連載《プリズム》

予防で始まった21年改正論議

予防で始まった21年改正論議

 3年に1度の改正を行う介護保険。2月25日、社会保障審議会介護保険部会が開かれ、2021年改正に向けて、早くもキックオフとなった。年末にも改正に向けた意見集約が行われる見込み。今回示された5つの課題の冒頭に、「介護予防・健康づくりの推進」が掲げられた。(プリズム2019年3月)

 「認知症」の柱にも、「共生」と並んで「予防」の推進が上げられている。政府が、高齢者人口がピークをほぼ迎え、団塊ジュニアが高齢者になる2040年までに、介護が要らない健康寿命を3年間延ばす目標を設定したからだ。

 黙って老いを受け止めているだけでは、高齢者の心身機能は確実に低下していく。運動や栄養など適切な予防で、健康寿命の延伸を図る。少しでも多くの人たちが長く元気でいる努力を続けることが、本人はもちろん、家族や地域、財政面でも望まれる。

 認知症の手前段階のことを、軽度認知障害(MCI)と呼ぶが、運動習慣をつける(有酸素運動)、バランスのよい食生活を送る(自分の歯でかむ)、人と交わり頭を働かせるなどすることで、認知症の発症の防止につながると期待されている。本号でも、MCI専門士(日本認知症予防協会)の活動や、認知症予防段階で一定の保険金が出るひまわり生命の認知症保険を紹介している。
 
 先の審議会で、「一般介護予防事業推進検討会」の発足が提示された。一般介護予防事業は、介護予防・日常生活支援総合事業に位置づけられている地域支援事業だが、フレイル対策として保健事業と介護予防の一体的実施が大きなテーマ。全国で、行政などが音頭をとって、「いきいき百歳体操」や「元気でまっせ体操」など、セラピスト発案のご当地体操が広まっている。今夏には中間取りまとめを行う予定。夏の参院選が終わり、10月の消費税引上げを見とどけた後に、本格的な議論が始まるのだろう。

 3.11東日本大震災8年を迎え、新しい生活が少しずつ築かれている。

(2019年3月10日号)

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