはじめシステム機器等の導入・運用ソリューションを手がけるキヤノンシステムアンドサポート(東京都港区、平賀剛社長)は今年2月、「まかせてIT DXシリーズ」に、新たに「介護ソリューション」を追加し、サービス提供を開始した。人材確保、業務効率化の課題がより顕在化する介護業界へ、一層の支援強化をはかる。各種補助金の活用支援も同社の強み。介護報酬改定で新たに評価された生産性向上の取組みも踏まえ、「低コスト・高クオリティ」の施設経営を伴走支援する。業種ソリューション営業本部末岡淳一本部長、介護ICTソリューション推進部岡哲郎部長にサービスの特長や今後の展開を聞いた。
全国150拠点で中小企業を支援
――貴社が展開するITサポートの強みは。
末岡 当社はキヤノンマーケティングジャパングループの一員で、「お客さまの進化を支援する」をミッションとしている。
従業員300人未満の中小企業向けに、キヤノン製品をはじめさまざまなシステム機器やソリューションで業務課題を解決するとともに、当社自身が取組んだ生産性向上や業務改善などの変革の経験、キヤノングループで蓄積された知見をフル活用し、経営課題解決にもアプローチする。
全国約150拠点のネットワークと、そこに在籍する専門的な知識・スキルをもった社員がお客さまの課題を解決することで、地域を支える企業の皆さまに元気になっていただき、地域社会全体の活性化・発展に貢献していくビジネス展開をめざしている。
末岡 当社はキヤノンマーケティングジャパングループの一員で、「お客さまの進化を支援する」をミッションとしている。
従業員300人未満の中小企業向けに、キヤノン製品をはじめさまざまなシステム機器やソリューションで業務課題を解決するとともに、当社自身が取組んだ生産性向上や業務改善などの変革の経験、キヤノングループで蓄積された知見をフル活用し、経営課題解決にもアプローチする。
全国約150拠点のネットワークと、そこに在籍する専門的な知識・スキルをもった社員がお客さまの課題を解決することで、地域を支える企業の皆さまに元気になっていただき、地域社会全体の活性化・発展に貢献していくビジネス展開をめざしている。

末岡淳一本部長
――「まかせてIT DXシリーズ」の特長を教えてください。
末岡 「まかせてIT DXシリーズ」は、最適なIT機器の計画策定から選定・導入・運用・保守・教育までを一気通貫で支援する。代表的なサービスとして、事業継続のための重要なデータの保護、情報漏えい防止へセキュリティ対策を強化する「まかせてIT 安心パック」や、日々のIT環境の運用やトラブル時の復旧を支援する「まかせてIT 保守運用サービス」、ITの投資計画の策定や人材育成を支援する「まかせてIT 経営支援サービス・教育支援サービス」などがある。
カスタマーサポートセンターは困りごとを早期解決する専用窓口。さらに独自の「補助金ヘルプデスク」は補助金・助成金の案内や相談に応じる。介護事業者向けの施策については、全国の専任メンバーが担当地域の自治体に訪問して情報を入手し、お客さまの要望に応じてご提案する。
大きく変化する市場環境や働き方に対応し、売上拡大や生産性向上をはかるにはITの活用は不可欠だが、中小企業はITの知識を持ち運用ができる人材を確保することに苦慮している。比較的詳しい社員が本業と兼務するが、日常の運用からトラブル対応までの十分な体制がとられていないのが現状だ。
この部分を当社にアウトソースすることでITに関わる手間を最小限に抑え、限られた人材や時間を本業に集中いただくことが可能となる。
末岡 「まかせてIT DXシリーズ」は、最適なIT機器の計画策定から選定・導入・運用・保守・教育までを一気通貫で支援する。代表的なサービスとして、事業継続のための重要なデータの保護、情報漏えい防止へセキュリティ対策を強化する「まかせてIT 安心パック」や、日々のIT環境の運用やトラブル時の復旧を支援する「まかせてIT 保守運用サービス」、ITの投資計画の策定や人材育成を支援する「まかせてIT 経営支援サービス・教育支援サービス」などがある。
