ニュース
参議院議員選挙前に各政党に質問 ケア社会をつくる会

社会学者の上野千鶴子氏らが世話人をつとめる「ケア社会をつくる会」は、7月20日に投開票される第27回参議院議員選挙を前に、各政党に向けて介護保険制度に関する公開質問状を送付した。結果については、5月28日、「ケア社会をつくる会 院内集会」(共催、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク、NPO法人高齢者をよくする女性の会)を開き、アンケート結果や現場からのコメント、また各政党の議員らが直接出席して説明した。会場の衆議院第一議員会館には約200人が参集し、オンラインでは1000人以上が視聴した。
ケア社会をつくる会は、全国の介護事業者や介護関連団体、研究者、家族介護者ら介護福祉に携わる個人による任意組織。これまでも介護保険制度に危機感を抱いて発言を続けてきたが、今回は、「尋常ならざる事態」と捉え、各政党に直接アピールした。
要望内容は次の10項目で、介護の問題を公約に掲げるよう各政党に求めた。
1.訪問介護の基本報酬削減を、直ちに撤回すること
2.訪問介護の身体介護と生活援助を、一本化すること
3.要介護1・2を、総合事業に移行しないこと
4.介護報酬は、基本報酬を増額すること
5.ケアプアラン作成は、引き続き利用者負担なしとすること
6.介護保険の利用者負担は、原則1割のまま据え置くこと
7.高齢者施設の職員配置基準を、緩和しないこと
8.介護保険制度を、認知症基本法の即したものにすること
9.介護人材不足を、直ちに改善すること
10. 介護保険の公費負担割合をアップすること
各政党に向けた公開質問状と回答は、マトリックスで分かりやすく可視化して公開している(図参照)。今回の選挙で各政党が掲げる介護政策を具体的に問い、自民、公明、立憲、れいわ、共産、社民、国民(項目ごとには返信はなく、総体的な考え方の返信があった)から回答を得た。日本維新の会、参政党、日本保守党からは期日内の回答はなく、当日の会場への出席もなかった。出席したのは回答のあった7政党(下図参照)。
要望内容は次の10項目で、介護の問題を公約に掲げるよう各政党に求めた。
1.訪問介護の基本報酬削減を、直ちに撤回すること
2.訪問介護の身体介護と生活援助を、一本化すること
3.要介護1・2を、総合事業に移行しないこと
4.介護報酬は、基本報酬を増額すること
5.ケアプアラン作成は、引き続き利用者負担なしとすること
6.介護保険の利用者負担は、原則1割のまま据え置くこと
7.高齢者施設の職員配置基準を、緩和しないこと
8.介護保険制度を、認知症基本法の即したものにすること
9.介護人材不足を、直ちに改善すること
10. 介護保険の公費負担割合をアップすること
各政党に向けた公開質問状と回答は、マトリックスで分かりやすく可視化して公開している(図参照)。今回の選挙で各政党が掲げる介護政策を具体的に問い、自民、公明、立憲、れいわ、共産、社民、国民(項目ごとには返信はなく、総体的な考え方の返信があった)から回答を得た。日本維新の会、参政党、日本保守党からは期日内の回答はなく、当日の会場への出席もなかった。出席したのは回答のあった7政党(下図参照)。

回答からは現政権の自民・公明と野党の間で差異がくっきり現れた。共通しているのは、「介護保険制度崩壊の危機への具体策をもっていますか?」に対しては、「はい」と応えている点のみ。倒産が増加する訪問介護については、基本報酬減額を次期改定を待たずに撤回を求めることに賛成するか、の質問に対して、自民党は「いいえ」と回答。公明党は「その他」と回答。野党は全党とも「はい」と回答している。
「いいえ」と回答した自民党は、訪問介護については、特に人材の確保が大きな経営上の課題であると認識し、補正予算等により対応すると説明。「中山間地域等や小規模事業所といった地域の特性や規模ごとの事業所の状況も踏まえた必要な取組を実施」し、「多様な人材の確保・育成、離職防止・定着支援、介護職の魅力向上など、介護人材確保対策を他の施策も含めて総合的に対応することが必要」と説明した。しかし、次期改定を待たずに撤回するを否定することについての説明はなかった。
これに対して、立憲民主党は、訪問介護の基本報酬の引き下げにより、小規模な訪問介護事業所の倒産や人手不足に拍車がかかり、訪問介護を受けられなくなる要介護者や介護離職が増え、将来的に地域包括ケアシステムが崩壊し、介護保険制度による「介護の社会化」に逆行する事態も起きかねないと説明。すでに1月29日には「訪問介護緊急支援法案」を衆議院に提出しており、「できる限り速やかに訪問介護事業者に訪問介護事業支援金を支給するとともに、次回の改定(令和9年度)を待たずに、できる限り早い時期に訪問介護の介護報酬基準を改定することを提案しています」と回答している。他の具体的な回答は、ケア社会をつくる会のHPに掲載している。
