ヒヤリハット事例から考える安心・安全な福祉用具利用
ヒヤリハット事例から考える 安心・安全な福祉用具利用②

福祉用具に関する事故やヒヤリハットを防ぐためには、適切なアセスメントと選定・調整、注意点などのわかりやすい説明に加え、利用開始後のモニタリングでも継続的に確認を行うことが大切です。われわれ専門職は、事故やヒヤリハットが起きる可能性を予見・回避し、安全な福祉用具の利用を推進していかなければなりません。本連載では、テクノエイド協会の福祉用具「事故・ヒヤリハット」情報の事例を参照し、筆者の視点から事故やヒヤリハットを回避するためのポイントを紹介します。
適切な姿勢保持で前方へのずっこけを防ぐ
イラストは「車いす上でずっこけ姿勢になり、すべり落ちそうになる」場面です。ずっこけ姿勢から前方へ滑って、車いすから転落したり、首を机に挟んだりするおそれもあります。
イラストの場合、姿勢が崩れている原因として、まず車いすが利用者の体格に合っているのかどうかが気になるところです。
フットサポートは跳ね上げられていますが、下腿長(踵からひざ裏までの長さ)と車いすの座面高さが適切でなければ、姿勢を保てず、イラストのように前方へずっこけてしまいます。車いすの操作方法やクッションの有無などにもよりますが、一般的には下腿長プラス5㎝程度が適切な座面高とされ、足こぎの場合には下腿長が目安とされています。
イラストの場合、姿勢が崩れている原因として、まず車いすが利用者の体格に合っているのかどうかが気になるところです。
フットサポートは跳ね上げられていますが、下腿長(踵からひざ裏までの長さ)と車いすの座面高さが適切でなければ、姿勢を保てず、イラストのように前方へずっこけてしまいます。車いすの操作方法やクッションの有無などにもよりますが、一般的には下腿長プラス5㎝程度が適切な座面高とされ、足こぎの場合には下腿長が目安とされています。

車いす上でずっこけ姿勢になり、すべ り落ちそうになる
食事中は足裏を床にしっかり着ける
特に食事中は足裏を床にしっかりと着けることで、体を前に倒す時の姿勢も安定しますし、噛む力も増します。食事中の姿勢は車いすに深く腰掛けて少し前傾姿勢に。そして飲み込む時にあごを引くことができないとムセやすくなります。
テーブルが高すぎるとあごが上がり気味になりますので、誤嚥リスクが高まりますし、骨盤が後傾してしまうのでずっこけ姿勢の原因にもなります。テーブルの高さも考慮するようにしましょう。テーブルの高さは、車いすのアームサポートと同じくらいか、少し高くするとよいでしょう。
利用者の座位保持能力や床ずれリスクによっては、姿勢保持性や体圧分散性が高い車いすクッションの利用などもあわせて検討が必要です。
テーブルが高すぎるとあごが上がり気味になりますので、誤嚥リスクが高まりますし、骨盤が後傾してしまうのでずっこけ姿勢の原因にもなります。テーブルの高さも考慮するようにしましょう。テーブルの高さは、車いすのアームサポートと同じくらいか、少し高くするとよいでしょう。
利用者の座位保持能力や床ずれリスクによっては、姿勢保持性や体圧分散性が高い車いすクッションの利用などもあわせて検討が必要です。
実際の姿勢を確認しながら説明
利用者や家族に説明をする際、言葉だけではなく、「深く着座しているか」「足裏がしっかり床を捉えているか」「食事の姿勢」など、実際に適切な姿勢をとりながら確認をすると、理解しやすいと思います。
また利用後しばらくして、姿勢が崩れてくる、痛みを訴えるといったことがあれば、連絡してもらうように伝えて、改めてアセスメントするようにしてください。
(シルバー産業新聞2025年7月10日号)
また利用後しばらくして、姿勢が崩れてくる、痛みを訴えるといったことがあれば、連絡してもらうように伝えて、改めてアセスメントするようにしてください。
(シルバー産業新聞2025年7月10日号)