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障がいへの理解ある福祉施設に就職 ~カズキさんのケース②/中山清司(連載148)

障がいへの理解ある福祉施設に就職 ~カズキさんのケース②/中山清司(連載148)

 発達障害のカズキさん(仮名)は、大学を卒業後に自閉症スペクトラムとADHDと診断された。

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 その後、就労支援を受けて一般企業での障がい者雇用をめざして就職活動をおこなってきたが、なかなか本人の特性に合った仕事が見つからなかった。そんな中、重度知的障がいの人たちが多く入所している福祉施設のスタッフの募集があり、職場実習をおこなうことになった。

 働くにあたって、カズキさんの得意不得意をまとめておくと次のようになる。
 一方、求人した福祉施設では次のような仕事をこなしてくれる人材を探していた。
 今回の職場実習では、カズキさんの特性と福祉施設の現場で求められる仕事をうまく組み合わせて、取り組んでもらうことになった。

 カズキさんに仕事の指示をする上司の職員を決め、職場内での本人とのコミュニケーションを整理した。また、短時間でこなせる仕事を複数取り出し、それを業務スケジュールにして本人に提示するようにした(写真はイメージです)。

 職場実習を経てカズキさんは、晴れてその施設に雇用されることになり、約1年が経ったところだ。この間、安定してカズキさんが働けている要因は、本人と職場とのジョブマッチングがうまくいったことに違いないが、あえてもう1つの要因を言えば、福祉施設であるからこそ、発達障がいへの理解と受け入れが他の職場よりもスムースだったのではないだろうか。福祉サービス業における発達障がいの人の雇用は、その意味で、積極的に検討すべきテーマであると筆者は思っている。
 中山清司(特定非営利活動法人 自閉症eサービス理事長)

(シルバー産業新聞2019年8月10日号)

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