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京都府 専門学校誘致・実習施設開設し北部の介護人材確保
26市町村からなる京都府は、人口約256万人のうち京都市が約145万人を占める。次いで人口規模が大きいのは宇治市が約18万人で、他は人口10万人以下の自治体が並ぶ。
20年3月末時点の65歳以上の要介護認定率は21.5%で、大阪府(22.4%)に次いで全国で2番目に高い。「府人口の半分以上を占める京都市で、認定率が高いことも影響している。同市ではサービス基盤が充実しており、需要が喚起されている部分もあるのでは」と高齢者支援課介護計画・企画係の安部広明係長。「市町村への要介護認定適正化の支援にも、継続して取り組む必要がある。認定率を下げることが第一義ではないが、例えばサービスを利用していない認定者が更新申請をした際に、認定の必要性をアセスメントするなど、対策をとる市町村もある」と同課介護予防・認定係の田中弘和係長は話す。
北部での介護人材確保策
高齢化率と介護ニーズの高い府北部地域で、不足する介護人材を確保しようと、10年ほど前から、同エリアでの人材確保に特化した対策「京都府北部福祉人材養成システム」に取り組む。地元人材の流出を防いだり、他エリアから地元へ戻ってもらえるよう、介護専門職の研修・養成・実習ができる拠点を北部に設置した。
2015年に、舞鶴市に介護福祉士養成課程をもつ専門学校を誘致。「専門課程へ学生を集めるのが容易でない中、これまで約130~140人が卒業し、ほぼ北部の施設に就職してくれている」と地域福祉推進課福祉人材・法人指導係の井谷千英係長。
福知山市では、市内の社会福祉法人が加盟する団体と連携し、介護職員の現任研修などができる施設「介護・福祉人材養成センター」を開設した。さらに宮津市では17年に、高齢・障がい・児童の複合型福祉施設「マ・ルート」(社福法人みねやま福祉会)に併設する形で「総合実習センター」を開設。各施設での現場実習参加者が利用できる、研修室と宿泊室を備える。「これらの取り組みで、地元人材のUターン就職や都心部人材のIターン就職など、北部への介護人材の呼び込みを図っている」と井谷係長は話す。
さらに、府内他エリアの大学に呼びかけ、学生に北部エリアの福祉現場で実習をしてもらう「京都府北部福祉フィールドワーク事業」も展開。2泊3日程度の宿泊型研修で、医療・介護・障がい者支援など様々な現場を体験してもらう。これをきっかけに、これまで20人の学生が、北部の福祉現場への就職につながった。
2015年に、舞鶴市に介護福祉士養成課程をもつ専門学校を誘致。「専門課程へ学生を集めるのが容易でない中、これまで約130~140人が卒業し、ほぼ北部の施設に就職してくれている」と地域福祉推進課福祉人材・法人指導係の井谷千英係長。
福知山市では、市内の社会福祉法人が加盟する団体と連携し、介護職員の現任研修などができる施設「介護・福祉人材養成センター」を開設した。さらに宮津市では17年に、高齢・障がい・児童の複合型福祉施設「マ・ルート」(社福法人みねやま福祉会)に併設する形で「総合実習センター」を開設。各施設での現場実習参加者が利用できる、研修室と宿泊室を備える。「これらの取り組みで、地元人材のUターン就職や都心部人材のIターン就職など、北部への介護人材の呼び込みを図っている」と井谷係長は話す。
さらに、府内他エリアの大学に呼びかけ、学生に北部エリアの福祉現場で実習をしてもらう「京都府北部福祉フィールドワーク事業」も展開。2泊3日程度の宿泊型研修で、医療・介護・障がい者支援など様々な現場を体験してもらう。これをきっかけに、これまで20人の学生が、北部の福祉現場への就職につながった。
認知症施策を本人・家族が評価
府では、認知症になっても安心して暮らし続けられる社会を実現しようと、6年1期の「新・京都式オレンジプラン」に沿って、課題解決へ取り組んでいる。
府と京都市、医療・介護・大学などの機関が参画する京都地域包括ケア推進機構が作るもので、13年に1期目(13~17年度)を策定し、現在は2期目(18~23年度)。
「認知症施策の計画を保健福祉計画の中に位置づけるのではなく、独立して策定する自治体はまだ少ないのでは」と高齢者支援課地域包括ケア推進係の中村早苗係長。
