連載《プリズム》

「みんなで安心マーク」

「みんなで安心マーク」

 コロナ禍で、介護人材の求人倍率が上昇し、求職者数は減少した。厚労省や全社協福祉人材センターによると、全産業の有効求人倍率は低下し、求職者数が増大している。(プリズム2020年9月)

 今年3月~5月の求人状況をみると、全産業の有効求人倍率が、20年3月1.39倍から低下し、4月に1.32倍に、5月には1.20倍に落ち込んだ。日本のGDP(国内総生産)が今年第1四半期、▲27.6%(年間ベース)の大幅減となった影響が反映している。その一方で、福祉人材の有効求人倍率は上がった。20年3月は4.32倍だったが、4月に4.94倍に、5月には5.40倍になった。19年度(19年4月~20年3月)の平均値は、4.33倍だから、20年4月・5月の伸びが大きいと分かる。

 何より問題なのは、福祉人材の求職者数の落ち込みだ。3月から5月の間、全産業の新規求職者数は、コロナ不況を受けて増加したのに対して、福祉人材の全国の新規求職者数は、2月には5000人台だったものが、4月には4000人弱に減少している。前年4月の求職者数が6217人だったが、これと対比すると、大きく落ち込んでいるのが分かる。介護職の求人倍率の上昇は介護ニーズの増大が最大の要因だが、求職者の減少は、コロナ感染のおそれが、利用者だけでなく、介護で働こうとする人たちにも影を落とした可能性がある。

 日本医師会は「みんなで安心マーク」を作った。各医療機関でチェックし、「新型コロナウイルス感染症対策リスト」を開発し、職員、患者、取引事業者のサージカルマスクの着用や手指衛生の実施など、感染対策を実施した病医院に、「みんなで安心マーク」を付けてアピールすることにした。8月下旬で、マークは7700件発行。患者、従事者双方にとっての「安心マーク」をめざしている。早急に、積極的なPCR検査を医療・介護分野の就業者や利用者で実施するのも基本となるだろう。医療介護分野の求職者数の動向は、感染防止対策伸展のメルクマールになる。

 画像:日本医師会「みんなで安心マーク」について(日本医師会HP

(シルバー産業新聞2020年9月10日号)

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