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自閉症当事者を従業員として受け入れる/中山清司(連載143)

自閉症当事者を従業員として受け入れる/中山清司(連載143)

 少子高齢化社会を迎えるなか、障害福祉サービス事業における人材確保・人材開発のための1つのアイデアとして、事業所運営・経営に当事者が積極的に参画する事例を紹介したい。

自閉症支援、ロングライフサポートの時代へ(20)

 筆者は、大阪を中心に障害福祉サービス事業所を運営する合同会社オフィスぼんの代表を務めている。事業所の数は、障害児通所支援事業「放課後等デイサービス」「児童発達支援」事業所が4カ所、障害者通所支援事業「生活介護」「自立訓練」事業所が2カ所で、この春に3カ所目がオープンする。オフィスぼんでは「新たな自閉症支援を構築する」を標ぼうし、自閉症の子ども・成人の利用者を対象に地域生活支援を担う事業所を設置・運営してきている。そして、オフィスぼんでは、自閉症の人たち自身も事業所運営を担っていただきたいというスタンスをもって、この間、継続して当事者従業員を雇用してきた()。

 オフィスぼんの全従業員は約60人(常勤・非常勤職員含む)なので、その1割が自閉症などの発達障がいのある当事者ということになる。表を見てわかる通り、各当事者従業員の実働時間は週10~30時間で、フルタイムではない。これはご本人の希望が大きいのだが、無理のない時間設定・業務設定にすることで長く働いてほしいという意図がある。これまでは対人接触の少ない事務関係の仕事で働くことが多かったが、最近は利用者支援の現場アシスタントや、サポート校のマンツーマン指導の先生を担う方もおられる。

 オフィスぼんが自閉症の当事者を従業員として受け入れてきた経過を振り返ると、当初は、働く場を探している自閉症の人たちの就労保障先として、オフィスぼんでできそうな仕事を提供してきた面が強かった。しかしながら、これまでの当事者の方々の働きぶりを見るにつけ、当事者が事業所運営・会社経営に参画することで新しい福祉サービス事業のモデルを提案できるかもしれないと、筆者は捉え始めている。

 オフィスぼんにおける職場同僚からの当事者従業員の評価としては、「仕事が丁寧」「真面目に業務をこなす」「ムダなおしゃべりをしない」「わからないことはきちんと確認してくる(こちらが聞かないと答えないこともある)」「仕事のスキルアップが確実」「1 つずつ具体的に指示を出すこと(スケジュールや指示書、実演するなど)で作業効率があがる」「個別の業務日誌や本人との面談で体調面や心理状態を確認して仕事の調整をする」「休憩時間の過ごし方も整える」「周囲からの刺激に配慮する」「本人のペースを大事にする」「キーパーソンを決めておく」「定型業務を基本に、徐々に仕事を任せていく」「仕事があることで体調や生活が安定し、自信につながる」「バックアップする就労支援機関と連携する」といったところだ。

 当事者が事業所運営・会社経営に参画するメリットは他にもたくさんある。(つづく) 

※合同会社オフィスぼん:http://officebon.com/
 中山清司(特定非営利活動法人 自閉症eサービス理事長)

(シルバー産業新聞2019年3月10日号)

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