計画では目指すイメージとして、「私は、地域の一員として社会参加し、能力の範囲で社会に貢献し、生きがいをもってすごしている」など、認知症への理解や支援、社会参加など、本人やその家族の思いを表現した「10のアイメッセージ」を掲げる。
計画期間の最終年度には、本人や家族、支援者にアンケートし、それら10項目の達成状況を評価してもらう。その結果、十分でない部分を、次期計画で重点事項に位置づける。1期目末のアンケートを受け、2期目で社会参加や就労、意思決定支援、若年性認知症支援などが重点課題となった。それを受けた取り組みの一つとして、意思決定支援に詳しい大学教授と連携し、医療・介護職だけでなく、成年後見関係者や地元企業などを対象に研修を開催している。
府と京都市、医療・介護・大学などの機関が参画する京都地域包括ケア推進機構が作るもので、13年に1期目(13~17年度)を策定し、現在は2期目(18~23年度)。
「認知症施策の計画を保健福祉計画の中に位置づけるのではなく、独立して策定する自治体はまだ少ないのでは」と高齢者支援課地域包括ケア推進係の中村早苗係長。
計画では目指すイメージとして、「私は、地域の一員として社会参加し、能力の範囲で社会に貢献し、生きがいをもってすごしている」など、認知症への理解や支援、社会参加など、本人やその家族の思いを表現した「10のアイメッセージ」を掲げる。
計画期間の最終年度には、本人や家族、支援者にアンケートし、それら10項目の達成状況を評価してもらう。その結果、十分でない部分を、次期計画で重点事項に位置づける。1期目末のアンケートを受け、2期目で社会参加や就労、意思決定支援、若年性認知症支援などが重点課題となった。それを受けた取り組みの一つとして、意思決定支援に詳しい大学教授と連携し、医療・介護職だけでなく、成年後見関係者や地元企業などを対象に研修を開催している。
当事者と交わり商品・サービス開発
「認知症の人の支援は、軽度認知障害(MCI)よりさらに前の段階の、少し困りごとのある状態から、地域全体でゆるやかに見守っていくことが理想」と中村係長。そこで11年から、銀行やスーパー、交通機関など、認知症の人が日頃から利用する企業などに、認知症サポーター講座などの研修を受けてもらい、日頃から地域で見守ってもらう「京都高齢者あんしんサポート企業」制度を設け、現在約3600社が登録している。
また19年には、「認知症にやさしい異業種連携協議会」を立ち上げ、金融や小売、サービス、運輸などあらゆる業種の80社が参画し、認知症の人とともに、商品・サービスの開発・改善に取り組んでいる。
協議会では、「多様な認知症の方々の声を聞きます」など、企業として取り組むべき10の行動を定め、各社がいずれかを選び実践していく。日頃は、認知症関連の新しいトピックの勉強会、認知症当事者の声を聴く会などの活動を行っている。
昨年からは、参画企業が発案した取り組みに、他の企業や認知症当事者・家族、医療・介護関係者らも加わり、チームで実現へ向け検討するワークショップも始動。うち一つのケースでは、綜合警備保障が中心となり、若年性認知症を発症した人への就労支援策として、企業が早めに認知症に気づき、その後の必要なサポートを行えるよう支援する、コンサルティングサービスの開発を目指している。他にも、独居高齢者を対象にIT機器を活用し、早期に認知症の検知ができるサービスの開発を目指すグループなども始動した。
また19年には、「認知症にやさしい異業種連携協議会」を立ち上げ、金融や小売、サービス、運輸などあらゆる業種の80社が参画し、認知症の人とともに、商品・サービスの開発・改善に取り組んでいる。
協議会では、「多様な認知症の方々の声を聞きます」など、企業として取り組むべき10の行動を定め、各社がいずれかを選び実践していく。日頃は、認知症関連の新しいトピックの勉強会、認知症当事者の声を聴く会などの活動を行っている。
昨年からは、参画企業が発案した取り組みに、他の企業や認知症当事者・家族、医療・介護関係者らも加わり、チームで実現へ向け検討するワークショップも始動。うち一つのケースでは、綜合警備保障が中心となり、若年性認知症を発症した人への就労支援策として、企業が早めに認知症に気づき、その後の必要なサポートを行えるよう支援する、コンサルティングサービスの開発を目指している。他にも、独居高齢者を対象にIT機器を活用し、早期に認知症の検知ができるサービスの開発を目指すグループなども始動した。
(シルバー産業新聞2022年11月10日号)