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ユニ・チャーム 「2人対応・3回交換」で感染予防を徹底
ユニ・チャーム(東京都港区、高原豪久社長)は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、病院・介護施設向けに感染予防を徹底した新たな排泄ケアモデルを立ち上げた。①1日3回、2人対応でのおむつ交換②1日1回の陰部洗浄③ADLを活かした自立排泄の推進――を通じ、従来から提案する排泄ケアの質向上を担保しつつ、感染への不安を取り除く。
“利用者と介護者の健康と安全を護る” 新しい排泄ケアモデル
ユニ・チャームはかねてからQOL向上の視点に立ち、「夜間良眠と離床促進」「自立排泄の推進」「スキンケア」の3つのコンセプトを叶えるおむつの製品開発、最適な選び方・使い方の提案に注力してきた。
新型コロナウイルスの流行の兆しが見られ始めた今年2月、医療・介護現場での感染対策がまだ十分広まっていない状況の中、「もちこまない・ひろげない・もちださない」をテーマに、すぐに始められる感染対策の情報を発信。北里大学大村智記念研究所感染制御研究センター・花木秀明センター長監修のもと、病院・施設の出入りへの注意から、換気、手指衛生、排泄ケアにおけるゾーニング(清潔・汚染の区別)などを啓発してきた。
医療・介護現場の標準予防策(スタンダードプリコーション)では、排泄物や創のある皮膚、粘膜(陰部)等への直接接触、また付着した物への接触は感染のリスクがあるとし、自分自身の防御と拡散防止を行うことが基本概念とされている。
今回の新たな排泄ケアモデルは同社従来のケアコンセプトに、これら予防策を取り入れた。おむつ交換回数の削減による接触機会の減少、清潔・汚染区域を分けた2人対応による交差感染の回避などを推奨する。
新型コロナウイルスの流行の兆しが見られ始めた今年2月、医療・介護現場での感染対策がまだ十分広まっていない状況の中、「もちこまない・ひろげない・もちださない」をテーマに、すぐに始められる感染対策の情報を発信。北里大学大村智記念研究所感染制御研究センター・花木秀明センター長監修のもと、病院・施設の出入りへの注意から、換気、手指衛生、排泄ケアにおけるゾーニング(清潔・汚染の区別)などを啓発してきた。
医療・介護現場の標準予防策(スタンダードプリコーション)では、排泄物や創のある皮膚、粘膜(陰部)等への直接接触、また付着した物への接触は感染のリスクがあるとし、自分自身の防御と拡散防止を行うことが基本概念とされている。
今回の新たな排泄ケアモデルは同社従来のケアコンセプトに、これら予防策を取り入れた。おむつ交換回数の削減による接触機会の減少、清潔・汚染区域を分けた2人対応による交差感染の回避などを推奨する。
ポイント①高機能パッドを活用した2人対応・3回交換
感染リスクを軽減させる目的から、1日あたりのおむつ交換回数を3回へ削減し、そのぶん吸収量が多いタイプの尿取りパッドを使用する。ただし、交換回数が少ないと長時間の装着となるため、本人の不快感や排泄物による皮膚の汚染に十分配慮する必要がある。
例えば、一旦吸収した尿が臀部の体圧でパッド表面に染み出すと、スキントラブルの原因となりやすい(リウェット)。吸収量に加え吸収スピード、そして長時間使用時の尿の逆戻りや臀部へのズレ等を低減できるパッド選びが重要となる。
<参考商品>
ライフリー 一晩中安心さらさらパッド Skin Condition
https://jp.lifree.com/ja/procare/products.html#anchor_02
例えば、一旦吸収した尿が臀部の体圧でパッド表面に染み出すと、スキントラブルの原因となりやすい(リウェット)。吸収量に加え吸収スピード、そして長時間使用時の尿の逆戻りや臀部へのズレ等を低減できるパッド選びが重要となる。
