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道内に介護テクノロジーを届ける

介護テクノロジーの活用に向けた取り組みが全国で進む中、北海道は全国的に見ても先駆的な地域となっている。介護保険法改正により、都道府県の努力義務として生産性向上のけん引が規定され、国は2026年度までに、全国に「介護生産性向上総合相談センター(ワンストップ相談窓口)」の設置を求めているが、これに準じたセンターを全国に先駆けて運営してきた経緯がある。北海道社会福祉協議会と福祉用具事業者のマルベリー(札幌市、高橋和則社長)を取材した。

2023年度の北海道の介護ロボット普及推進事業は、道社会福祉協議会とマルベリーの2者コンソーシアムが受託し運営してきた。
日本の国土の約22%(8万3424平方キロメートル)を占める北海道。広範囲にわたる介護施設の隅々まで、職場改善に向けて、相談や介護テクノロジーの体験・試用貸出などをどのように実施するかということが課題であった。
そこで道は①札幌市の道央地区センター(石狩・空知・胆振・日高支庁)②旭川市の道北地区センター(上川・留萌・宗谷)③函館市の道南地区センター(渡島・桧山・後志)④帯広市の道東地区センター(網走・十勝・釧路・根室)――の4拠点を設置。札幌市まで出向かなくても相談・体験・試用貸出ができる体制を整えた。札幌市以外の3拠点は、道内一円の福祉用具流通網をもつマルベリーが運営する。
こうした活動により4拠点では年間4700人が来場し、小学生向けの研修会なども計16回(812人参加)実施。介護従事者向けには、計19回(2646人参加)の研修会を実施したほか、10施設については定期的に訪問またはオンラインで、使い方のアドバイスなどを計66回実施した。試用貸出についても、4拠点で90件(移乗支援58件、見守り・コミュニケーション32件)の実績がある。道社協の高橋修一課長は「試用貸出は介護施設でも関心の高い事業となっている」と話す。
日本の国土の約22%(8万3424平方キロメートル)を占める北海道。広範囲にわたる介護施設の隅々まで、職場改善に向けて、相談や介護テクノロジーの体験・試用貸出などをどのように実施するかということが課題であった。
そこで道は①札幌市の道央地区センター(石狩・空知・胆振・日高支庁)②旭川市の道北地区センター(上川・留萌・宗谷)③函館市の道南地区センター(渡島・桧山・後志)④帯広市の道東地区センター(網走・十勝・釧路・根室)――の4拠点を設置。札幌市まで出向かなくても相談・体験・試用貸出ができる体制を整えた。札幌市以外の3拠点は、道内一円の福祉用具流通網をもつマルベリーが運営する。
こうした活動により4拠点では年間4700人が来場し、小学生向けの研修会なども計16回(812人参加)実施。介護従事者向けには、計19回(2646人参加)の研修会を実施したほか、10施設については定期的に訪問またはオンラインで、使い方のアドバイスなどを計66回実施した。試用貸出についても、4拠点で90件(移乗支援58件、見守り・コミュニケーション32件)の実績がある。道社協の高橋修一課長は「試用貸出は介護施設でも関心の高い事業となっている」と話す。
「出向く」から「来てもらう」支援へ
道は24年度の事業名称を「介護事業所生産性向上推進事業」に変更した。講習会や機器展示・試用貸出の運営などはマルベリーが担当し、道社協は、道内の社会福祉関係団体との連携や、労働関係団体・相談機関等とのつなぎなど本部機能を分担する。
「導入を推進する普及段階を終え、今年度は職場改善の効果を実感してもらえるまで支援を前進させる」と、マルベリーの高橋社長は意気込む。
「介護現場業務改善総合相談センター」(床面積268平方メートル)は、マルベリー新川業務センター(札幌市)内に新設。展示スペースには▽移乗支援7機種▽移動支援2機種▽排泄支援3機種▽見守り・コミュニケーション15機種▽入浴支援3機種▽介護業務支援3機種――が常設展示されている。
一見すると「道内4拠点から札幌市1拠点に縮小した」とも受け止められかねないが▽継続的に訪問やオンラインで伴走支援する事業予算を倍増▽マルベリーの事業拠点を活かし、電話やオンラインなどで聞き取った事前相談から提案すべき機器を車載して訪問し、現地で説明・体験――を始めることで、昨年以上に介護現場に寄り添った支援を行う。
多忙な介護施設から出向く手間を省くことができるとともに、経営者やフロアのリーダーなどの管理者層だけでなく、機器を使用する現場スタッフも参加して意見を述べることができる。また、実際の廊下幅やレイアウトの中で使い勝手・サイズ感などをイメージしやすくなる。
「導入を推進する普及段階を終え、今年度は職場改善の効果を実感してもらえるまで支援を前進させる」と、マルベリーの高橋社長は意気込む。
「介護現場業務改善総合相談センター」(床面積268平方メートル)は、マルベリー新川業務センター(札幌市)内に新設。展示スペースには▽移乗支援7機種▽移動支援2機種▽排泄支援3機種▽見守り・コミュニケーション15機種▽入浴支援3機種▽介護業務支援3機種――が常設展示されている。
一見すると「道内4拠点から札幌市1拠点に縮小した」とも受け止められかねないが▽継続的に訪問やオンラインで伴走支援する事業予算を倍増▽マルベリーの事業拠点を活かし、電話やオンラインなどで聞き取った事前相談から提案すべき機器を車載して訪問し、現地で説明・体験――を始めることで、昨年以上に介護現場に寄り添った支援を行う。
多忙な介護施設から出向く手間を省くことができるとともに、経営者やフロアのリーダーなどの管理者層だけでなく、機器を使用する現場スタッフも参加して意見を述べることができる。また、実際の廊下幅やレイアウトの中で使い勝手・サイズ感などをイメージしやすくなる。

