ワールドレポート

アースサポート 中国で在宅介護モデル拡大

アースサポート 中国で在宅介護モデル拡大

 国を挙げた制度構築が本格化する一方で、先行して現地での事業基盤を固めてきたのがアースサポート(東京都渋谷区、森山典明社長)だ。同社は16年に中国子会社「愛志万(上海)健康管理有限公司(EARTHONE)」を立ち上げ、訪問介護、通所介護、訪問入浴などを4都市6拠点で展開している。

 なかでも訪問介護は、上海市において外資系企業として初めて長期介護保険の認可を取得。同社の高品質なサービスや研修体制は現地政府からも高く評価され、上海市の訪問介護サービス提供基準の策定にも参画するなど、現地の制度づくりを支える存在となっている。

 上海市の訪問介護の単価は1時間65元。4月22日現在のレート(1元=約23円)では約1500円で、利用者の自己負担額はその1割の約150円となる。利用回数は介護状態に応じて規定されており、1日1時間を上限として、2・3級は週3回まで、4級は週5回まで、5・6級は毎日利用が可能となっている。

 同社が中国展開にあたり重視したのが▽リスクマネジメント▽品質管理▽利用者ニーズに合わせたサービス提供体制の構築▽人材育成――の4つ。中国展開を主導する海外事業開発室長の彭雨氏は、「一人ひとりに寄り添う日本式のサービスをそのまま持ち込んでも、文化の違いから当初は難航した」と振り返る。そこで同社は徹底した人材教育に注力。行動規範に関する研修を最低3〜4回、サービス別の研修も定期的に実施している。

 このほか就業規則も日本よりも詳細に定めている。「例えば『無断で帰宅してはいけない』など当たり前だと思っていても、就業規則上記載がなければ問題となるケースもある」(彭さん)

 地域に根差したサービスの実現に向け、職員は全て現地の人を採用。介護職員は40〜50代が最も多く、看護師は20代の割合が高い。手厚い研修体制と明確なキャリアプランが高く評価されている。

 一方で、サービスの利用状況には課題もある。中国の高齢者の中には「介護は政府が担うもの」という意識が強く、1割負担でも利用を控える人も多いという。森山社長は「高品質なサービスとして政府からの評価は高いが、まだ黒字化には至っていない。まずは利用を広げ、サービスの質を知ってもらうことが重要。今は認知度向上に力を入れ、できる限り早期に黒字化を目指していきたい」と話す。

 新たな取組みも始まっている。同社は1月8日に、中国浙江省杭州市で家電および住空間事業を手掛けるパナソニックグループの松下家􀗈(中国)有限公司と、快適な暮らしや住まい、健康的な生活の提供を目指して戦略的協力協定を締結。経営資源の統合と相乗効果により、中国での在宅生活の課題の解決を図り、より効率的かつ高品質なサービスモデルを模索していく。

 森山社長は「日本では2000年の介護保険制度導入時、保険者と介護事業者が尽力し、高齢者や障がい者のサービスが滞らないよう、必死で乗り切った。当時の経験を活かし、中国の介護保険制度にも全力で対応したい」と語る。
(シルバー産業新聞2026年5月10日号)

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