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かんきょう(秋田市) 秋田全域を福祉用具で支える

かんきょう(秋田市、阿部翔社長)は秋田、東北を中心に福祉用具事業所15カ所、メンテナンスセンター6カ所(うち3カ所は事業所併設)を構える(7月現在)。4月には大宮支店(さいたま市)を開設。市場規模が大きい関東圏への進出もはかる。県内は本社、秋田南、横手、大館、能代の5拠点。車で片道2時間かかる利用者、冬はまず雪かきからはじめる訪問先もある。「秋田で行けない場所はつくらない、が基本的な精神」と阿部社長。「秋田は在宅ケアプランにおける福祉用具貸与の利用割合が低い。介護を受けている人が福祉用具を活用する余地は十分にある」と述べる。
社員は約300人。拠点拡大に伴い、最近は毎年20人ずつほど増員している。阿部社長は「移動距離が長いからこそ、福祉用具専門相談員に求めるのはワンストップ支援」と強調。納品やモニタリングだけでなく組立配送、簡単な住宅改修まで対応できる社員がいる。
今年2月には初の自社製品となる「にぎ楽てすり」を発売した。握力や手の指関節に不安のある人でも握りやすく、立ち上がりなどがしやすい据置型手すり。現在は自社の貸与事業所のみで取扱うが、発売5カ月で出荷数は1000台を超えた。
「上限価格に対する市場の不安感もある」と阿部社長は自社開発に至った理由を説明。「本来、貸与価格はサービスの対価であり、消毒やメンテナンス、移動コストが含まれる。上限価格の影響で低価格競争になると、こうした質の部分が削られ、単にモノの値段になってしまう」と警鐘を鳴らす。
今年2月には初の自社製品となる「にぎ楽てすり」を発売した。握力や手の指関節に不安のある人でも握りやすく、立ち上がりなどがしやすい据置型手すり。現在は自社の貸与事業所のみで取扱うが、発売5カ月で出荷数は1000台を超えた。
「上限価格に対する市場の不安感もある」と阿部社長は自社開発に至った理由を説明。「本来、貸与価格はサービスの対価であり、消毒やメンテナンス、移動コストが含まれる。上限価格の影響で低価格競争になると、こうした質の部分が削られ、単にモノの値段になってしまう」と警鐘を鳴らす。
ICT・災害支援
同社ではサービスの質を落とさない形で、主にICTによるバックオフィスの業務効率化を実現。例えばオンラインを活用した会議・採用面接・メーカー説明会は、コロナ感染が始まる4年前から既に取組んできた。19年からは請求書や給与明細を電子化。キャッシュカードがあればその場で口座振替登録が行える「ペイジー端末」も現在100台導入している。
「災害時に強い企業」は阿部社長が特に力を注いできた分野。2011年の東日本大震災以降、地域のハザードマップを加味した新規出店・移転を行ってきた。阿部社長自ら物件を選定。設計なども担った。19年に移転した本社・営業推進部は地域の災害拠点としての機能も。ソーラーパネルや、社屋裏にはガスタンクを設置した。災害時で電気が遮断された場合も、調理機器などに直接つないで使用できる。
「災害時に強い企業」は阿部社長が特に力を注いできた分野。2011年の東日本大震災以降、地域のハザードマップを加味した新規出店・移転を行ってきた。阿部社長自ら物件を選定。設計なども担った。19年に移転した本社・営業推進部は地域の災害拠点としての機能も。ソーラーパネルや、社屋裏にはガスタンクを設置した。災害時で電気が遮断された場合も、調理機器などに直接つないで使用できる。
「かんきょう」を業界の外へ
阿部社長が20年の社長就任時、新たに掲げたスローガンが「ともに支えよう、未来を」。業界外や次世代の人たちに向けた、福祉用具の啓発活動を積極的に行っている。例えば、地域の小学生へ車いす試乗会などを開催。こどもの日には、祖父母との触れ合いなどをテーマにした絵画コンクールを行う。
また、男子プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」のB1所属チーム・秋田ノーザンハピネッツとスポンサー契約を結ぶ同社。「普通のスポンサーでは面白くない。福祉用具を知る機会をつくりたい」と語る阿部社長もバスケットボール部の出身だ。コロナ禍では選手やスタッフ、試合の観客にマスクを支給。試合前のオープニングセレモニーでは、電動車いす「WHILL」の座席にボールを乗せ、遠隔操作で審判まで運ぶパフォーマンスを披露し、会場をひときわ盛り上げた。
さらに、1アシストにつき82円を積立て、地域の支援活動に使う「かんきょうAssist FunD!(アシストファンド)」を設立。昨シーズンは約10万円が集まり、秋田市内の病児保育室にタブレット端末を贈呈した。「得点数ではなくアシスト数に着目した。『アシスティブ・テクノロジー』とも呼ばれる福祉用具の役割にマッチする」(阿部社長)。
(シルバー産業新聞2025年8月10日号)
また、男子プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」のB1所属チーム・秋田ノーザンハピネッツとスポンサー契約を結ぶ同社。「普通のスポンサーでは面白くない。福祉用具を知る機会をつくりたい」と語る阿部社長もバスケットボール部の出身だ。コロナ禍では選手やスタッフ、試合の観客にマスクを支給。試合前のオープニングセレモニーでは、電動車いす「WHILL」の座席にボールを乗せ、遠隔操作で審判まで運ぶパフォーマンスを披露し、会場をひときわ盛り上げた。
さらに、1アシストにつき82円を積立て、地域の支援活動に使う「かんきょうAssist FunD!(アシストファンド)」を設立。昨シーズンは約10万円が集まり、秋田市内の病児保育室にタブレット端末を贈呈した。「得点数ではなくアシスト数に着目した。『アシスティブ・テクノロジー』とも呼ばれる福祉用具の役割にマッチする」(阿部社長)。
(シルバー産業新聞2025年8月10日号)