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ケアマネジメントの自己負担 住宅型有料・サ高住に絞って導入か

ケアマネジメントの自己負担 住宅型有料・サ高住に絞って導入か

 厚生労働省は11月20日、社会保障審議会介護保険部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学理事・法学学術院教授)を開き、「ケアマネジメントの自己負担導入」「2割負担の対象拡大」「軽度者の生活援助等サービスの市町村事業への移行」などのテーマについて議論を行った。ケアマネジメントの自己負担導入では、利用者の所得状況を勘案する考えや、住宅型有料老人ホームなどに絞って自己負担を導入するなどの具体案を示し、見直しの議論を本格化させている。

 介護保険制度の持続可能性を確保するために、給付と負担のあり方は重要なテーマ。中でも①ケアマネジメントの自己負担導入②2割負担の対象拡大③軽度者の生活援助等サービスの市町村事業への移行――の3つの論点については、政府の全世代型社会保障構築の改革工程表の中で、第10期の介護保険事業計画(2027~29年度)の開始までに結論を出すことになっている。この日の部会では、これらの論点について、厚労省から具体案が提示された。

 ①ケアマネジメントの自己負担導入では、「他のサービスと同様、利用者負担を求めることについて、どのように考えるか」と、改めて利用者負担の導入を議論の俎上に載せた上で、「利用者の所得状況を勘案することについて、どのように考えるか」と、仮に利用者負担を導入する場合、利用者の負担能力に着目する考えを示した。

 また、介護施設ではケアプランの作成費用を基本サービス費として利用者が負担している点や、住宅型有料老人ホームなどで、同一・関連法人などによるサービスの囲い込みがある点などを踏まえ、「住宅型有料老人ホーム(サ高住を含む)の入居者に利用者負担を求めることについて、どのように考えるか」と、在宅と施設の不均衡を是正する観点などから、住宅型有料やサ高住に絞って、利用者負担を導入する案を提示した。

 さらに、「給付管理業務については、必ずしもケアマネジャーが行わなければならない業務ではない」として、「事務に要する実費相当分を利用者負担として求めることについて、どのように考えるか」と、給付管理にかかる事務費用を利用者から徴収できるようにする考えなども示された。

 出席した委員からは、「ケアマネジメントに利用者負担を導入した場合は、利用控えや、必要な支援などが受け難くなるおそれがある。ケアマネジメントの役割や機能、中立・公正の観点からも、現行の10割給付を強く求める」(小林広美委員・日本介護支援専門員協会副会長)、「住む場所によって利用者負担が異なることはあってはならない。給付管理業務の利用者負担についても、これまでの介護保険制度の考え方を覆すものであり、行うべきではない」(江澤和彦委員・日本医師会常任理事)など、反対意見が目立った。

 ②2割負担の対象拡大については、現役世代よりも、高齢者世帯の貯蓄額の方が高い傾向になっている点などを踏まえ、「相対的に負担能力があり、負担が可能と考えられる方に、2割負担の対象範囲を拡げることが考えられるか」と、預貯金などを勘案した上で、2割負担の対象拡大を検討する考えを示した。

 その上で、仮に2割負担の対象を拡大する場合は、負担増への配慮を行う観点から、当分の間、一定の負担上限額を設けることや、預貯金などの額が一定額未満の人については1割負担のままにする考えなどを提案した。

 一方、③軽度者の生活援助等サービスの市町村事業への移行については、「総合事業の実施状況や、市町村の意向や利用者への影響等も踏まえながら、引き続き、包括的に検討を行うことについて、どのように考えるか」と具体案は示さず、引き続き検討を行っていく考えを示した。

 厚労省では、各テーマの議論を本格化させ、年末までに取りまとめを行う考え。

(シルバー産業新聞2025年12月10日号)

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