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18年改定検証「自立支援・重度化防止」の効果測定

18年改定検証「自立支援・重度化防止」の効果測定

 厚生労働省は10月15日の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)で、2018年介護報酬改定の効果検証に関する7調査案を提示、了承された。特養・老健などに新設された褥瘡マネジメント加算の取得・運用状況や、夜勤職員配置加算の人員緩和要件となった見守り機器の導入効果、また10月に開始した福祉用具貸与上限制の価格・経営面への影響などを把握する。

褥瘡マネ加算・ロボット導入など

 褥瘡マネジメント加算は、18年介護報酬改定の基本方針「自立支援・重度化防止」の一つとして創設。入所時または3カ月以内に1回、褥瘡のリスク評価を行い、リスク有と判定された利用者に対しては関連職種が協働して個別ケア計画を作成・実施する。

 調査は項目(1)「介護保険制度におけるサービスの質の評価」の中で行われ、取得状況や運用のプロセス等を調べる。例えば褥瘡リスクの評価について▽評価項目▽評価者の職種▽評価の頻度――などを把握。また、褥瘡予防マットレスの有無や褥瘡ケア計画の見直し頻度、さらに褥瘡が発生した場合の対応として、記録の仕方や医療機関との連携についても聞く。このほか、褥瘡ケアに関するマニュアル整備、研修の実施状況といった施設体制なども盛り込まれている。

利用者・職員の心理変化も

 見守り機器は特養、短期入所生活介護で活用した場合、夜勤職員配置加算の要件となる夜勤職員の加配人数を、1人から0.9人へ緩和できることとされた。入所者の15%に見守り機器を導入し、適切な運用へ委員会を設置することなどが必要となる。

 調査では見守り機器の導入による同加算の取得状況を把握。加えて、他の介護ロボットやICTの活用も含めたヒヤリハット・介護事故発生件数の変化や利用者、職員への効果を検証する。

 特に、利用者に対しては「介護者に気を遣わなくても良い」や「人による介護よりも安全性が高い」、「職員からの干渉・制止が減る」など、従来の人的介助・見守りとの比較、代替性を中心に聞き取り。また、職員に対しては「利用者とのコミュニケーションやケアの時間が充分に取れる」「利用者の行動パターンが把握できる(排泄、夜間行動)」「精神的負担の軽減」などの有無をもとに、導入のメリット・デメリットを評価する。

価格見直し後の利用者・ケアマネ動向を追跡

 福祉用具は10月から貸与価格の上限が適用開始。10月サービス分より、上限価格を超えるものは保険給付の対象外になる。上限価格の適用を受けるのは月平均100件以上の貸与実績がある2807商品。同省は7月に対象商品と平均・上限価格の一覧をホームページ上に公表している。

 調査項目(4)「福祉用具貸与価格の適正化」では▽上限価格を越えた商品数▽7月貸与分から価格を増額または減額した商品数▽価格の変更により「貸与を終了」「利用者が買い取り」「保険外で貸与利用」となった件数――など、上限価格適用後の動向を把握。また、ケアマネジャーの反応として「商品の変更を求められた」「ケアプランの見直しを実施」「利用者が他事業所の貸与へ変更」などがあったかどうかを確認する。

 運営基準では4月より、価格や機能の異なる複数商品の提示、そして10月からは自社価格に加え全国平均価格の説明が義務付け。福祉用具サービス計画書も、同基準を満たす様式への更新を余儀なくされている。

 これに関連し、経営に関する調査では、前年度と比べた収益全体の増減だけでなく、人件費やモニタリング費、メンテナンス費といった諸経費の増減についても聞いている。また、今年7月からの仕入れ価格の変動も見ることで、メーカーや卸の動きについても分析する。

 調査は10月に行い11~12月に集計・分析。3月に調査結果を報告する。

<2018年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査内容>

(1)介護保険制度におけるサービスの質の評価
(2)介護ロボットの効果実証
(3)居宅介護支援およびケアマネジャーの業務等の実態
(4)福祉用具貸与価格の適正化
(5)介護医療院におけるサービス提供実態等
(6)介護老人福祉施設における安全・衛生管理体制等の在り方
(7)介護老人保健施設における安全・衛生管理体制等の在り方

(シルバー産業新聞2018年11月10日号)

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