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補助金対象の明確化 テクノエイド協会HPで公開

補助金対象の明確化 テクノエイド協会HPで公開

 補助金対象となる介護テクノロジー(介護ロボットやICTなど)は、経産・厚労両省により「ロボット技術の介護利用における重点分野」として2012年に策定。14年、17年に改訂された。25年度の改訂では、名称を「介護テクノロジー利用の重点分野」に変更。これに伴い、重点分野に「機能訓練支援」「食事・栄養管理支援」「認知症生活支援・認知症ケア支援」の3分野3項目を追加し、9分野16項目に拡充した。

 重点分野に位置づけられた製品は▽経産省「医療機器等における先進的研究開発・開発体制強靭化事業(ロボット介護機器開発等推進事業)」としてメーカー等の製品開発・改良の支援▽厚労省「介護テクノロジー導入支援事業、介護テクノロジー定着支援事業」として介護施設等の申請に基づいて導入補助金を支給――を通じて、開発と普及の両面から支援している。

 導入補助金の前年度との主な変更点は①業務改善計画の作成・報告②施設系サービスは生産性向上やサービスの質に関する委員会を設置していること③居宅介護支援と居宅サービス事業者は25年度中にケアプランデータ連携システムの利用を開始すること――など、介護テクノロジーを活用するための体制や考え方などの要件が厳格になった。

補助対象判断を国が支援

 補助金の対象はこれまで都道府県が判断してきたため「都道府県により補助金支給・不支給の判断が分かれる」「どの製品で補助金申請できるかわかりにくい」といった課題も指摘されてきた。

 厚労省は、都道府県の最終判断を前提に、判断を支援する新しい運用方法として「カタログ方式」を採用。

 テクノエイド協会ホームページのTAISシステムを活用し、「介護テクノロジー」のカテゴリーで16項目ごとに製品をリスト化、検索できる形で公開する。

 「介護テクノロジーのカタログ化」は、24年6月改訂の介護テクノロジー利用の重点分野を踏まえて、24年12月から、テクノエイド協会において、実用化された製品情報を収集し、同協会HP上に介護テクノロジーのどのカテゴリーに該当するかがわかるよう製品情報を開示するもの。導入補助対象製品のカタログとして活用する。

 同ホームページを参考に都道府県が決定できるほか、導入を検討する介護施設・事業者の機種選定をしやすくする。
製品の掲載追加判断は6カ月に1回の頻度で、同協会に設置する有識者委員が担う。

一気通貫の介護ソフトは「介護業務支援」に

 介護記録ソフトのうち、記録、事業所内外の情報共有、請求を一気通貫で可能なものとして、厚労省が実施する「介護ソフト機能調査」で認められれば、重点分野「介護業務支援」の対象とする。機能調査結果は、これまで都道府県ごとに実施されてきたが、負担感が大きかったため、厚労省で随時実施し、結果は都道府県と共有することで、ソフト選定の参考にしてもらうようにする。

 補助額は最大250万円までで、一定の要件を満たせば75%(それ以外は50%)が補助される。

 実態に即して、詳細なルールも示されており▽一人当たりのライセンス料で合計金額が変動する場合も想定し、職員数に応じて100~250万円で補助額を決定する▽情報端末の上限は10万円まで▽在宅サービス事業者等でケアプランデータ連携システムを使い5事業所以上と連携する場合は5万円を加算する――などが示されている。

 居宅介護支援事業所、居宅サービス事業所が介護記録ソフトで補助金申請する場合は、厚労省の審査結果に加えて、国民健康保険中央会が実施するベンダー試験結果等で▽「ケアプランデータ連携標準仕様」に準じたCSVファイルの出力・取込機能を有している▽国保中央会が運営する「ケアプランデータ連携システム」の活用促進のためのサポート体制が整っていることを確認する――が求められる。

 介護記録ソフトが重視される背景には排泄支援(排泄予測・検知)、見守り・コミュニケーション(施設)(在宅)など、一部の重点分野の定義に他の機器・システムとの連携を評価することが追記されたことがある。

 業務改善や高齢者本人の自立支援のためには、センサーで検知したデータを集約し、具体的な改善につながるように分析・活用することの重要性が見直されている。

「重点分野」以外の独自判断枠も

ノーリフティングケアを推進する長崎県五島市の只狩荘(山田峰雄施設長)では、Hug を4 台導入し、ベッドから車いすへの移乗や、トイレでの排泄の自立支援などに活用している。「ユニット型個室の限られたスペースで小回りが利く。ベルトの着用がなく、介助負担が少ない点が採用の決め手となった」と理学療法士の野口武志さんは語る

 昨年度の補正予算での介護テクノロジー補助金では、重点分野でなくても、介護従事者の身体的負担の軽減や、間接業務時間の削減等につながる業務の効率化など、介護従事者が継続して就労するための環境整備として有効であり、介護サービスの質の向上につながると都道府県が判断した機器等を追加できるなど柔軟化が図られた。

 「体重計付きのストレッチャー」「トイレ個室で寄りかかって自立排泄ができる手すり」「天井走行リフト」などの支給実績もある。25年度以降についても、重点分野にかかわらず都道府県判断で支給決定できる枠組みが設定される。

(シルバー産業新聞2025年3月10日号)

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