インタビュー・座談会

2040年問題に挑む「福祉用具支援の進化」

2040年問題に挑む「福祉用具支援の進化」

岩元文雄大会長 (全国福祉用具専門相談員協会、日本福祉用具供給協会理事長)

福祉用具の「ラストワンマイル」

 今回の大会テーマは「2040年を見据えた福祉用具支援の進化」だ。2040年には人口減少が不可逆的に進み、生産年齢人口が急減する一方で、要介護度が高まりやすい85歳以上の高齢者人口は増大の一途をたどる。

 地域差はありつつも、従来のように人的なサービス提供体制を維持し続けることは困難な状況に直面している。こうした大きな社会構造の変容を俯瞰し、我々の支援がいかにあるべきかを真剣に問い直す必要がある。

 支え手の不足が深刻化する2040年に向け、福祉用具は生活維持の基盤としてその重要性が高まっていくだろう。

 ただし、単に福祉用具の供給のみを目的とするのであれば、既存の流通サービスで事足りる。在宅生活を支える福祉用具サービスにおいて、導入時のアセスメントや選定、そして導入後の継続的な活用支援というパッケージでの「ラストワンマイル」を担えるのは福祉用具専門相談員の職能に他ならない。その専門性を磨き、社会的責任をさらに果たしていくことが求められている。

 そして、サービスの質を不断に向上させるための具体的な指針として「PDCAサイクルの好循環モデルの構築」もテーマに据えた。利用者の生活をより良くするための思考と実践の循環を、主体的に生み出していくという思いを込めている。

 特に意識を高めるべきは、サービス計画書や担当者会議を通じてチーム全体で知見を共有し、実際のケアに還元する「チームケアとしてのPDCA」だ。福祉用具専門相談員がこの好循環を生み出す一翼として、自らの役割を高めていく契機にしていきたい。

研鑽の場を進化の原動力に

 2024年の能登半島地震をはじめ、日本福祉用具供給協会では自治体との災害協定に基づき、発災直後の避難所へ福祉用具を供給する活動を展開してきた。非常時においても利用者の生活の継続を支える福祉用具が果たす役割は大きい。

 本大会の口述発表でも「災害・感染対策(BCP)」をキーワードの一つに位置づけている。こうした有事の実践知を共有し、体系化することは、地域社会から信頼される職能へと成長を遂げるための重要なプロセスといえる。

 過去6回の開催を積み重ね、本大会は現場の試行錯誤や失敗のプロセスも共有し、相互に研鑽し合うプラットフォームとして定着した。発表の質も年々高まり、データの示し方を含め学術的な深化を遂げている手応えがある。

 福祉用具専門相談員一人ひとりが自らのアイデンティティを見つめ直し、新たな時代に向けた一歩を踏み出す大会を参加者とともに創り上げたい。

(シルバー産業新聞2026年3月10日号)

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