話題
在宅生活を支える管理栄養士/矢治早加さん 【在宅のスペシャリスト 4】
「自宅で暮らしたい」という思いを叶えるには、どのような助けが必要でしょうか? 在宅生活を支える【医療・介護のスペシャリスト】の管理栄養士、矢治早加さんを紹介します。
■矢治早加さん(31)
大髙在宅ケアクリニック(東京都葛飾区)管理栄養士歴8年(在宅5年)
「生活や家族に合った食事ができるように」
①管理栄養士になった理由は?
もともとは急性期病院で、入院患者へ栄養指導を行っていましたが、入院期間が短いので指導内容が画一的になりがちでした。患者それぞれの生活環境や家族構成を踏まえた食事支援をじっくりと行いたいと思い、在宅療養の現場に飛び込みました。
②仕事のやりがいは?
生活全体を支えていく一員として、本人・家族と時間を共有できることです。摂食嚥下障害で口から食べることが困難になった利用者を担当したことがありました。胃ろうも選択肢として検討しなければならない状況でしたが、ご家族は「何とか少しずつでも口から食べさせてあげたい」との強い願いがあり、誕生日に家族と一緒にお祝いのメニューを考え、調理したこともありました。ご家族から感謝の言葉をいただくと「生活に寄り添う」という役目を実感します。
③一番気をつけていることは?
「栄養指導」と聞くと、こちらが一方的に献立を決めるように聞こえますが、そうではありません。食習慣や味の好みから、生活習慣や経済力、家族の協力体制など生活のあらゆる状況を把握し、その上で無理のない食生活を相談します。初回の訪問はその辺りを注意深く観察し、できるだけ情報収集に努めています。
何より大切なのは、利用者を人として尊重し、考えていることや生活を否定しないことです。これは、連携する多職種にも共通します。それぞれ専門職の視点や手法を尊重しながら、支援内容をチームで作っていきます。
何より大切なのは、利用者を人として尊重し、考えていることや生活を否定しないことです。これは、連携する多職種にも共通します。それぞれ専門職の視点や手法を尊重しながら、支援内容をチームで作っていきます。
④利用者へ一言
食事が楽しい時間になるようにお手伝いします。管理栄養士が関わる「楽しい」には、病気や噛む力・飲み込む力に応じた食事、つまり安心・安全の意味も込められています。
【矢治さんの一日】
8時30分 出社
9時 院内カンファレンス
10時 在宅訪問①
12時 昼食
14時 在宅訪問②(歯科医師と同行)
16時 他院で退院前カンファレンス(主治医等と同行)
17時 院内に戻り、当日訪問分の記録・連絡
18時 退社
8時30分 出社
9時 院内カンファレンス
10時 在宅訪問①
12時 昼食
14時 在宅訪問②(歯科医師と同行)
16時 他院で退院前カンファレンス(主治医等と同行)
17時 院内に戻り、当日訪問分の記録・連絡
18時 退社
※管理栄養士の仕事
乳幼児期から高齢期まであらゆるライフステージで、個人・集団に対し食事や栄養面でのアドバイスや献立作成などを行う食のスペシャリストです。職場は主に医療機関や介護施設、児童福祉施設、小・中学校、行政、食品メーカー等の企業、研究機関など。疾病や高齢で食事がとりにくく、通院困難な人に対しては、医療機関の管理栄養士が自宅へ訪問する「居宅療養管理指導」(介護保険)や「在宅患者訪問栄養食事指導」(医療保険)のサービスを受けることができます。
乳幼児期から高齢期まであらゆるライフステージで、個人・集団に対し食事や栄養面でのアドバイスや献立作成などを行う食のスペシャリストです。職場は主に医療機関や介護施設、児童福祉施設、小・中学校、行政、食品メーカー等の企業、研究機関など。疾病や高齢で食事がとりにくく、通院困難な人に対しては、医療機関の管理栄養士が自宅へ訪問する「居宅療養管理指導」(介護保険)や「在宅患者訪問栄養食事指導」(医療保険)のサービスを受けることができます。
(介護の日しんぶん2018年11月11日)