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メンテ機器が果たす生産性向上

メンテ機器が果たす生産性向上

 東海機器工業(愛知県小牧市、内藤大嗣CEO)は福祉用具サービスの質を高めるメンテナンス機器を数多く開発・製造する。手作業では限界がある汚れやニオイの除去、スピーディーかつ確実な乾燥や消毒は品質だけでなく、人手不足に悩む事業所の課題を解決する。業務改善に至った2事例を紹介する。

JCIロジスティクスサービス(宮城県富谷市)

「メンテ待ち滞留」解消作業スピード2倍強に

 JCIロジスティクスサービス(相馬克二社長)はジェー・シー・アイの福祉用具メンテナンス・配送・倉庫管理部門を切り離し、2022年にグループ会社として設立した。昨年の事業所移転時に洗浄・乾燥消毒機等を拡充。「作業効率が格段にアップした。同じ時間での仕上がり量が2~3倍になった」と相馬社長は話す。

 移転前は作業場が手狭で、マットレス乾燥消毒以外は手作業または外注に依存。「とにかく時間がかかっていた。人手が足りず、メンテ待ちの滞留も多かった」と同社長。外注はまとまった数が揃ってからで、その間の置き場所も悩みどころだった。新拠点は倉庫の延床面積3200㎡で以前の4~5倍の広さに。6種の洗浄・乾燥消毒機を整備し、作業の自動化をはかった。

 マットレス洗浄脱水機は1枚約20分。汚れの度合いに応じて洗浄時間はカスタムできる。ウルトラファインバブル水を用いた3D浸透高圧洗浄水と、プロ仕様の専用洗剤がマットレス内部まで浸透し、ニオイやカビをしっかり除去。同社では汚れやニオイ、へたりが原因による廃棄が導入後に大きく減少した。

 また、車いすはオゾン水高圧洗浄機と乾燥機「マルチドライヤー」により、メンテナンスの質・時間が大幅に改善。相馬社長は「洗浄の段階でかなりきれいになり、またオゾン水で消毒出来るので、点検作業等の時間がかなり短縮された」と評価する。丸洗い後に相当時間を要していた乾燥も、すぐ機械にかけ、置き場所にも困らない。

売上アップの好機に

 現在は、福祉用具の回収担当スタッフが(高圧洗浄などの)一次洗浄を行い、その後メンテ場のスタッフが引継ぎ。洗浄、乾燥にかけている間は点検・梱包など他の作業に充てられるなど、効率的な働き方も叶えている。

 また、回収から洗浄・乾燥~点検~梱包~保管~出荷まで用具の動線を一方向としたことで、作業進捗が見えやすい上に、衛生性も高めた。

 今はジェー・シー・アイで取扱う福祉用具が大半だが、他事業所や介護・福祉施設の用具メンテナンスも積極的に提案していくと相馬社長。「フル稼働にはまだ余裕がある。高品質なメンテナンスを事業拡大につなげていく」。

シルバーホクソン(埼玉県川口市)

専門性高める時間を創出

 シルバーホクソン(梅田成道社長)は介護保険制度以前から福祉用具事業に着手。ベビー用品レンタルと並ぶ同社主力事業だ。福祉用具貸与事業所は1カ所のみだが、関東圏の利用者約7000人を支える。

 福祉用具専門相談員は50人。営業や配送担当だけでなく、事務やメンテナンススタッフも保有する。福祉用具部門管理部長・高橋幸伸氏は「用具を理解することで、より安全面や使い心地にこだわったメンテナンスが行える」と利点を話す。

 業務効率化の一環として、今年6月に福祉用具のメンテナンス機器をフルラインナップで導入。洗浄・乾燥消毒工程の機械化・自動化をはかっている。商品管理課責任者・疋田陽一氏は「作業スピードが一気に加速した。ベテランのスタッフも多い中、手作業と比べ身体的負担が大幅に減った」と喜ぶ。

 例えば車いすの場合、約20台の洗浄をスタッフ1人で半日かかっていたのが、「マルチウォッシャー」で一度にカゴ台車ごと1度に4台を処理でき、20台を2時間ほどで全自動洗浄。細かい箇所の汚れをしっかり洗い落とせる点、オゾン水で消毒できる点も選んだ理由だという。

 乾燥は「マルチドライヤー」で約1時間。「今までは自然乾燥だったが、梅雨の時期などはその日のうちにまず乾かなかった」と疋田氏。メンテ中の在庫が減り、用具の回転率も上がったそうだ。

 「退院後すぐに車いすが欲しいといった急な依頼にも応えやすくなる。利用者へのサービスに還元できる提供体制を整えていきたい」(高橋部長)。

 マットレスの消毒・乾燥には「クリーンキーパー」を採用したのも、感染対策としての質向上の一つ。同製品は加熱蒸気・高温加熱で確実に消毒し、かつ、その過程で抗菌加工を施す。医療機器の認可を取得し、より基準の高い感染対策管理が求められる病院で高い導入実績を誇る。

 機器の運転中はその場を離れ、他の作業を行える点もメリット。高橋部長は「一人ひとりがより多くの用具に関わる時間が増えた。今まではどちらかと言えば、用具ごとにメンテ担当が縦割りになっていた」と評価。「実際の介護現場は、複数の用具を組み合わせて使用している。知識・技術の幅を広げる契機にしていきたい」と意気込む。
(シルバー産業新聞2024年10月10日号)

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