介護現場の感度を高める製品選定
北海道の介護現場は最新機器への感度が高く、試用貸出についても予定枠いっぱいまで埋まる状態。マルベリーの稲葉有沙さんは「スタンディングリフトの『Hug』(FUJI)の貸出希望は多く返却待ちが常態化している。今年度は、施設からのニーズの高かった浴室で使用できる防水タイプも登場したことから、注目を集めそうだ」と話す。
全国的には見守り支援機器の注目が高い。特に24年介護報酬改定では見守りセンサー・インカム・ICTの導入などを要件とする「生産性向上推進体制加算」が始まったことから、この傾向は強まっている。ただ、介護生産性(職場改善)にはこの3種以外の機器も併せて活用することが欠かせない。
見守りセンサーから視野を広げるために、製品情報を集め、紹介することもワンストップ相談窓口には求められる。
たとえば床走行リフト「つるべーY6セットLi―Pinkセーフティーロボ」(モリトー)は、介護職員の負担軽減に欠かせない機器だが、20㎏以上の吊り下げ荷重を人と判断し、安全使用のための喚起を音声で行うことで、ロボット要件であるセンサー検知・判断・行動を満たすと判断され、今年度より介護ロボットとして追加された。(続)
全国的には見守り支援機器の注目が高い。特に24年介護報酬改定では見守りセンサー・インカム・ICTの導入などを要件とする「生産性向上推進体制加算」が始まったことから、この傾向は強まっている。ただ、介護生産性(職場改善)にはこの3種以外の機器も併せて活用することが欠かせない。
見守りセンサーから視野を広げるために、製品情報を集め、紹介することもワンストップ相談窓口には求められる。
たとえば床走行リフト「つるべーY6セットLi―Pinkセーフティーロボ」(モリトー)は、介護職員の負担軽減に欠かせない機器だが、20㎏以上の吊り下げ荷重を人と判断し、安全使用のための喚起を音声で行うことで、ロボット要件であるセンサー検知・判断・行動を満たすと判断され、今年度より介護ロボットとして追加された。(続)


シーホネンスの「ベッド内蔵型離床アンサーiサポート」
(シルバー産業新聞2024年10月10日号)