未来のケアマネジャー

これからの主任ケアマネジャー像とは?

厚生労働省が開催しているケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会は第3回が実施された(6月24日)。

 第1回から議論されているテーマは4点で、第3回では、これまでの意見をさらに深める形となった。ケアマネジャー業務のあり方では、主任ケアマネジャーをめぐり3つの問いが建てられた(表)。
本号では、これからの主任ケアマネジャー像、それを実現するためにどのような環境整備が必要なのか考えてみよう。

 主任ケアマネジャーは、ケースから見えてくることなどを普遍化し、地域という視点を持ち、不足する社会資源、機能不全の改善、さらなる活用への具体策の提案、他職種への発信など、地域づくりを具体的に行う役割がある。また、事業所を超えた地域における人材育成、ケアプラン点検等を担うなど、スーパービジョンの視点を持った指導・育成の役割もある。とはいえ、このような活動の根拠はなんだろうか。

 介護支援専門員の存在は、介護保険法第七条第五項に規定されているが、主任介護支援専門員はどこに規定されているのか。介護保険施行規則第百四十条の六十六第一項イである。この条文は地域包括支援センターの職員に係る基準および当該職員の員数を定めたものである。要すれば、地域包括支援センターの主任ケアマネジャーは法律に位置づけられ、立場が明確だが、それ以外の所属に関する法律上の規定は存在しない。特定事業所加算の算定要件があるじゃないか、と思う方もおられるかもしれないが、報酬を定めたに過ぎず、存在・役割・責任の範囲等の本質的な位置づけを示すには至らない。

 主任ケアマネジャーは、いまや地域にとってなくてはならない存在となっている。日本ケアマネジメント学会が行った調査※によれば、ケアマネジャーの仕事に誇りを持っているかという問いに対して「大いに持っている」、「持っている」と回答した者は合わせて64.9%。また、ロールモデル有の場合には、84・2%を占め、ロールモデルの存在は極めて重要であることがわかった。地域で活動する主任ケアマネジャーが生き生きと働けることが、後進のケアマネジャーにとっても、この仕事に対する誇りを持ち、続けていく動機付けとなっていく。それならば、主任ケアマネジャーが安心し、落ち着いてミッションを果たせるような環境整備が待たれる。

 主任介護支援専門員とは何か。役割と機能、果たすべき責任等が法律上明確化されることで、自律性のある活動を行い、高めていけるのではないか。所属を問わず主任ケアマネジャーが共通して行うことは何か。所属により特徴的な役割は何か等、整理していく必要がある。さらに、全国の主任ケアマネジャーが共通して抱く志、知識と技術を整理し、それを学んだり、相互に確認できる場としての主任介護支援専門員研修へとブラッシュアップすることで、その先に正当な評価の仕組みなどの光も見えてくる。

 残された課題に、管理者が主任ケアマネジャーであらねばならないのかがある。利用者の利益を守る観点にたてば、少なくとも実務研修終了直後に一人で開業できるような旧態のルールに戻してはならない。必ずしも主任ケアマネジャーではないとするなら、どのような要件が考えられるだろうか――。
筆者は、これまで検討会に向けて、地域の団体等に所属するケアマネジャーとディスカッションを重ねてきた。次回、9月に予定されている第4回検討会までにも現場で活躍されている多くのケアマネジャーと議論を続けていきたいと考えている。

※日本ケアマネジメント学会2023年度認定ケアマネジャーの会調査「ケアマネジャーの人材不足の現状と課題に関する調査報告書」

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