<参考商品>
ライフリー 一晩中安心さらさらパッド Skin Condition
https://jp.lifree.com/ja/procare/products.html#anchor_02
清潔 ・ 汚染を分離
おむつ交換の削減で確保できた時間を活用するのが、2人対応での感染対策の徹底。同社は2人対応による排泄ケアの手順書「感染予防に配慮したおむつ交換マニュアル(ベッド編・トイレ編)」を策定し、必要備品・装備の準備からおむつ交換、後片付けまでの一連に沿って、汚染を扱う担当(実施者)と清潔を扱う担当(介助者)の役割・手順を明確にした。手指消毒のタイミングなども細かく記されている。
例えば、使用済の尿とりパッドの回収では、汚染担当がテープ止めおむつを開き、尿取りパッドを取り除いて汚物入れに入れる。その間、清潔担当はおむつ等には一切触れず、利用者の体位変換を行う(図)。
例えば、使用済の尿とりパッドの回収では、汚染担当がテープ止めおむつを開き、尿取りパッドを取り除いて汚物入れに入れる。その間、清潔担当はおむつ等には一切触れず、利用者の体位変換を行う(図)。
また、陰部洗浄の際は清潔担当が洗浄ボトルで陰部全体に洗浄液をかけ、吸水タオルを汚染担当へ渡す役目。汚染担当は陰部・臀部の洗浄、拭き取りを行う。一方、陰部洗浄後は清潔担当が利用者に直接触れ、新しいおむつ・尿取りパッドを装着する。汚染担当は手袋やエプロンの処理、手指消毒を行い、利用者には触れないような役割分担となっている。
「3回交換・2人対応」を実践した老健の例では、交換時間を2時・10時・15時・20時(4回)から10時・15時・22時(3回)へ切替え。尿量が特に多い利用者、皮膚が弱い利用者のみは4回交換へ戻した。
介助はベテランと新人がペアで実施。「腰痛が軽減した」「気持ちの余裕ができた」など身体・精神両面での負担軽減、またおむつの当て方などの介助技術の格差是正、排泄ケアのアセスメント力向上など施設全体でケアの底上げにつながったとの声が得られている。
「3回交換・2人対応」を実践した老健の例では、交換時間を2時・10時・15時・20時(4回)から10時・15時・22時(3回)へ切替え。尿量が特に多い利用者、皮膚が弱い利用者のみは4回交換へ戻した。
介助はベテランと新人がペアで実施。「腰痛が軽減した」「気持ちの余裕ができた」など身体・精神両面での負担軽減、またおむつの当て方などの介助技術の格差是正、排泄ケアのアセスメント力向上など施設全体でケアの底上げにつながったとの声が得られている。
ポイント②1日1回の陰部洗浄でスキンケア
高齢者は▽皮脂分泌の低下による保護膜の弱体化▽細胞の水分量・保湿成分減少で皮膚が乾燥し傷つきやすい――等の原因で肌のバリア機能が低下しスキントラブルを起こしやすく、治りにくい特徴がある。特におむつ使用者は、浸軟・ズレ・摩擦・排泄物による化学的刺激の影響が大きく、感染リスクを高めてしまう。
新しい排泄ケアモデルでは、陰部洗浄についてもルール化。1日1回、また排便時には専用液を用いた陰部洗浄を行い、肌の洗浄・保湿・保護のケアに努める。
<参考商品>
ライフリー おしり洗浄液Neo
https://jp.lifree.com/ja/procare/products/care_hip.html
新しい排泄ケアモデルでは、陰部洗浄についてもルール化。1日1回、また排便時には専用液を用いた陰部洗浄を行い、肌の洗浄・保湿・保護のケアに努める。
<参考商品>
ライフリー おしり洗浄液Neo
https://jp.lifree.com/ja/procare/products/care_hip.html
ポイント③ADLを活かしたトイレ排泄を支援
