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生産性向上「支援する側」の変化への対応

生産性向上「支援する側」の変化への対応

 多くの都道府県で介護テクノロジー補助金の申請受付が遅れていたが、11月中にも大半が終了する。北海道では▽2024年度は補助率を80%(昨年度は50%または75%)へ引上げ▽補助対象に「道の認める機器」を追加し、業務改善に効果が期待できるとして介護現場から申請された場合には、介護ロボットやICT機器でなくても、道が判断して認める▽外部の専門家に相談をする「業務改善支援」も48万円まで補助する――など導入支援を強化。こうした拡充策は他の都道府県でも一部みられ、来年度以降の地域に即した補助金の柔軟性に繋がる期待も広がる。

 24年度より、介護施設や居住系サービスに生産性向上(業務改善)に関する委員会設置・開催が求められ(3年間の猶予期間あり)、それに加え見守りセンサー・インカム・ICT導入などを条件とした「生産性向上推進体制加算Ⅰ・Ⅱ」が新設されるなど、国の生産性向上に対する取組みが一層加速した。

 改正介護保険法では、3年ごとに都道府県の策定する「介護保険事業支援計画」に、業務改善の方針を記載することが求められ、推進役となることが努力義務とされた。

 こうした変化に対応するため、都道府県で介護生産性向上総合相談センター(ワンストップ相談窓口)の開設が相次ぎ、未開設の場合には国が主導して相談窓口を開設するなど、全国どこでも抜けのない体制づくりが急ピッチで進む。
財源についても国が23年度補正予算で351億円を確保し、都道府県の実施するメニューについて、24年度中に執行することを可能とした。

申請開始の遅れと対応

 こうした変更への対応を求められたのが都道府県。たとえば補助金の申請期間は、昨年度まで6月~9月が中心だったが、今年度は11月以降でも東京都(~11/5)、栃木県・鹿児島県(~11/8)、神奈川県(~11/15)、京都府(~11/29)、新潟県(~12/27)など大幅にずれ込んだ。

 神奈川県では今年度に限り、24年4月以降の契約・購入・導入などであれば、遡って申請受付を認める。北海道でも、発注開始時期を昨年度までの「交付決定通知」より前倒しし、「内定通知後」に開始しても良いとした。

 北海道が今年度より始めた「道の認める機器」への補助金は、1台当たり100万円まで、事業所の従業者数に応じて、1事業所につき100~260万円を認める。同様の規定は多くの府県に認められているが、道では、国の例示した「配膳ロボット」「床走行リフト等」「バイタルデータ収集・活用の機器」「入浴支援機器等」を列挙せず、より幅広に道内の介護現場からの申請に基づいて判断する姿勢を明確にした。

 ワンストップ相談窓口は、福祉用具事業者マルベリー(札幌市、高橋和則社長)と北海道社会福祉協議会(札幌市、長瀨清会長)に委託しており、生産性向上に向けた支援体制は、全国的にも評価が高い。

全国初「グループ討議」型支援

 札幌市の独自事業ではあるが、「機器導入をしたもののうまく使えない」「生産性向上推進体制加算をとりたいが、何をどうしたらよいかわからない」などの悩みをもつ施設を集めてグループ討議をする「介護現場のための生産性向上(業務改善)支援事業」(受託:介護労働安定センター北海道支部)を12月17日に開催する。▽介護記録ソフト導入済事業所▽見守りセンサー導入済事業所▽移乗支援機器導入済事業所▽見守りセンサー導入検討事業所▽インカム導入検討事業所――ごとにグループワークを設け、関心のあるテーマに絞って討議に参加できる。

 全国的に伴走型支援やセミナー・講演形式の業務改善支援は開催されているが、同じような悩みをもつ施設が集まりフラットに話し合う取り組みは珍しく、注目を集めている。

「どれが補助対象?」 テクノエイド協会が分野別に判断目安

 25年度から「機能訓練支援」「食事・栄養管理支援」「認知症生活支援・認知症ケア支援」が介護テクノロジーの新分野として補助対象に追加される。また、「入浴支援機器」分野の解釈見直しにより、現行の浴槽への出入りを支援する機器だけでなく、入浴ケアができる機器も認められる。「排泄予測支援機器」も、現行の事前予測タイプに限らず、排泄・排尿後に速やかに通知する事後通知タイプも補助対象になる。

 こうした介護テクノロジーの拡大は今後の主流となる。都道府県には、最新機器と独自判断による補助対象の絞り込みが求められる中で、25年度以降の給付判断が煩雑になることも懸念される。都道府県によって各社製品ごとの適否に開きがみられれば、申請者の介護施設やメーカーにも混乱が広がりかねない。

 こうした状況を受け、国はテクノエイド協会に委託して、11月より判断の目安となる介護テクノロジー機器への対応分野マーク表記をTAIS検索システム上で開始する。

 同協会では、福祉用具の分類コードであるTAIS発行を行い、ホームページ上で福祉用具の分類・検索や、介護保険給付の判断目安となる貸与・販売マーク表示を行ってきた。

 この仕組みを拡張し、11月以降順次、介護テクノロジー機器の対象となると判断された製品に16分野のうち該当分野の表記を行う。

 現行を含めTAISが発行された製品のすべてについて、同協会内で有識者による判断が行われ、情報公開される。

(シルバー産業新聞2024年11月10日号)

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