連載《プリズム》

感染症対応力の強化

感染症対応力の強化

 2021年介護報酬改定の分野横断的テーマに、「感染症への対応力強化」が、災害対応とともに掲げられた。正面から、感染症や災害への対策がテーマに上がったのは初めてといえるだろう。(プリズム2020年11月11日)

 感染予防や蔓延防止を行いながら一人ひとりに介護保険サービスを提供していくために、次期改正で基本報酬や基準をどのように見直していくのか。

 現行規定に、施設サービスに概ね3カ月に1回の感染防止のための委員会開催や指針の作成、定期的研修の義務づけがあるが、訪問介護・看護や居宅介護支援などの訪問系サービスには「感染症の発生または蔓延の防止」の規定がない。いまは臨時的な取扱として、人員基準が満たせなくなった場合にも減額を行わない対処や、デイサービスの報酬2段階引上げ、予定のサービス利用がなくなった場合にもケアプラン料が支払われるなどの措置が取られている。また補正予算で、サービスごとに「かかり増し費用」が補てんされ、現在、都道府県で申請を受け付けている。感染防止策として費やされた人件費や物品費は、恒常的な費用と捉えれば、介護保険サービスを提供する基本コストとして、基本報酬の引上げにより対処することになる。その検討だ。

 最新の介護事業経営実態調査によると、2019年度決算の介護サービスの収支差率は、2.4%に下がった。18年度の3.1%と比較し0.7ポイントの低下。人件費率が上がったことが主要因。国は、今年10月時点で4万弱の介護事業所に、コロナ禍の経営への影響を調べたところ、その1.5%にあたる593事業所でコロナ感染症が発生していた。収支状況が悪化した事業所は、5月で47.5%、10月で32.7%に及んだ。コロナ前と比べて、物件費は19年度で+0.9%、20年度で+1.0%になった。一方で研修参加費は20年度で0.2%減少している。

 本紙インタビューで田村憲久厚労大臣は、「通常ならば不況時に改善するはずの介護人材の確保が、コロナ禍の今は芳しくない」と話した。コロナのリスクが最も大きい医療・介護現場を守る人たちの処遇を引上げなければ、必要な人材が集まらず高齢者を守ることができなくなる。
(シルバー産業新聞2020年11月11日号)

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