生き活きケア

生き活きケア219 「職員は講師」 教えることが学び・成長に

生き活きケア219 「職員は講師」 教えることが学び・成長に

 社会福祉法人美咲会(熊木佐知男理事長)は介護福祉士実習指導者養成に積極的に取り組む。修了した職員は介護福祉士実務者研修や入門的研修の講師として活躍。教えることを通じて、中核人材としての自身のレベルアップにつなげている。対外的な講師活動は法人認知度の向上、そして地域の介護人材発掘にも貢献している。

 同法人の掲げるキーワードは「教えることで自ら学ぶ」。職員が介護の知識・技術を言語化し、人へ教える機会を積極的に設けている。「現場業務のOJTなどの施設内教育だけではなく、対外的に活動する場をより重要視している」と熊木理事長。各職員が自信をつけることに加え、視点・視座が高まり、部分よりも中長期での全体最適化を見通した業務ができるようになると話す。

 一昨年、「ケアスクール美咲会」を開校。実務者研修教員講習修了者(1月現在、同法人に13人)を中心とする法人職員の講師が名を連ね、介護福祉士実務者研修を行っている。介護福祉士養成校の非常勤講師を務める職員も3人いる。
熊木理事長

熊木理事長

 コロナ禍では「教育を止めてはいけない」と介護福祉士、社会福祉士課程の実習を年間のべ1000人受け入れてきた同法人。こうした教育・指導体制へのマインドづくりの一つが育成システム「プリセプターシップ」だ。入職1年目の職員に対し3年目の職員が1年間、教育担当につく。「この時点で『人に教える』という自覚が芽生える。3年目職員の顔つきは確実に変わっていく」(同氏)。

 介護福祉士の資格を取得した職員はその後、3年間の実務経験を経て実習指導者講習を受講。実務経験5年を超えると、さらに実務者研修教員講習会への受講に挑戦できる環境を整えている。これを受講すると介護福祉士養成校などの教員・講師として教鞭をとることも可能となる。
広々とした職員休憩室。個室スペース(和洋各1)もある

広々とした職員休憩室。個室スペース(和洋各1)もある

入門的研修人材確保にも寄与

 熊木理事長が「地域貢献としても重要」と話すのが入門的研修の受託。ここでも実習指導者が活躍する。

 同研修は2018年創設の介護未経験者向けカリキュラム。ここから初任者研修、実務者研修へとステップアップしていく流れとなる。実施主体は都道府県・市町村だが、株式会社などの企業への委託が多い。埼玉県の24年度実績だと、社協を除く社会福祉法人の受託は美咲会のみだったそうだ。

 「研修を通じて当法人を認知してもらえることや、職員が入門的講習の講師を担当することで、人材育成と採用を一体的に進めることができる」と同氏はメリットを語る。「本来はより多くの社会福祉法人が手を挙げるべき。受講者募集から研修の実施、受講後の入職マッチング、教育までを地域ぐるみで連携して行うのが理想的」。

 同法人では採用前後での仕事のミスマッチを防ぐための「業務仕分け」を実践。入門的研修修了者は「ケア・アシスタント」として採用し、基本的に利用者に直接触れる業務は行わない。例えば食事では机上清掃や自助具等の配布、配茶、下膳などを主な業務とする。これらを全て項目に落とし込み整理することで、実施可能な業務を職員全員が判別できるようにしている。

 同氏は「『しなくてよい』ではなく『してはいけない』という認識でなければならない」と説明。「もちろん、周囲の介護職員の仕事ぶりを見て、業務範囲を広げたいというモチベーションは大いに歓迎。キャリアアップを全面的に支援する」と述べる。
ハレカフェ

ハレカフェ

真に地域貢献する施設へ

 同法人の事業拠点は現在3カ所。最も新しく、一昨年オープンした「ハレサク」(富士見市)は空間コンシェルジュ協力のもと、ホテルライクな内装・外観にこだわった特養だ。フロアは職員の動線を極力短く、死角をなくした設計。入居者の経済的な状況を踏まえ、従来型多床室とした。

 特徴は管理棟(オフィス)、居住棟(特養)、そして地域交流棟の3つに建物を分けたこと。地域交流棟1階にはカフェ「ハレカフェ」を設け、誰もが入り利用しやすいしつらえとした。入居家族の面会、就職相談の場にも活用する。

 「一般的な地域交流スペースは特養の中にあって、施設の玄関で靴を脱いで入る。これがかなりフリーアクセスの阻害要因になっていると考えた」と同氏。今後は子どもの学習支援の場としても検討したいと話した。

(シルバー産業新聞2026年2月10日号)

関連する記事

251216_ケアマネ過去問バナー_b
シルバー産業新聞 電子版 シルバー産業新聞 お申込みはこちら

お知らせ

もっと見る

週間ランキング

おすすめ記事

人気のジャンル