連載《プリズム》

コロナのダメージ

コロナのダメージ

 コロナの影響は、国が発表する介護給付データに表れる。通所介護と通所リハビリテーション、短期入所生活介護・療養介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護の利用者数は、20年1月サービスから5月サービスまでの5カ月間、連続して前月を下回った。(プリズム2020年10月)

 5月の利用者数は、19年12月に比べて、通所介護で▲15.1万人(12.7%)、通所リハは▲11.4万人(17.9%)、短期入所生活介護は▲6.9万人(12.7%)、短期入所療養介護(老健)で▲1.8万人(37.9%)、地域密着デイで▲6.5万人(15.5%)、認知症デイで▲6千人(10.9%)と大きく減少した。

 給付費で6サービスをみると、5月は通所リハを除いて、下げ止まりとなった。しかし、12月と比べると、給付費の減少率は通所介護▲ 16.6%、通所リハ▲25.1%、短期入所生活介護▲17.2%、短期入所療養介護(老健)▲32.4%、地域密着デイ▲17.7%、認知症デイ▲16.5%となり、利用者数の減少率を上回る減少率となった。

 緊急事態宣言の頃、九州のデイサービス事業所は、利用者の家族が県外から戻った際には利用者のデイ受入れを2週間控えてもらっていると話した。小規模な市だったが、もし市内でコロナ感染者が出た時には、デイ事業所を閉鎖する方針だと言った。特にマスクやアルコールなどの防御用品が著しく不足していた時期だった。

 サービススタッフも感染リスクを避ける日々の努力を続けてきた。こうした日本での利用者と事業者双方の感染防止に対する慎重な姿勢が、欧米の多くの国々で起きた高齢者施設でのクラスターを引き起こさないできた最大の要因だろう。 国は慰労金の支給などで、その労に報いようとしているが、決して十分とは言えない。

 事業所が立ち行かなくなる事態を避けなければならない。21年4月報酬改定を審議する介護給付費分科会で、国は介護現場で感染症と災害にしっかり対処する観点から、介護報酬の見直しを行う方向性を示した。感染症のハイリスク者である高齢者と家族や従事者、災害弱者である高齢者を前に、介護保険の役割は介護にとどまらなくなった。
(シルバー産業新聞2020年10月10日号)

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