カスタマーサポートセンターは困りごとを早期解決する専用窓口。さらに独自の「補助金ヘルプデスク」は補助金・助成金の案内や相談に応じる。介護事業者向けの施策については、全国の専任メンバーが担当地域の自治体に訪問して情報を入手し、お客さまの要望に応じてご提案する。
大きく変化する市場環境や働き方に対応し、売上拡大や生産性向上をはかるにはITの活用は不可欠だが、中小企業はITの知識を持ち運用ができる人材を確保することに苦慮している。比較的詳しい社員が本業と兼務するが、日常の運用からトラブル対応までの十分な体制がとられていないのが現状だ。
この部分を当社にアウトソースすることでITに関わる手間を最小限に抑え、限られた人材や時間を本業に集中いただくことが可能となる。
「あるべき姿」への道筋を示す
――2月には「業種別ソリューション」の第1弾として「まかせてIT 介護ソリューション」の提供が始まりました。介護業界に注目した背景は。
末岡 専門領域の強化・新たな事業への取組として、以前から業種で区切ったサービス展開は必要だと考えていた。その中で介護は、少子高齢化・人材不足といった社会課題がより顕在化している。ICTの力で貢献する意義は大きい。
これまでにも介護施設での導入実績はあったものの、複合機や勤怠管理システム、セキュリティシステムなどのいわゆるバックオフィス業務の支援にとどまっていた。しかし、「進化を支援」するには、フロント業務のソリューションが不可欠だ。
2021年に介護福祉専任部署を立ち上げ、全国に専任メンバーを配置。強化をはかった。以降、約300の介護施設を支援しており、補助金に関する支援は7割を超える。
昨年6月にはケアコネクトジャパンと資本業務提携を締結した。同社の介護記録システム「ケアカルテ」は介護施設のユーザーも多く、見守り機器等との連携にも広く対応している。当社サービスを展開する上で、コア製品の一つになると考えた。
岡 2月にサービスの提供を開始した「まかせてIT 介護ソリューション」は、介護現場におけるICT機器やソフトウェアの効率的な運用を最大限サポートするもの。業種別ソリューション初のサービスとなる。
特長としては、お客さまの状況に合わせて記録システムと複数のICT機器を連携させ記録を一括管理することで、転記や再入力の手間をなくすことができる。
また、仮に不具合が生じた場合も当社の専用窓口が一括して対応するため、複数メーカーを導入した際にはメーカーごとに問合せをする必要もない。手続きが煩雑な補助金等の運用も全面的にバックアップする。
末岡 補助金のことは知っていても、適用範囲や、何を何台導入しどう活用すれば効率化が見出せるかのノウハウが十分に浸透していない。計画策定から選定・導入・運用・保守までワンストップで支援する「伴走型支援」が当社の最大の強みだ。
末岡 専門領域の強化・新たな事業への取組として、以前から業種で区切ったサービス展開は必要だと考えていた。その中で介護は、少子高齢化・人材不足といった社会課題がより顕在化している。ICTの力で貢献する意義は大きい。
これまでにも介護施設での導入実績はあったものの、複合機や勤怠管理システム、セキュリティシステムなどのいわゆるバックオフィス業務の支援にとどまっていた。しかし、「進化を支援」するには、フロント業務のソリューションが不可欠だ。
2021年に介護福祉専任部署を立ち上げ、全国に専任メンバーを配置。強化をはかった。以降、約300の介護施設を支援しており、補助金に関する支援は7割を超える。
昨年6月にはケアコネクトジャパンと資本業務提携を締結した。同社の介護記録システム「ケアカルテ」は介護施設のユーザーも多く、見守り機器等との連携にも広く対応している。当社サービスを展開する上で、コア製品の一つになると考えた。
