未来のケアマネジャー
ケアマネ進化論①/石山麗子(連載17)
ケアネジャーの皆さんは、いま在宅勤務されているだろうか。それとも従来どおりの仕事の方法だろうか。新型コロナウイルス(以下、「新型コロナ」)が猛威をふるい、社会的距離を保つ必要性から、私たちはこれまでと同じような距離で過ごすことはできなくなった。つい一月前の生活と今とでは全く状況は違っているし、これから先の生活がどうなるか誰にも想像できない。
ビデオ会議デビューしましたか?
介護保険の施行から20年が経過したが、ケアマネジャーはさまざまその都度知恵を出し合い、多くの課題を乗り越えてきた。経験の長い方は経験知も蓄積して、ある程度の事態には対応できると自負する方が増えてきた。そんな矢先のできごとだ。新型コロナは今までと全く次元が異なる。過去に前例ない、価値感の変容や業務の変革も迫ってきている。
これまでAI活用も含めデジタル化はあらゆる業界で進んできたが、その遅れを指摘され続けてきたのが介護業界だ。介護業界にいれば、FAXや書類の手交は普通だと思うかもしれないが、世の中は着実に変化していた。いまや小学校ではデジタル教科書が導入され、今年はプログラミングが授業に組み込まれた。我々の中には「パソコンはちょっと苦手で…」と敬遠しがちな人も少なくない。
国の調査によれば業務上「ソフトウェアは使用していない」という事業所が6.7%存在した。TV会議の利用状況については、「利用したことがない」が97〜99%であった。今まではそれでも仕事はできていた。しかし今は違う。感染防止の観点から、ICTの活用促進の方向にあり、利用者の同意があればICTを活用した医療機関との面談も認められるようになったし、事業所内ではビデオ会議システム等を活用したミーティングを始めているところもある。
対面での業務がリスクを抱えるいま、利用者を感染のリスクから守りつつ適切に支援する方法を模索しなければならない。その一つとして、もはやICTは「苦手」という次元ではすまされない状況だ。
先日示された2020年度厚生労働省補正予算概要の介護関連の項目を見ると、関連3項目は全てシステムに関連する内容だ(表)。
これまでAI活用も含めデジタル化はあらゆる業界で進んできたが、その遅れを指摘され続けてきたのが介護業界だ。介護業界にいれば、FAXや書類の手交は普通だと思うかもしれないが、世の中は着実に変化していた。いまや小学校ではデジタル教科書が導入され、今年はプログラミングが授業に組み込まれた。我々の中には「パソコンはちょっと苦手で…」と敬遠しがちな人も少なくない。
国の調査によれば業務上「ソフトウェアは使用していない」という事業所が6.7%存在した。TV会議の利用状況については、「利用したことがない」が97〜99%であった。今まではそれでも仕事はできていた。しかし今は違う。感染防止の観点から、ICTの活用促進の方向にあり、利用者の同意があればICTを活用した医療機関との面談も認められるようになったし、事業所内ではビデオ会議システム等を活用したミーティングを始めているところもある。
対面での業務がリスクを抱えるいま、利用者を感染のリスクから守りつつ適切に支援する方法を模索しなければならない。その一つとして、もはやICTは「苦手」という次元ではすまされない状況だ。
先日示された2020年度厚生労働省補正予算概要の介護関連の項目を見ると、関連3項目は全てシステムに関連する内容だ(表)。
介護支援専門員の法定研修は〝密〞を回避することが難しいことから、各地で延期が相次いでいる。厚労省は資格取得や更新に関わる重要な研修という観点から、介護支援専門員研修等オンライン化等事業を補正予算において位置付けた。すなわち法定研修の一部を厚生労働省において作成し、オンライン配信することにより自宅等でも受講が可能となるよう検討がされている事業といえるだろう。
これまでも法定研修に関しては、ケアマネジャーから受講する負担感など複数の声はあがっていた。ただ、これはケアマネジャーの資質向上の必要性や期待を込めて有識者からの指摘を受け、そのための方策の一つとして法定研修の見直しや地域ケア会議の導入が行われてきたことを忘れてはならない。今回も、ケアマネジャーの資質向上という主旨を踏まえながら、国が法定研修のオンライン化をしていくことになるだろう。
在宅勤務による自宅でのケアマネジメント業務の実施、法定研修の受講など、一人に一台のパソコン、インタネーット環境、自宅での作業スペース等、我々には個々に環境整備が求められてくる。それだけではない。既に多くの業界や教育機関で開始されている双方向ビデオ会議システムの活用だ。Skype(スカイプ)やZoom(ズーム)を活用した会議や研修等、こうしたツールを自宅でセットアップし、自分で使えるようになること。これも社会の変化が我々に求めているようだ。
進化論で有名なダーウィンは、環境適応のできない生物は絶え、環境変化に耐えられた生物が生存競争に生き残れるという自然選択説(自然淘汰説)を唱えている。さて、私たちはこうした社会の変化に適応できるだろうか。
これまでも法定研修に関しては、ケアマネジャーから受講する負担感など複数の声はあがっていた。ただ、これはケアマネジャーの資質向上の必要性や期待を込めて有識者からの指摘を受け、そのための方策の一つとして法定研修の見直しや地域ケア会議の導入が行われてきたことを忘れてはならない。今回も、ケアマネジャーの資質向上という主旨を踏まえながら、国が法定研修のオンライン化をしていくことになるだろう。
在宅勤務による自宅でのケアマネジメント業務の実施、法定研修の受講など、一人に一台のパソコン、インタネーット環境、自宅での作業スペース等、我々には個々に環境整備が求められてくる。それだけではない。既に多くの業界や教育機関で開始されている双方向ビデオ会議システムの活用だ。Skype(スカイプ)やZoom(ズーム)を活用した会議や研修等、こうしたツールを自宅でセットアップし、自分で使えるようになること。これも社会の変化が我々に求めているようだ。
進化論で有名なダーウィンは、環境適応のできない生物は絶え、環境変化に耐えられた生物が生存競争に生き残れるという自然選択説(自然淘汰説)を唱えている。さて、私たちはこうした社会の変化に適応できるだろうか。
石山麗子(国際医療福祉大学大学院 教授)
(シルバー産業新聞2020年5月10日号)
(シルバー産業新聞2020年5月10日号)
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