連載《プリズム》

予防給付の行方

予防給付の行方

 要支援者の保険給付外しの動向に注目したい。介護保険利用者の2割強にあたる98万6800人(13年3月審査分)が利用する予防給付を保険給付の対象外にして、市町村による地域支援事業で対応するという考えが4月22日、政府の社会保障制度改革国民会議で示された。(プリズム2013年6月)

 同様な主張は、地域包括ケア研究会がまとめた「報告書2013」でもみられる。地域のインフォーマルサービス展開の道を開き、限られた介護の社会資源を中重度者が活用できるとした。

 しかし4月25日の介護保険部会では、これまでの予防給付は効果が上がらず、地域支援事業は効果が高いという根拠を示すべきと委員が反論した。財源的にも、予防給付費は年間4000億円余り、給付費全体の5%程度に留まる。地域支援事業へ移行するには、費用も必要となる。

 給付削減策の詳細な議論は、7月の参議院選挙が終わってからとの見方がある。しかし、高齢者の年金も、中小企業の給与も上がらない中で、円安は輸出企業の収益は押し上げても、輸入品は値上がり、じわじわと生活を直撃していくに違いない。すでに、地方選挙の結果には、政府自民党のばく進力にかげりが見られる。このタイミングで、セイフティネットである介護保険を、ストレートに削減に転じるのは得策ではない、との為政者の判断もありうる。来年4月からの消費税率引き上げを店ざらしにしたくはないはずだ。

 もちろん予断は許されない。最低限、15年改正において、要支援者の受け皿となる「介護予防・日常生活支援総合事業」を、市町村の判断によって実施する現行の仕組みから、全市町村の義務とする可能性は高い。保険給付外化に手をつけるとしても、段階がありうる。サービス種別で、保険給付外の対象サービスを決めるのか。たとえば、訪問看護や訪問リハビリテーションなどの医療系サービスを、保険給付外として市町村事業へ移行できるのか。すべてのサービスの基礎となる住宅改修や福祉用具サービスは、保険給付から外すべきではない。福祉用具サービスは1人当たりの費用額も低く、費用対効果が高いからだ。また、経過措置を取るかどうかの問題もある。

 厚生労働委員会での田村憲久厚労相の発言にも慎重さが出てきた。本号では、原勝則老健局長が本紙インタビューで答えている。

 お陰様で、シルバー産業新聞は創刊200号を迎えました。

(シルバー産業新聞2013年6月10日号)

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