パンツの上げ下げに必要な「30秒間のつかまり立ち」、洋式トイレの利用に必要な「背もたれ無しで10分間の座位」が可能な人には、リハビリパンツを着用したトイレ排泄を支援。おむつ排泄に起こりやすいスキントラブルや、排泄物等の処理における介助者の感染リスクを回避する。
ADL維持・向上には、感染予防には配慮しつつ体操等を取り入れた機能訓練・リハビリを行うことも重要。ブランドサイト(https://jp.lifree.com/ja/advice/rehabilitation.html)では、ADLに応じて手軽に取り組める「骨盤底筋トレーニング」「排泄リハケア体操」の動画を閲覧できる。
ADL維持・向上には、感染予防には配慮しつつ体操等を取り入れた機能訓練・リハビリを行うことも重要。ブランドサイト(https://jp.lifree.com/ja/advice/rehabilitation.html)では、ADLに応じて手軽に取り組める「骨盤底筋トレーニング」「排泄リハケア体操」の動画を閲覧できる。
「感染リスク高い排泄ケア、平時からの予防策を」
新型コロナウイルスもそうですが、排泄物からはさまざまなウイルスが検出されます。平時からの感染予防対策が重要で、清潔・汚染担当を分ける2人対応は、交差感染を防ぐ有効な手段です。
一つのケアに係る人員は2倍になるので、人材確保が厳しい現場ですぐにシフトチェンジするのは簡単ではないかもしれませんが、分担による作業スピードアップ、交換回数の削減で時間をどう創出するかがポイントです。
また、トイレでの排泄は感染経路を遮断するだけでなく、ADL向上による免疫力アップも期待できます。入院・入所の初期段階から離床やトイレ誘導を行い、「寝たきりをつくらない」意識改革がとても大切です。弱い力でも脱ぎ履きしやすいパンツ型おむつなどはリハビリにも有効です。ただし、トイレ使用後は必ず蓋を閉めた状態で水洗し、ウイルスが飛散しないようにしなければなりません。
新型コロナウイルスは、感染していても発症しない「不顕性感染」の人が多いため、100%持ち込まないことは難しいでしょう。持ち込んだ際に拡大をどう食い止めるかが、現実的に考えるべき対策となります。
感染経路で最も多いのは飛沫感染です。医療・介護現場に関わらず、ウイルスを含んだ空気を滞留させないための換気、一方向の気流を作ることが極めて重要となります。決して窓を全開にしておく必要はありません。
また、湿度は50~70%程度を維持すれば、ウイルスが飛散する距離を最も抑えられます。
(シルバー産業新聞2020年12月10日号)
一つのケアに係る人員は2倍になるので、人材確保が厳しい現場ですぐにシフトチェンジするのは簡単ではないかもしれませんが、分担による作業スピードアップ、交換回数の削減で時間をどう創出するかがポイントです。
また、トイレでの排泄は感染経路を遮断するだけでなく、ADL向上による免疫力アップも期待できます。入院・入所の初期段階から離床やトイレ誘導を行い、「寝たきりをつくらない」意識改革がとても大切です。弱い力でも脱ぎ履きしやすいパンツ型おむつなどはリハビリにも有効です。ただし、トイレ使用後は必ず蓋を閉めた状態で水洗し、ウイルスが飛散しないようにしなければなりません。
新型コロナウイルスは、感染していても発症しない「不顕性感染」の人が多いため、100%持ち込まないことは難しいでしょう。持ち込んだ際に拡大をどう食い止めるかが、現実的に考えるべき対策となります。
感染経路で最も多いのは飛沫感染です。医療・介護現場に関わらず、ウイルスを含んだ空気を滞留させないための換気、一方向の気流を作ることが極めて重要となります。決して窓を全開にしておく必要はありません。
また、湿度は50~70%程度を維持すれば、ウイルスが飛散する距離を最も抑えられます。
(シルバー産業新聞2020年12月10日号)