岡 2月にサービスの提供を開始した「まかせてIT 介護ソリューション」は、介護現場におけるICT機器やソフトウェアの効率的な運用を最大限サポートするもの。業種別ソリューション初のサービスとなる。
特長としては、お客さまの状況に合わせて記録システムと複数のICT機器を連携させ記録を一括管理することで、転記や再入力の手間をなくすことができる。
また、仮に不具合が生じた場合も当社の専用窓口が一括して対応するため、複数メーカーを導入した際にはメーカーごとに問合せをする必要もない。手続きが煩雑な補助金等の運用も全面的にバックアップする。
末岡 補助金のことは知っていても、適用範囲や、何を何台導入しどう活用すれば効率化が見出せるかのノウハウが十分に浸透していない。計画策定から選定・導入・運用・保守までワンストップで支援する「伴走型支援」が当社の最大の強みだ。

岡哲郎部長
――具体的な機器選定や導入計画はどのようにアプローチするのですか。
岡 まずは既存のICT機器やソフトウェアの種類・台数・設置場所、Wi―Fi整備状況などを徹底調査する。建物の構造やフロア数も、ネットワーク環境や職員の動線等に関わるため、必要な情報となる。加えて、現場職員には経験年数等のほか、ICT機器の活用状況や業務負担に関するアンケートを実施し数値化。これらを総合的に評価したものが「現在地」となる。
これに対し、ICT機器やソフトウェアによって実現したいケア、職場環境や働き方を「あるべき姿」として設定。これをもとに長期目標、最適な運用プランを組み立てていくといったプロセスとなる。
――実際に介護現場に多い課題は。
末岡 例えば、利用者の心身状態確認のための頻回な訪室。行動予測が難しく、トイレ誘導のタイミングが合わずにベッドからの転落・転倒や睡眠妨害といったリスクを高めてしまっている。見守り機器を導入することでベッド上の状態が遠隔で常時把握でき、必要最小限の訪室回数に抑えられる。呼吸・脈拍等のバイタルサインを測定できるタイプは健康状態の可視化にもつながる。
また、何度もナースコールを鳴らす利用者のケースでは、ナースコールと介護記録をシステム連携し、呼出し時間・内容・対応を記録し分析。本当に訪室が必要である重要な動きを予測でき、行動へ移すことが可能となる。情報入力の手間も軽減される。
これらは介護のルーティンを「行く」から「見る」に変えたことで、負担軽減を実現。職員自身が実感することで、さらに利便性の高い使用方法について職場内コミュニケーションが深まるなど、働きやすい職場へと成長した施設もある。
――個々の業務効率化が、やがては施設全体の運営に活きてくるわけですね。
末岡 インカムや音声入力ツールによる記録は職員の経験年数やスキルに依存しないため、導入した施設からは均一かつ質の高い業務が可能になったと聞く。外国人介護職員を多用している現場でも有効であり、若手職員の採用にも好影響を与えるだろう。
見守りや記録などの間接介助・業務は、業務時間全体の約3分の1を占めている。介護職員は使命感やホスピタリティ高く利用者に接しているがゆえに、記録・連携・引継ぎ業務は手書きで行うことが仕事であるという認識が強かったのだろう。あるいは、単にICT機器を使用する機会がなかっただけのケースもある。もちろん記録等は大切な業務であり、無くすわけにはいかない。
ただし、ICT機器やソフトウェアを用いて効率化するという視点が今は重要。その先には利用者と接する時間を増やすことによる質の高い個別ケアの取組み、研修時間の確保による職員のサービス品質向上、適切な休憩時間の確保や残業時間の適正化といった職場環境改善などを見据えることができるようになる。
こうしたイメージと具体的な目標を施設と共有していくのもわれわれの役目だ。
――24年介護報酬改定では、生産性向上に資する委員会の設置義務化や加算新設が行われました。