「いいえ」と回答した自民党は、訪問介護については、特に人材の確保が大きな経営上の課題であると認識し、補正予算等により対応すると説明。「中山間地域等や小規模事業所といった地域の特性や規模ごとの事業所の状況も踏まえた必要な取組を実施」し、「多様な人材の確保・育成、離職防止・定着支援、介護職の魅力向上など、介護人材確保対策を他の施策も含めて総合的に対応することが必要」と説明した。しかし、次期改定を待たずに撤回するを否定することについての説明はなかった。
これに対して、立憲民主党は、訪問介護の基本報酬の引き下げにより、小規模な訪問介護事業所の倒産や人手不足に拍車がかかり、訪問介護を受けられなくなる要介護者や介護離職が増え、将来的に地域包括ケアシステムが崩壊し、介護保険制度による「介護の社会化」に逆行する事態も起きかねないと説明。すでに1月29日には「訪問介護緊急支援法案」を衆議院に提出しており、「できる限り速やかに訪問介護事業者に訪問介護事業支援金を支給するとともに、次回の改定(令和9年度)を待たずに、できる限り早い時期に訪問介護の介護報酬基準を改定することを提案しています」と回答している。他の具体的な回答は、ケア社会をつくる会のHPに掲載している。
現場からは危機感が露わに
院内集会では、定期巡回を含む訪問介護へルパー、介護施設職員、ケアマネジャー、家族介護者らが発言し、アンケート結果を受けて、現場からの苦境が示された。
東京都目黒区にある特別養護老人ホーム「駒場苑」の施設長、坂野悠己氏は、公開質問状の8番目「施設の人員配置基準の緩和に反対するか?」の問いについてコメントした。坂野氏は今回の質問に対する議員の回答で、基準緩和に明確に賛成という政党がなかったことにまずは一安心していると話した。その上で、現場の実情を説明。特養の重度化が年々進み、すでに現在ある配置基準の3対1では現場はまわっておらず、無理に回そうとすると週休二日が取れない、毎日残業になる、有給がとれない、などにより労働基準法に違反してしまうのが実態。そのため違反にならないように2対1で運営しているのが実態だと説明した。
同会は、投票終了後、7月23日(水)20時から「2025年参院選結果 『ケア社会をつくる会』はこう見る!円卓会議」をYouTubeで無料配信する。司会は上野千鶴子氏がつとめ、服部万里子氏(ケアマネージャー)、植本眞砂子氏(高齢社会をよくする女性の会・大阪代表)、高口光子氏(介護アドバイザー)、柳本文貴氏(NPOグレースケア代表 ホームヘルパー)ほか多数が出演する。参加費は無料だが、現在、運営のための寄付を募っている。
当日の院内集会の様子
https://www.youtube.com/live/MGGW3bK1lik
各政党の詳細な回答
https://caresociety.net/archives/91/2025/06/18/
7月23日(水)20時~“参院選2025結果「ケア社会をつくる会」”の無料配信
https://caresociety.net/archives/207/2025/07/05/
同応援チケットの申込み
https://2025hcelectionroundtable.peatix.com/
院内集会では、定期巡回を含む訪問介護へルパー、介護施設職員、ケアマネジャー、家族介護者らが発言し、アンケート結果を受けて、現場からの苦境が示された。
東京都目黒区にある特別養護老人ホーム「駒場苑」の施設長、坂野悠己氏は、公開質問状の8番目「施設の人員配置基準の緩和に反対するか?」の問いについてコメントした。坂野氏は今回の質問に対する議員の回答で、基準緩和に明確に賛成という政党がなかったことにまずは一安心していると話した。その上で、現場の実情を説明。特養の重度化が年々進み、すでに現在ある配置基準の3対1では現場はまわっておらず、無理に回そうとすると週休二日が取れない、毎日残業になる、有給がとれない、などにより労働基準法に違反してしまうのが実態。そのため違反にならないように2対1で運営しているのが実態だと説明した。
同会は、投票終了後、7月23日(水)20時から「2025年参院選結果 『ケア社会をつくる会』はこう見る!円卓会議」をYouTubeで無料配信する。司会は上野千鶴子氏がつとめ、服部万里子氏(ケアマネージャー)、植本眞砂子氏(高齢社会をよくする女性の会・大阪代表)、高口光子氏(介護アドバイザー)、柳本文貴氏(NPOグレースケア代表 ホームヘルパー)ほか多数が出演する。参加費は無料だが、現在、運営のための寄付を募っている。
当日の院内集会の様子
https://www.youtube.com/live/MGGW3bK1lik
各政党の詳細な回答
https://caresociety.net/archives/91/2025/06/18/
7月23日(水)20時~“参院選2025結果「ケア社会をつくる会」”の無料配信
https://caresociety.net/archives/207/2025/07/05/
同応援チケットの申込み
https://2025hcelectionroundtable.peatix.com/