在宅栄養ケアのすすめ

体の中から感染予防/中村育子(連載70)

体の中から感染予防/中村育子(連載70)

 これから寒くなってくる季節、皆さんの心配事の一つが感染症だと思います。手洗い・うがいは基本中の基本ですが、感染症を防ぐには低栄養にならないことがとても重要です。栄養状態が悪いと免疫力が低下し、風邪やインフルエンザ、肺炎などのリスクが高くなるからです。

 「栄養バランスをとって、暖かくして、しっかり寝る」と、言葉に出せば簡単です。しかし、今の季節のように1日の寒暖の差が激しいと、高齢者は体温調整が追い付かず体調を崩す傾向があります。

 そうなると食欲が出ず、低栄養のリスクを高めることになりかねません。消化の良いものや、少量で高たんぱくが摂取できる介護食品なども、備えとして持っておくのがよいでしょう。

ウイルスに負けない栄養素

 風邪の予防で代表的な栄養素がビタミンCです。粘膜を正常に保つ働きがあり、鼻や口からのウイルスの侵入を防ぎます。ピーマンや大根、芽キャベツ、レモン、柿などに多く含まれます。

 ビタミンCは水溶性で、加熱すると成分が減少しますので、生で食べることをおすすめします。また、切ったりしても時間とともに減少します。例えば大根おろしの場合だと、食べる直前におろして、液体ごと飲むのが最もビタミンCの摂取割合が高くなる方法です。

 ビタミンAも、のどや鼻の粘膜を活発にする栄養素です。牛・豚・鶏肉や、人参などの緑黄色野菜に多く含まれます。これらの栄養素を少し意識しつつ、食材選び・調理をするようにしてみましょう。体調が安定せず食欲がないときは「おろしそば」や、豚肉と野菜をポン酢で炒めるようなさっぱりメニューがおすすめです。
「たべるシールド乳酸菌タブレット」

「たべるシールド乳酸菌タブレット」

腸内から免疫強化

 近年、研究が進んでいるのが「プロバイオテクス」です。栄養学でもホットな話題の一つで、人体に良い栄養を与える微生物、またはそれらを含む食品の総称です。最近テレビCMでもよく聞く「ガセリ菌」「シールド乳酸菌」「R―1乳酸菌」などがこれにあたり、他にはチーズや味噌、納豆、キムチといった発酵食品も該当します。

 これらは腸内環境を整えるだけでなく免疫力強化、花粉症予防、アレルギー症状改善、肌荒れ効果、さらに大腸がんのリスク低下などが認められており、今後もエビデンスが続々と出てくると思われます。それに伴って、乳酸菌等を含む食品・飲料も増えてくるでしょう。今でも冬場は受験生に重宝されています。

 身近な食品で言えば、ヨーグルトは便秘予防で食べている高齢者も多いので、比較的食習慣に取り入れやすいかと思います。カルシウムやタンパク質も豊富ですので、低栄養対策も兼ねることができます。メーカーによって扱う乳酸菌が異なりますので、商品を選ぶ際にはその種類に一度注目してみてはいかがでしょうか。
「iMUSE」(プラズマ乳 酸菌)。ヨーグルト以 外に水分補給タイプも

「iMUSE」(プラズマ乳 酸菌)。ヨーグルト以 外に水分補給タイプも

「カゴメラブレα」(ラブレ菌)

「カゴメラブレα」(ラブレ菌)

 中村育子(福岡クリニック)

(シルバー産業新聞2019年11月10日号)

関連する記事

2024年度改定速報バナー
web展示会 こちらで好評開催中! シルバー産業新聞 電子版 シルバー産業新聞 お申込みはこちら

お知らせ

もっと見る

週間ランキング

おすすめ記事

人気のジャンル