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「リスク配慮の介護様式」へシフト

「リスク配慮の介護様式」へシフト

厚労省
「介護向け感染対策手引き」公表/「施設での面会禁止の緩和」通知
21年度改定「コロナ対応の報酬評価」目指す 

 冬場を前に新型コロナや季節性インフルエンザの感染拡大が懸念される中、いかなる状況下でも介護サービスを提供し続けるため、新しい生活様式に対応した介護が始まっている。厚生労働省は10月1日に介護向けの指針「介護現場における感染対策の手引き(第1版)」を公表、10月15日には介護施設の面会禁止の方針緩和を通知するなど、過度に社会活動を制限せず、現時点で最適な感染対策を模索している。介護事業者の「備え」に要するかかり増し費用についても、国は2次補正予算事業として、サービスごとの上限額まで費用を助成する制度の申請受付を始めている。厚労省は本紙の取材に対し「21年度介護報酬改定で、感染症対策費用の対応を検討」と、来年度以降は介護報酬上での評価を目指しているとした。

正しいリスク評価とケアの最適化

 厚労省は10月1日、新型コロナウイルス(COVID―19)の最新知見に基づいて、介護職員が日常のケアを行う上での必要な感染対策の知識や手技の習得のための手引き「介護現場における感染対策の手引き(第1版)」を公表した。介護職員や管理者、経営幹部が、どのような対応をとるべきかが解説されており、最新エビデンスに基づいた適切なケアに平準化されることが期待される。
また、介護施設での面会禁止についても、厚労省は10月15日、施設の判断で面会実施ができるように緩和を通知した。
家族等と交流機会が減少することによる本人の社会性の低下や、認知症状の悪化などが有識者から指摘されていたことなどを受けて、施設が面会によるリスクと効果から判断することを認め、一律に禁止することを解除した。

「かかり増し費用助成」活用でウィズコロナ対応

 徹底した感染対策のもとで社会活動の再開が図られる中で、介護現場でもウィズコロナを模索することになる。その「備え」に要するかかり増し費用に対する国の助成制度への関心も高まっている。
 介護はどうしても接触・密接ゼロが難しいため、ICTや介護ロボットを含め、あらゆる手段を講じてリスク低減を目指す必要がある。たとえば訪問系サービスの介護職員が事業所に戻らなくてもオンライン報告ができたり、施設系ではセンサーによる見守りで訪室回数が減って、利用者と職員の接触回数を減らしたりすることが期待されている。
 また、面会再開を決めた介護施設では、アクリル板や外気循環の空調機器の導入等も必要となる。
 もともと感染者対応を想定していない介護施設では、医療機関に比べて、介護職員の装着する個人防護具(ガウンやシューズカバー、アイシールド等)がほとんど備蓄されていない。国でも備蓄を増やすが、個々の介護施設でも最低限の備蓄が理想的。長期戦が予想されるウィズコロナ時代に対応したかかり増し費用は、非常に多岐にわたることがわかる。
 国は第2次補正事業「感染症対策を徹底した上での介護サービス提供支援事業」として、サービスごとの上限額までかかり増し費用を助成する制度を創設し、申請を受け付けている。特に今回の助成制度は、感染拡大期を目前に万全の備えが必要なことから、現時点で今年度末までに必要な費用をあらかじめ申請する「概算払い」(余剰発生時には返還)が認められていることが特徴。

厚労省「コロナ対応は介護報酬見直しで」

 21年度以降のかかり増し費用について、厚労省は「21年度概算要求では、感染・濃厚接触の発生した事業者限定で想定している。ただし、次期介護報酬改定では、本来、介護事業として想定されていなかった費用を勘案した報酬設定を目指している」と、来年度以降も現場が対応できる制度を目指しているという。

(シルバー産業新聞2020年11月10日号)

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