生き活きケア

業務改善の要「ケアサポーター」/浜北愛光園(浜松市)

業務改善の要「ケアサポーター」/浜北愛光園(浜松市)

 社会福祉法人聖隷福祉事業団が運営する特別養護老人ホーム「浜北愛光園」(浜松市)は昨年より、掃除、配膳・下膳など専門職以外の業務を担う「ケアサポーター」の募集を開始、地元の元気高齢者を中心に雇用が進んでいる。業務内容と担当を区分し、介護職員の負担軽減と利用者に向き合う時間の確保に努める。今年度、職場環境改善や介護の質向上を評価・表彰する「静岡県優良介護事業所」に選ばれた。(生き活きケア 154)

元気シニアが専門外業務に集中

 小塩達三さん(73歳)は浜北愛光園のケアサポーターとして月~金の週5日、朝の8時半から夕方の17時まで正社員並みのシフトで働く。主な仕事は施設周辺の掃除と草刈り、植木の剪定など。元大工の腕前を活かし、施設内の修繕や、家具の修理も自前の道具を持ち込んで行う。

 定年退職後はしばらく知人の工務店で手伝いをしていた小塩さん。70歳を過ぎた頃、同法人運営の別施設で送迎ドライバーの仕事に応募したが、年齢制限に引っかかる。そのときにケアサポーターを紹介してもらったのだという。

 「応募した理由はシンプルで、『働きたいから』。大工をやっていたおかげで体はまだまだ元気です」と笑う。

 ケアサポーターは昨年4月に募集を開始し、12月時点で40代1人、60代2人、70代4人が従事。最高齢は78歳が活躍している。未経験者は時給890円でスタート。

 「人手不足が厳しい中でも、介護職員が介護業務に専念できる環境を作りたかった」と同施設ケアサービス課長・上野拓朗さん。地域に根差した施設にしたいとの考えから、最初は求人広告等を出さず、地元の回覧板のみで応募をかけたそうだ。

専門性・優先度で業務整理

 施設内では募集にあたり、専門職以外でできる業務を洗い出し。▽浴室の掃除▽配膳・下膳▽台所の掃除▽簡易な更衣介助▽整髪――などが挙げられた。次に、これらを①すぐに実施する業務②本日中にやる業務③今週中に完了できればよい業務――に振分け。応募者に対しては希望業務と可能な業務、仕事に入れる曜日・時間帯を確認し、これらと業務とをマッチングさせる。

 「小塩さんのように1日入れる人もいれば、数時間ピンポイントなら働けるという人もいる。ケアサポーターでバラバラなので、シフト管理がとても大切になります」(上野さん)。例えば、午前中入れる人には、毎朝の利用者の体温計測をルーティン業務とし、残った時間でポータブルトイレの消毒作業など、週内に完了させたい業務を用意する。

 「『やる事がない時間』を作らないこと。190床の大きな特養なので業務はいくらでも出てきます」と上野さん。例えば、入浴介助は従来、浴室内2人、脱衣所(浴室外)2人の計4人の職員体制だが、更衣や髪の毛を乾かすといった脱衣所での業務の一部はケアサポーターへ移行しつつあるという。
椅子を補強。各フロアからオーダーがかかる

椅子を補強。各フロアからオーダーがかかる

ケアサポの技術・経験活きる

 ケアサポーターによって介護職員の業務負担軽減はもちろん、専門外業務の質が向上したことも新たな発見だと上野さん。「小塩さんの例もそう。介護職員にはできないことも多い。他には、入浴介助後の浴室の掃除。次の介助に追われている介護職員だとつい雑になってしまうところを、今は2人の男性ケアサポーターが集中してやってくれるので、見違えるほどピカピカです。利用者からも褒めていただいています」。

 キッチン担当の女性ケアサポーターは、新人介護職員がやるよりお茶の淹れ方が格段に上手。利用者と会話する機会も増え、実は職員も知らなかった利用者の趣味が発覚した、なんてこともあるという。

 また、ケアサポーターの中には、長く働くことで介護の仕事に興味を持ち始めている人も。「簡単なトイレ誘導や着替えなども今後は任せてみたい」(上野さん)

業務改善へタイムスタディ

 「現段階ではまだ、感覚的な業務改善でしかない」と上野さんは強調する。今後はこれをより業務分析・数値化することで、きちんと利用者へのサービス向上につながっているかを検証していきたいと話す。

 「浴室の掃除1回30分をカットした。ではその30分を今までできなかった何に費やしているか。その結果、利用者の生活はどう変化したか。全ては、利用者に還元されなければ業務改善とは言えません」。

(シルバー産業新聞2020年2月10日号)

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