インタビュー

「介護の日」によせて 上野千鶴子さん (2)

「介護の日」によせて 上野千鶴子さん (2)

 著書「おひとりさまの老後」を著し、その後も医療・介護現場の取材を精力的に重ねてきた上野千鶴子さん。「おひとりさま」で最期まで暮らし続けるために必要なことを伺いました。

地域の資源が大事

 ――本人の強い意思のほかに、どんなことが必要になりますか。
 自分の住んでいる地域に利用可能な医療・看護・介護の資源がなければ、その希望は叶いません。ですので、まずは情報を集めましょう。
 自分の住んでいる地域に往診してくれる医師はいるか、24時間対応の訪問看護ステーションはあるか、そして同居家族がいない場合に何よりも重要になるのが、日々の暮らしを支えてくれる24時間対応の訪問介護の存在です。大手の介護事業者の中には、介護保険の定期巡回サービスに加え、配食や家事支援までをセットにした24時間365日のパッケージサービスを提供するところもあります。
 こうした24時間対応の①訪問介護②訪問看護③訪問診療――の3点セットが地域にあれば、おひとりさまでも家で暮らし続けることは可能です。さらに訪問薬剤管理や訪問歯科診療、訪問リハビリテーションなどの多職種連携があれば、もっとよいでしょう。

看取りの費用

 ――自宅での看取りを希望した場合に、どの程度の費用がかかるのでしょうか。
 介護保険では要介護度によって使える金額の上限が決まっており、自己負担として支払うのは、その金額の1割~3割となっています。例えば、要介護5の場合だと36万650円(1単位10円で計算)ですので、1割負担の場合だと約3万6000円となります(上表)。
 先ほどの定期巡回サービスは、定額で月額2万9441円(訪問看護一体型、要介護5の場合)ですので、介護保険の限度額の範囲内で利用することができます。もちろん、自己負担を覚悟すれば、限度額を超える介護サービスを、介護保険外サービスとして利用することもできます。
 医療保険の自己負担額の上限は、所得によって分かれます。この8月から見直しが行われていますが、70歳以上の場合は、低所得世帯は8000円、一般世帯の人は月1万8000円、現役並み世帯は約8万円、約17万円、約25万円の5段階になっています(下表)。
 在宅医療を実践する専門家の話では、独居の高齢者の場合であっても、公的保険の枠内を超えない範囲で在宅の看取りを行うことが十分に可能になってきたということです。現場の経験値が上がってきたのですね。

(介護の日しんぶん2018年11月11日)

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