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障害福祉サービス事業所13万8000カ所/中山清司(連載144)

障害福祉サービス事業所13万8000カ所/中山清司(連載144)

 我が国における障害者支援施策の中心となる障害者自立支援法(2006年施行)は、その後、障害者総合支援法に継承され( 13年4月施行、18年4月改正)、現在に至っている。「障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるように」という基本理念のもと、さまざまな障害福祉サービスが整備されてきた。

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 この障害福祉サービスは、国が全国統一的に運用ルールや適用範囲を定める自立支援給付(介護給付と訓練等給付など)と、地方自治体が主体的に運用する地域生活援助に大別される。自立支援給付における介護給付は、比較的重度の障がい者の“介護”が目的で、施設入所支援や行動援護、日中活動の生活介護などが主要な事業になる。一方、訓練等給付は“訓練等”が目的となり、共同生活援助(グループホーム)や就労継続支援といったサービスがリストされている。

 では、このような障害福祉サービスを提供する事業所は、全国でどれくらいの数になるだろうか。厚生労働省の統計調査をもとにいくつか拾い出してみた(表)
 表をみると、ここ数年、障害者支援施設等(そのほとんどは入所施設)は漸減傾向で、それを補う形で、居住は共同生活援助(グループホーム)、外出は行動援護、そして日中活動は生活介護の事業所数が増えていることがわかる。また、成人期には就労支援関係の事業所、学齢期では放課後等デイサービスが増加している。

 17年10月現在、障害福祉サービス事業所の総数は、障害者支援施設等を除いて約13万8000カ所であった。経営主体の大半は社会福祉法人で、最近の傾向として、株式会社等の営利法人や特定非営利活動法人が新たに参入してきている。

 本調査では「常勤換算従業員数」が調べられており、障害者支援施設等では約10万1000人の従業員(管理者や支援員)が働いている。また、共同生活援助では約4万1000人、生活介護で5万6000人、就労継続B型で5万3000人、放課後等デイサービスで4万6000人の従業者がいる。これらの数字は常勤換算なので、実態としては非常勤スタッフがそれ以上に多数雇用されていることだろう。

 筆者が関心を寄せるのは、障害福祉サービス事業所における、発達障害をはじめ障がいのある人たちの雇用についてだ。現在、障害者雇用の法定雇用率は2.2%(民間企業の場合)だ。筆者の試算によると、障害福祉サービス事業における障害者雇用のポテンシャルは、常勤換算で6万人以上になる。
 中山清司(特定非営利活動法人 自閉症eサービス理事長)

シルバー産業新聞2019年4月10日号

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