ヒヤリハット事例から考える安心・安全な福祉用具利用

ヒヤリハット事例から考える 安心・安全な福祉用具利用③

ヒヤリハット事例から考える 安心・安全な福祉用具利用③

 福祉用具に関する事故やヒヤリハットを防ぐためには、適切なアセスメントと選定・調整、注意点などのわかりやすい説明に加え、モニタリングでも継続的に確認を行うことが大切です。われわれ専門職は、事故やヒヤリハットが起きる可能性を予見・回避し、安全な福祉用具の利用を推進していかなければなりません。本連載では、テクノエイド協会の福祉用具「事故・ヒヤリハット」情報の事例を参照し、筆者の視点から事故やヒヤリハットを回避するためのポイントを紹介します。

マットレスの重ね使いに注意

 イラストは「寝返りをした際にサイドレールを乗り越え転落しそうになる」場面です。
 まず気づいてもらいたいのが、マットレスの重ね使いをしていることです。重ね使いでマットレスの厚みが増したのに対し、サイドレールの高さが十分ではなかったため、寝返りで乗り越えそうになってしまったと考えられます。
 電動介護ベッドのJIS(日本産業規格)では、利用者の不意の落下を防ぐため、マットレスの上端からサイドレール上端までの高さについて22㎝以上を求めています。安全な高さの目安として覚えておくとよいでしょう。
 
 またエアマットレスには、マットレスに重ねて使うオーバーレイタイプと、重ねずに単品で使用するリプレイスメントタイプがあります。基本的なことですが、リプレイスメントタイプなのに、重ね使いしていないかという点も気を付けなければなりません。利用者がオーバーレイタイプなのに布団や別のマットレスを重ねていた場合には理由を尋ねて対応を考える必要があります。

 次に注意したいのが、イラストでは背上げをしたままで寝ている点です。中には、円背などで少し背上げをした方が呼吸をしやすく、安眠できるケースもありますが、背上げしすぎると転落の原因となります。
 側臥位で寝る人の場合は、無意識にサイドレールにしがみついて、転落リスクが高まることもあります。
寝返りをした際にサイドレールを乗り越え転落しそうになる (テクノエイド協会=福祉用具「事故・ヒヤリハット」情報(Case355))

寝返りをした際にサイドレールを乗り越え転落しそうになる (テクノエイド協会=福祉用具「事故・ヒヤリハット」情報(Case355))

転落リスクを軽減するために

 マットレスの厚みに対するサイドレールの高さが十分かどうかは福祉用具専門相談員がしっかりと確認しましょう。利用者や家族が無茶な重ね使いをしないよう、転落防止のために一定の高さが必要であることを説明しておくとよいでしょう。

 さらに背上げ角度によっては、寝返りなどでの転落リスクが高まることも注意を促しておく必要があります。介護ベッドのヘッドアップ機能やハイバック機能、またはポジショニングクッションの使用で、背上げ角度を小さくすることもできます。これらの併用や安全な背上げ角度についても、リハビリ専門職と連携を図り、利用者・家族と一緒に確認ができると、より安全な利用に繋がるはずです。

(シルバー産業新聞2025年8月10日号)

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