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パラマウントベッド自社買取 リカーリングビジネスへの転換加速

パラマウントベッド自社買取 リカーリングビジネスへの転換加速

 パラマウントベッドホールディングス(東京都江東区、木村友彦社長)は、9月24日、自社買収のマネジメント・バイアウト(МBO)を実施すると発表した。木村社長が代表を務める特別目的会社「TМKR」が、1株あたり3530円でパラマウントベッドホールディングスの株式を買い付け、11月17日までに公開買付の成立を目指し、全株式の取得を目指す。買収総額は1384億円に上る見通しで、成立すれば同社は上場廃止となる。

 グループの中核を担うパラマウントベッドは、医療・介護用ベッドの製造販売を主力事業としている。団塊世代が75歳以上に達し、医療・介護需要は伸びていく一方で、政府は「病院から在宅へ」の方針を打ち出し、病床数は減少の一途をたどっている。また、医療や介護の現場では、人手不足の問題や物価上昇の影響などを受け、設備投資に対して消極的な局面が続く。

 こうした構造的な課題に対して、同社では、6月に会社の定款を変更。従来の「製品販売型モデル」から脱却し、福祉用具レンタルや「眠りSCAN」「眠りCONNECT」などを用いたリカーリングビジネス(継続的収益モデル)への転換を加速させている。

 ただ、販売台数に依存した成長モデルから脱却し、リカーリングビジネスにシフトさせるには時間や先行投資が必要になる。上場企業の場合は、株主から短期的利益を求められるため、こうした制約のもとでは「中長期的な構造改革が進めにくい」(同社)と判断し、МBOで非公開化する道を選んだ。

 МBOが成立すれば、介護DXやスリープテックなど新領域に積極的な投資が可能になるため、▽リカーリングビジネスによる収益基盤の強化▽健康事業の育成▽アジア市場を中心とした海外展開の加速▽DXによる医療・介護現場の業務革新――などの展開が期待できる。買収後も、現経営陣が引き続き事業経営を行うため、今回のМBOは、長期視点からの攻めの一手となっている。

(シルバー産業新聞2025年10月10日号)

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