末岡 新設の「生産性向上推進体制加算」の算定では、質の向上や業務負担軽減などの成果が求められる。「介護ロボット」「ICT」を統合したテクノロジー導入支援補助金では、今年度から生産性向上に資する計画作成を要件に加えるなど、生産性向上を軸とした施策へと舵が切られた。
今後も当社は、最適なICT機器の計画策定から、選定・導入・運用・保守までをワンストップで提供し、補助金を活用した導入提案とサポートで介護事業者の進化を支援していきたい。
岡 まずは既存のICT機器やソフトウェアの種類・台数・設置場所、Wi―Fi整備状況などを徹底調査する。建物の構造やフロア数も、ネットワーク環境や職員の動線等に関わるため、必要な情報となる。加えて、現場職員には経験年数等のほか、ICT機器の活用状況や業務負担に関するアンケートを実施し数値化。これらを総合的に評価したものが「現在地」となる。
これに対し、ICT機器やソフトウェアによって実現したいケア、職場環境や働き方を「あるべき姿」として設定。これをもとに長期目標、最適な運用プランを組み立てていくといったプロセスとなる。
――実際に介護現場に多い課題は。
末岡 例えば、利用者の心身状態確認のための頻回な訪室。行動予測が難しく、トイレ誘導のタイミングが合わずにベッドからの転落・転倒や睡眠妨害といったリスクを高めてしまっている。見守り機器を導入することでベッド上の状態が遠隔で常時把握でき、必要最小限の訪室回数に抑えられる。呼吸・脈拍等のバイタルサインを測定できるタイプは健康状態の可視化にもつながる。
また、何度もナースコールを鳴らす利用者のケースでは、ナースコールと介護記録をシステム連携し、呼出し時間・内容・対応を記録し分析。本当に訪室が必要である重要な動きを予測でき、行動へ移すことが可能となる。情報入力の手間も軽減される。
これらは介護のルーティンを「行く」から「見る」に変えたことで、負担軽減を実現。職員自身が実感することで、さらに利便性の高い使用方法について職場内コミュニケーションが深まるなど、働きやすい職場へと成長した施設もある。
――個々の業務効率化が、やがては施設全体の運営に活きてくるわけですね。
末岡 インカムや音声入力ツールによる記録は職員の経験年数やスキルに依存しないため、導入した施設からは均一かつ質の高い業務が可能になったと聞く。外国人介護職員を多用している現場でも有効であり、若手職員の採用にも好影響を与えるだろう。
見守りや記録などの間接介助・業務は、業務時間全体の約3分の1を占めている。介護職員は使命感やホスピタリティ高く利用者に接しているがゆえに、記録・連携・引継ぎ業務は手書きで行うことが仕事であるという認識が強かったのだろう。あるいは、単にICT機器を使用する機会がなかっただけのケースもある。もちろん記録等は大切な業務であり、無くすわけにはいかない。
ただし、ICT機器やソフトウェアを用いて効率化するという視点が今は重要。その先には利用者と接する時間を増やすことによる質の高い個別ケアの取組み、研修時間の確保による職員のサービス品質向上、適切な休憩時間の確保や残業時間の適正化といった職場環境改善などを見据えることができるようになる。
こうしたイメージと具体的な目標を施設と共有していくのもわれわれの役目だ。
――24年介護報酬改定では、生産性向上に資する委員会の設置義務化や加算新設が行われました。
末岡 新設の「生産性向上推進体制加算」の算定では、質の向上や業務負担軽減などの成果が求められる。「介護ロボット」「ICT」を統合したテクノロジー導入支援補助金では、今年度から生産性向上に資する計画作成を要件に加えるなど、生産性向上を軸とした施策へと舵が切られた。
今後も当社は、最適なICT機器の計画策定から、選定・導入・運用・保守までをワンストップで提供し、補助金を活用した導入提案とサポートで介護事業者の進化を支援していきたい。
【キヤノンシステムアンドサポートのサービスの詳細・問合せはこちら】
(シルバー産業新聞2024年6月10日号)
(シルバー産業新聞2024年6月10日号)